【花堕】L’espoir fait vivre.
四ノ月血戦 イベントノベル(テーマ)青の聖騎士団制作 束石或納品 2025年05月26日 11時49分46秒
レビト・ベータはひとり、周囲を見回している。
吸血鬼退治の命を受けて仲間と共にこの地に赴いたが、はぐれてしまい今は自分ひとり。
心細い気持ちを押し殺しつつ、どうにか合流しようとその姿を探す。
「あぁ、愚かで愛しき我が息子よ」
声が聞こえたのは、まさにその時だった。
慌てて振り返る。その姿に大きく目を見開く。
それは間違いなく自分の父親で、かつて自分を殺そうとした吸血鬼だった。
腕を伸ばされ、身体を掴まれる。寸でのところで武器を取る。
祝福を受けた刀が走るが、それは避けられてしまった。
身体に爪が迫るのを見て、しかし難なく躱したが――その先は魔法陣の上。まさか、ともう一度目を見開く。
浮かんだ想像に身を固くした、その一瞬の隙を突かれた。
身体が、腕の中にすっぽりと収まる。首筋に痛みが走った。
間違いない。この父親は、自分を同じ存在にしようとしているのだ。
(っ、吸血鬼になんて、なるもんか……! なっても太陽の下に身を晒すぞ!)
吸血鬼になりたくない。ただその一心で、法術を使い吸血鬼を遅らせようとする。
……小さい頃、よく聞かせてくれた子守唄が、聞こえてくる。
意識がどんどんと遠くなる。それでも血を吸われる感覚だけは、はっきりとある。
血が、ほしい。
ちがう、そんなのいらない。
僕は、こいつを倒すために、たくさんがんばってきた。
でも、吸血鬼になれば。ずっとお父さんと一緒……!
「僕、は……」
ああ、目の前に、とってもおいしそうなにおいが――。
口の中に、血の味が広がる。
ぽたり、ぽたり。口元の牙から、血が落ちる。
吸血鬼が満足そうに笑い、その身体を抱きしめる。レビトの意識は完全に落ちた。
「あっ――いました、あそこです!」
リュミエールは、隣にいた上官へと叫ぶ。
同じ隊にいたレビトがはぐれていたことに気づくと、すぐさま報告。
手分けして捜索をしていたところ、彼相手に儀式を行おうとしていた吸血鬼を発見したのだ。
吸血鬼は儀式を中断し、その場から消えた。そうして気絶したままの彼だけが、場に取り残されていた。
「大丈夫か!? 今連れて帰ってやるからな!」
レビトの身体を抱きかかえ、隊の全員に撤退の指示を出す。
合間に、皆で代わる代わる声をかけ続けたものの、その間は目を覚まさず。
騎士団の詰所で手当てを受けるまで、彼はずっとうなされていた。まるで、悪夢に囚われたかのように。
吸血鬼退治の命を受けて仲間と共にこの地に赴いたが、はぐれてしまい今は自分ひとり。
心細い気持ちを押し殺しつつ、どうにか合流しようとその姿を探す。
「あぁ、愚かで愛しき我が息子よ」
声が聞こえたのは、まさにその時だった。
慌てて振り返る。その姿に大きく目を見開く。
それは間違いなく自分の父親で、かつて自分を殺そうとした吸血鬼だった。
腕を伸ばされ、身体を掴まれる。寸でのところで武器を取る。
祝福を受けた刀が走るが、それは避けられてしまった。
身体に爪が迫るのを見て、しかし難なく躱したが――その先は魔法陣の上。まさか、ともう一度目を見開く。
浮かんだ想像に身を固くした、その一瞬の隙を突かれた。
身体が、腕の中にすっぽりと収まる。首筋に痛みが走った。
間違いない。この父親は、自分を同じ存在にしようとしているのだ。
(っ、吸血鬼になんて、なるもんか……! なっても太陽の下に身を晒すぞ!)
吸血鬼になりたくない。ただその一心で、法術を使い吸血鬼を遅らせようとする。
……小さい頃、よく聞かせてくれた子守唄が、聞こえてくる。
意識がどんどんと遠くなる。それでも血を吸われる感覚だけは、はっきりとある。
血が、ほしい。
ちがう、そんなのいらない。
僕は、こいつを倒すために、たくさんがんばってきた。
でも、吸血鬼になれば。ずっとお父さんと一緒……!
「僕、は……」
ああ、目の前に、とってもおいしそうなにおいが――。
口の中に、血の味が広がる。
ぽたり、ぽたり。口元の牙から、血が落ちる。
吸血鬼が満足そうに笑い、その身体を抱きしめる。レビトの意識は完全に落ちた。
「あっ――いました、あそこです!」
リュミエールは、隣にいた上官へと叫ぶ。
同じ隊にいたレビトがはぐれていたことに気づくと、すぐさま報告。
手分けして捜索をしていたところ、彼相手に儀式を行おうとしていた吸血鬼を発見したのだ。
吸血鬼は儀式を中断し、その場から消えた。そうして気絶したままの彼だけが、場に取り残されていた。
「大丈夫か!? 今連れて帰ってやるからな!」
レビトの身体を抱きかかえ、隊の全員に撤退の指示を出す。
合間に、皆で代わる代わる声をかけ続けたものの、その間は目を覚まさず。
騎士団の詰所で手当てを受けるまで、彼はずっとうなされていた。まるで、悪夢に囚われたかのように。