【扉叩】援ける
四ノ月血戦 イベントノベル(テーマ)赤の吸血鬼狩り制作 白葉うづき納品 2025年04月20日 11時12分32秒
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――フロラも起きたか。ああ、誰か表口を叩いている……ここで待っててくれ。
雨風もある深い夜だ、訪ねてきたのは普通じゃない客だろうよ。
大丈夫、武器持ってく。もしもの時は合図するから、皆を連れて逃げてくれ。
……そんな顔すんな。わかった、万が一もなく戻ってくる。約束だ。
大勢の気配はないな。つっても気配が消せんなら油断はできねぇけど。
雨漏りの桶もいっぱいだな……ひでぇ雨だ。
さてどんな面か……男の声がする、……。
●
「どうした」
音をさせ、ゆっくりと扉を開く。途端、扉の前で俯いていた――いや、腕の中に抱える子どもに対して必死に声を掛けていた男が、弾けるように顔を上げた。
「ああ、感謝します……! 私は白の司祭所属、ペーチェと申します」
男が急ぎ話すのは、この近辺の村で吸血鬼による襲撃が行われたこと。自分も救援に向かったが間に合わず、倒壊した家屋からどうにか子どもを一人助け出せたこと。真っ白だったろう服を、血混じりの泥だらけにしながら男は訴える。
「傷は治したのですが、一向に目を覚まさず体温も上がりません。困り果てたところこの孤児院があると思い出し、こうして伺った次第です。どうか、この子を休ませてはいただけませんか」
必死な様子にそれ以上の感情は見えない。布にくるまった子どもを診る。
「呼吸は安定してるな。もちろん、引き受ける」
「ありがとうございます……お願いいたします、では」
「待て。お前も泊まっていけ」
「ご迷惑はかけられません」
「――わかってたのか」
子どもを託した司祭は微笑む。青い瞳が派閥の違いを気にしていた。生真面目なその様子に、カイン・シン・イーファはふっと息を吐く。
「ここには誰を頼ってきた?」
「院長様を。慈愛の心があると」
「じゃあ問題ねぇ。今の俺は、孤児院の院長だ。さっさと入れ、返して風邪引かせたって方が評判下がるだろ。待ってろ、寝かせたら奥さんに温かい飲み物を頼んでくる。部屋に着替えも置いとくな。この前雨漏り直したばっかだから安心してくれ」
その前に軽く身体を洗え、水はそこに溜まってると桶を指せば、呆気に取られながらもペーチェは従ってくれた。
「やはり貴方は優しい」
「噂か?」
「私がそう判断いたしました」
「すぐに人を信じすぎじゃねぇか」
「おや、これでも見る目はあるのですよ。特に野菜の見極めは随一、と」
「人じゃねぇじゃんか」
楽しげな司祭に、カインは肩を竦めた。
――フロラも起きたか。ああ、誰か表口を叩いている……ここで待っててくれ。
雨風もある深い夜だ、訪ねてきたのは普通じゃない客だろうよ。
大丈夫、武器持ってく。もしもの時は合図するから、皆を連れて逃げてくれ。
……そんな顔すんな。わかった、万が一もなく戻ってくる。約束だ。
大勢の気配はないな。つっても気配が消せんなら油断はできねぇけど。
雨漏りの桶もいっぱいだな……ひでぇ雨だ。
さてどんな面か……男の声がする、……。
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「どうした」
音をさせ、ゆっくりと扉を開く。途端、扉の前で俯いていた――いや、腕の中に抱える子どもに対して必死に声を掛けていた男が、弾けるように顔を上げた。
「ああ、感謝します……! 私は白の司祭所属、ペーチェと申します」
男が急ぎ話すのは、この近辺の村で吸血鬼による襲撃が行われたこと。自分も救援に向かったが間に合わず、倒壊した家屋からどうにか子どもを一人助け出せたこと。真っ白だったろう服を、血混じりの泥だらけにしながら男は訴える。
「傷は治したのですが、一向に目を覚まさず体温も上がりません。困り果てたところこの孤児院があると思い出し、こうして伺った次第です。どうか、この子を休ませてはいただけませんか」
必死な様子にそれ以上の感情は見えない。布にくるまった子どもを診る。
「呼吸は安定してるな。もちろん、引き受ける」
「ありがとうございます……お願いいたします、では」
「待て。お前も泊まっていけ」
「ご迷惑はかけられません」
「――わかってたのか」
子どもを託した司祭は微笑む。青い瞳が派閥の違いを気にしていた。生真面目なその様子に、カイン・シン・イーファはふっと息を吐く。
「ここには誰を頼ってきた?」
「院長様を。慈愛の心があると」
「じゃあ問題ねぇ。今の俺は、孤児院の院長だ。さっさと入れ、返して風邪引かせたって方が評判下がるだろ。待ってろ、寝かせたら奥さんに温かい飲み物を頼んでくる。部屋に着替えも置いとくな。この前雨漏り直したばっかだから安心してくれ」
その前に軽く身体を洗え、水はそこに溜まってると桶を指せば、呆気に取られながらもペーチェは従ってくれた。
「やはり貴方は優しい」
「噂か?」
「私がそう判断いたしました」
「すぐに人を信じすぎじゃねぇか」
「おや、これでも見る目はあるのですよ。特に野菜の見極めは随一、と」
「人じゃねぇじゃんか」
楽しげな司祭に、カインは肩を竦めた。