仁愛抱く深碧の主
四ノ月血戦 イベントノベル(テーマ)赤の吸血鬼狩り制作 白葉うづき納品 2025年04月07日 15時17分12秒
美しい湖を有するその都市に、小さな孤児院があった。
長く運営されているのか建物自体は古いが、畑や花畑を持ち、丁寧に管理をされていた。客室として使える部屋も多く、近場で吸血鬼狩りをする人々にも宿を提供している。
周囲との関係も良好だ。孤児院の院長が教会に登録している『神の鞭』であり、地域の安全に一役買っているのも理由だろう。
カイン・シン・イーファは、若いながら孤児院の院長を任されている青年だ。孤児となった子どもを引き受け、時には見つけ、暖かく過ごせる『家』を提供している。
仕事を終えて帰った彼は、いつものように使用した武器を念入りに手入れし、仮眠を取った。起きてからすぐ、院内を回る。
(雨漏りが増えてるな)
建物が限界に来ているのか、最近雨漏りの数が増えている。
子どもたちの為に早く新しい住居を用意してやりたい――その手段が『吸血鬼狩りの仕事』だった。他の仕事に比べれば報酬も破格の部類に入るだろう。もっともそれは、文字通り命懸けだ。
(皆がいる限りは無茶なんてしねぇけどな)
命を懸けるのは目的に沿わない。あくまでカインは、この孤児院の院長なのだから。
*
「あ、院長先生! 畑にいた!」
「まだねててよかったのにー」
「悪ぃ、朝見れなかったからさ。それよりどうした?」
「おひるー!」
「お、ミケルも手伝ったのか? じゃあ冷める前に急がねぇとな」
「いんちょせんせ、だっこ!」
「なんだ、今日は甘えん坊さんだな」
「ずるーい! わたしも!」
「順番こな。出来るだろ?」
「うん!」
院長は座ってて、と子どもたちは我先にとキッチンに急ぐ。成長を感じながら席に着くと同時に、温かな紅茶が前に置かれる。視線を上げれば、花飾りを髪に挿した女性が柔らかく笑顔を浮かべていた。院を手伝う彼の妻だ。
「お疲れ様でした。お怪我はありませんか」
「問題ねぇよ。それよりフロラも毎回留守を任せて悪ぃ。何もなかったか?」
「……あ。昨日お見送りした後に、新しい雨漏りを見つけちゃいました」
「ああ、俺も見つけた。後で修理しておくな」
「お願いします」
フロラが微笑むのと同時に、子どもたちから声がかかる。
「院長、フロラ先生、ごはん運ぶね!」
「今日のスープは特別だから」
「ありがとな、楽しみだ」
――孤児院は、子どもたちの笑顔があふれていた。この場所こそカインの生き甲斐であり、力の源でもあるのだろう。幸せな光景はそれを雄弁に物語っていた。
長く運営されているのか建物自体は古いが、畑や花畑を持ち、丁寧に管理をされていた。客室として使える部屋も多く、近場で吸血鬼狩りをする人々にも宿を提供している。
周囲との関係も良好だ。孤児院の院長が教会に登録している『神の鞭』であり、地域の安全に一役買っているのも理由だろう。
カイン・シン・イーファは、若いながら孤児院の院長を任されている青年だ。孤児となった子どもを引き受け、時には見つけ、暖かく過ごせる『家』を提供している。
仕事を終えて帰った彼は、いつものように使用した武器を念入りに手入れし、仮眠を取った。起きてからすぐ、院内を回る。
(雨漏りが増えてるな)
建物が限界に来ているのか、最近雨漏りの数が増えている。
子どもたちの為に早く新しい住居を用意してやりたい――その手段が『吸血鬼狩りの仕事』だった。他の仕事に比べれば報酬も破格の部類に入るだろう。もっともそれは、文字通り命懸けだ。
(皆がいる限りは無茶なんてしねぇけどな)
命を懸けるのは目的に沿わない。あくまでカインは、この孤児院の院長なのだから。
*
「あ、院長先生! 畑にいた!」
「まだねててよかったのにー」
「悪ぃ、朝見れなかったからさ。それよりどうした?」
「おひるー!」
「お、ミケルも手伝ったのか? じゃあ冷める前に急がねぇとな」
「いんちょせんせ、だっこ!」
「なんだ、今日は甘えん坊さんだな」
「ずるーい! わたしも!」
「順番こな。出来るだろ?」
「うん!」
院長は座ってて、と子どもたちは我先にとキッチンに急ぐ。成長を感じながら席に着くと同時に、温かな紅茶が前に置かれる。視線を上げれば、花飾りを髪に挿した女性が柔らかく笑顔を浮かべていた。院を手伝う彼の妻だ。
「お疲れ様でした。お怪我はありませんか」
「問題ねぇよ。それよりフロラも毎回留守を任せて悪ぃ。何もなかったか?」
「……あ。昨日お見送りした後に、新しい雨漏りを見つけちゃいました」
「ああ、俺も見つけた。後で修理しておくな」
「お願いします」
フロラが微笑むのと同時に、子どもたちから声がかかる。
「院長、フロラ先生、ごはん運ぶね!」
「今日のスープは特別だから」
「ありがとな、楽しみだ」
――孤児院は、子どもたちの笑顔があふれていた。この場所こそカインの生き甲斐であり、力の源でもあるのだろう。幸せな光景はそれを雄弁に物語っていた。