そっくりびっくりなお土産を一緒に食べよう♪
キャラクターノベル(グループ)制作 夜月天音納品 2025年03月12日 08時59分57秒
「どれも美味しかったねー」
「だな。どれもそっくりだったよな」
ルルト・アーキスとパルドは、軽やかな足取りで帰路を急いでいた。つい先ほど、エラトゥーン都市同盟南東のベールコートに佇む喫茶店『エヴァブルー』で、そっくりスイーツで収穫祭を祝ったばかりだ。
「お土産、迷っちゃったね」
「あぁ、結構迷ったよな……ミニコボが食べても大丈夫なやつがあってよかった」
喫茶店の話で盛り上がるルルトとパルドの手には、帰りを待つ大切な人へのお土産がしっかりと握られていた。
あれこれとお喋りに花を咲かせながら歩く中、
「後でどうだったか教えてねー!」
「ああ、そっちもどうだったか教えてくれな」
分かれ道を迎えルルトとパルドは、悪戯な調子で言って別れた。
そして、
「これを見たらびっくりするかなぁ」
「びっくりするかな。鼻がいいからすぐバレそうだけど、でも分かってても驚きそう」
ルルトとパルドは、帰りを待っているだろう大切な人の反応を想像して、わくわくしながら帰りの道を急いだ。
「ふふふ、どんな顔をするか楽しみだね、タマさん」
無事に家に到着したルルトは、わくわくが溢れてたまらないのか、楽しそうな顔で足先と尻尾の先だけが白い黒猫に話し掛けた。
「タマさんも楽しみなんだね」
ルルトの言葉を理解したように鳴くその声はまるで、楽しみだと言っているよう。
「じゃぁ……」
ルルトは、期待で自然とゆるゆるになる顔をきゅっと凛々しくさせてから、
「ただいまー」
お土産を背に隠していつもと変わらないを装ってドアを開け、大きな声で帰宅を知らせた。タマさんもいつも通りの顔で続いた。何とも賢い猫さんである。
「お帰り、ルルト、タマさん」
1人と1匹を迎えようと玄関に現れたのは、アルバス・ロウルとくりっと丸い瞳をしたイイズナのシロ。
「ただいま、アルバス、シロ」
ルルトはもう1度彼らの顔を見て挨拶を言ってから、
「じゃーん、お土産!」
背後からお土産を出して、可愛らしいドヤ顔を披露。
「お土産?」
アルバスは土産とルルトを見比べ、聞き返した。
「うん、すっごく、美味しいから、アルバスもきっと気に入るよ! だって……」
ルルトは、興奮気味に土産を推すあまり中身を言いそうになった所で、
「とにかく美味しいから!!」
大きな声で誤魔化して土産を渡した。
(危ない、危ない、中身は内緒にしなきゃ!!)
中身を言っては、アルバスのびっくり顔が見られないから。
「それは楽しみだな」
受け取ったアルバスは笑うだけだ。
(……何か隠していそうだが……楽しみにしておこうか……)
ルルトの素直ぶりから察したものの、がっかりさせたくなくて追及はしない。
という事で、
「茶でも用意しよう」
アルバスはお土産をテーブルに置き、いそいそと2人分の茶の準備を始めた。
「うん!!」
ルルトは、にこにこと椅子に座った。
「待たせたな」
すぐにアルバスが帰還して、ルルトの前に茶を置いた。
「ありがとう!」
ルルトは礼を言ってから、カップに口を付け一口。
「んーー、美味しい!」
優しい味ににっこり。
ルルトが茶を飲む横で、
「さて、どんな美味しい物が入っているのか」
アルバスは期待満々に箱に手を伸ばし、
「!!」
開けてびっくり。
「……ビーフシチューにマカロニサラダ……だが、匂いは甘い」
漂い鼻孔をくすぐる匂いからすぐに正体を知るアルバス。他には、野菜のフリッターとポワレがある。悩みに悩んでそれぞれ異なる2人と2匹分を買ってきたのだ。
「ね、ね、本物に見えるよね♪」
先ほどから見守っていたルルトは、アルバスの驚きようににこにこだ。
「あぁ、本当に見た目は料理に見えるな!」
驚きから戻って来たアルバスは改めてスイーツを1つずつ観察し、本物と遜色ない精巧な作りに感嘆。
そうして一通り中身を確認した後は、
「でしょ、食べよ、食べよ」
実食だ。
「はい、シロとタマさんは、野菜のフリッターとマカロニサラダをどうぞ」
ルルトはシロとタマさんの前に、スイーツを置いた。
「アルバス、先に食べたい物をどうぞ!」
ルルトは、先に選ぶように促した。
「では、ビーフシチューを」
アルバスが選んだのはビーフシチューだ。
「じゃぁ、ボクはポワレ!」
ルルトはポワレを選んだ。
「甘い!!」
アルバスは一口食べてびっくり。
「具材はフルーツのようだな……シチューはチョコか……道理で甘いはずだ」
甘いチョコレートに果物の酸味が丁度いい。驚きの次は興味津々だ。
「……野菜に見えるように切っているみたいだな」
見た目からシチューと野菜かと思いきや、味が違うため食べる度に驚く。
「これは……肉に見えるが……違うよな」
果物の次に目についたのは、肉に見える物。シチューと一緒にパクリ。
「なんだこれ、サクサクして……どうなってるんだ、これは」
サクサク食感にびっくり。実は、シュー生地で作られているのだ。
「……魚じゃないのに魚に見える。このちぐはぐさは何度食べても面白くて不思議だなぁ」
白身魚の香草ポワレの白ワインソース仕立てを食べるルルトも不思議そうな顔だ。
「んー、このソースは……ドレッシングとかじゃなくて……甘くてカスタードの味がする」
料理の腕を磨いているためか分析するように味わと共に、料理人の腕前に感心する。ポワレは、白身魚に見立てたライチのムースの上に白ワインのソースを演じるカスタード風味のソースと香草を演じるナッツと抹茶のクラムがかけられていた。
シロは、野菜に見立てた果物をみじんにしたスポンジ生地で焼成したフリッターの匂いを嗅いだり、ぺしぺししたり安全を確かめる前で、タマさんがマカロニに見立てたクッキーと果物たっぷりのクリームチーズを食べて、美味しさにご満悦な様を見て食べた。
「タマさんもシロも気に入ったみたいでよかった」
ルルトは、もぐもぐしながら2匹の様子を見守った。
そこに、
「これはルルトも食べたか?」
アルバスの興味に満ちた言葉が飛んできた。
「それはまだ食べてないかな。ちょっともらっていい? こっちのも食べてみる?」
ルルトは好奇心が抑えられず、自分のスイーツをそっと出しながら訊ねた。
「あぁ」
アルバスは申し出を受けて、お互いのスイーツを少しだけ交換。
「……食感は完全に魚なのに……甘い……何で出来てるんだ?」
「これ、お肉じゃない!」
アルバスとルルトは、交換したスイーツを口に入れ、驚きも分け合う。
「他にはどんなメニューがあった?」
アルバスが食べながら訊ねると、
「ボクが食べたのはね、お子様ランチ! エビフライとかハンバーグとか、他にもいろいろあったよ♪」
ルルトは、笑顔で声を弾ませ語る。スイーツの見た目や味にびっくりした瞬間を思い出しながら。
「それはまた美味しそうだな……いろいろ作れるもんだな」
アルバスは楽しそうに話すルルトの様子が微笑ましくて、こちらまで楽しくなる。
「でね、パルドにも会ったんだ!」
ルルトは友人との偶然の出会いを興奮気味に話し、
「今頃、同じように2人で食べてるのかな?」
別れ際を思い出して悪戯な顔に。
「あぁ、きっとびっくりしているんじゃないか」
アルバスもまた友人達の驚き顔を容易く想像し、楽しそうに笑った。
「今度はアルバスも一緒に行こうよ」
「ああ、次は一緒に行こう」
ルルトとアルバスは、『楽しい』をもっと共有したく約束を結んだ。
傍らでは、美味しいおやつを食べたタマさんが、毛繕いして身だしなみを整えていた。シロは寛いでいた。
ルルトと別れて無事に帰宅したパルドは、
「ウォーゼルとチョコはどんな反応するか楽しみだな」
ドアを開ける前にショコラに話し掛けた。
(ウォーゼルは甘いの好きだし、きっと喜ぶだろ)
二人の笑顔を思い浮かべ、想像につられて笑顔になってしまう。
そして、
「ただいま」
はやる気持ちと一緒にドアを開けて家に入った。
「おかえり」
ミニコボのチョコと一緒にウォーゼルが笑顔で迎えてくれた。
(何かこうして『おかえり』って言って迎えて貰えるのは、落ち着くようなほっとするような……)
『おかえり』を聞いたパルドは、嬉しさと安心感から自然と笑みがこぼれてしまう。
そんな胸中なんぞ知るはずのないウォーゼルが気になるのは、
「それは何? 微かに甘い匂いがするんだけど?」
パルドの手にある見知らぬ物。
「くふっ」
甘い匂いを嗅ぎ取る鼻のいいウォーゼルの様子に、パルドは自分の予想が当たった事に思わず小さく噴き出した。
「パルド?」
ウォーゼルが訳が分からぬと首を傾げると、
「何でもない。はい、土産」
パルドは、誤魔化してからお土産を改めて差し出した。
途端、
「お土産!!」
ウォーゼルは勢いよく受け取り、にこにこと笑顔に。
「どんなスイーツかな♪」
ウォーゼルはお土産をテーブルに置き、わくわくと中身の確認を始める。
「飲み物を用意しよう」
パルドははしゃぐウォーゼルに笑みながら、飲み物の用意を始めた。
その間、
「うわぁあ、何、これ!?」
お土産の中身を確認したウォーゼルは、あまりの精巧さにびっくりと声を裏返した。
「ステーキにポテトサラダに……」
他には、カルパッチョとクロケットがある。どれもこれも匂いは甘いが、見た目はただの料理。
「まずはカルパッチョ!」
ウォーゼルは近くの料理から手を伸ばし、
「赤身のお魚と思ったら苺のゼリーだ! ナッツの食感もいいね!」
見た目の繊細さにびっくりしながらも、甘い物好き故に迷わず一口パクリ。苺のゼリーにかかっているのは、蜂蜜と砕いたナッツだ。
「ふふ、美味しいね♪」
あっという間に至福の笑顔。
「チョコ、食べてごらんよ」
ウォーゼルは、匂いと見た目が合わぬ事に不思議そうにするチョコにカルパッチョを勧めた。
「美味しいよね!」
勧められるままパクリと食べたチョコは、見た目と違う味にびっくりするも美味しさに目を輝かせて尻尾をふりふり。
「ショコラも」
チョコの反応が気になったのか、こちらをじっと見ているショコラにもカルパッチョを勧めた。
ショコラがカルパッチョをもぐもぐしている所に、
「飲み物だ」
パルドが2人分の飲み物を手に現れた。
「ありがとー」
飲み物を受け取ったウォーゼルは喉を潤した。
「どうだ、美味しいだろ?」
パルドが味を問うと、
「うん、美味しい! どれもスイーツに見えないよ!」
ウォーゼルは興奮気味に言った。
「ウォーゼルに買ってきたんだし、いっぱい食べな」
パルドは食べる様子をじっと、にこにこ笑顔で見る。
「うん! このステーキ、切り口も焦げ目もお肉だよ!」
ウォーゼルは、見た目と味のギャップに驚いてから、心地よい甘さを味わった。真実は、ピスタチオがのったショコラオリーブソースを纏ったチェリーとショコラのムースだ。
「それはよかった」
パルドは喉を潤しながら言った。
「パルド、これ半分こしよ! 一緒に食べたらもっと美味しいから」
ステーキを食べ終えたウォーゼルは、クロケットを綺麗に半分こして片方を差し出した。『美味しい』や『楽しい』を共有したいから。
「あぁ、貰おう」
ウォーゼルの気持ちも分かるパルドは、遠慮はせずに貰った。
「美味しいね」
心地よい甘さを味わいながら、
(お土産をもらえたのは嬉しい。パルドがにこにこ楽しそうなのも)
ウォーゼルは、このひとときの優しさに心が満たされていく。
「あぁ、美味しいな……なかなか精巧だな」
パルドはクロケットをゆっくり味わう。ちなみにクロケットは、スポンジを粉砕しレアチーズに纏わせ焼成した物だ。
パルドの視線の先では、
(チョコとショコラも気に入ってくれたみたいだな)
ポテトサラダにそっくりなフルーツ入りのクリームチーズを食べて、口の周りがチーズまみれのチョコの口周りを舐めて綺麗にしたりと、ショコラが弟分の世話に精を出していた。
「お店では他にどんなのがあったの?」
ウォーゼルがもぐもぐしながら訊ねると、
「他にはシチューもあって……」
パルドはクロケットを食べながら、喫茶店で見掛けたそっくりスイーツをあれこれと挙げた。
「それにルルトも来ててな」
パルドがルルトと偶然出会った事を話すと、
「きっとすごく楽しかっただろうな」
聞いたウォーゼルは賑やかな光景を容易く想像し、笑んだ。
美味しいスイーツと楽しいお喋りな時間は、ゆるりと過ぎていくのであった。
「だな。どれもそっくりだったよな」
ルルト・アーキスとパルドは、軽やかな足取りで帰路を急いでいた。つい先ほど、エラトゥーン都市同盟南東のベールコートに佇む喫茶店『エヴァブルー』で、そっくりスイーツで収穫祭を祝ったばかりだ。
「お土産、迷っちゃったね」
「あぁ、結構迷ったよな……ミニコボが食べても大丈夫なやつがあってよかった」
喫茶店の話で盛り上がるルルトとパルドの手には、帰りを待つ大切な人へのお土産がしっかりと握られていた。
あれこれとお喋りに花を咲かせながら歩く中、
「後でどうだったか教えてねー!」
「ああ、そっちもどうだったか教えてくれな」
分かれ道を迎えルルトとパルドは、悪戯な調子で言って別れた。
そして、
「これを見たらびっくりするかなぁ」
「びっくりするかな。鼻がいいからすぐバレそうだけど、でも分かってても驚きそう」
ルルトとパルドは、帰りを待っているだろう大切な人の反応を想像して、わくわくしながら帰りの道を急いだ。
「ふふふ、どんな顔をするか楽しみだね、タマさん」
無事に家に到着したルルトは、わくわくが溢れてたまらないのか、楽しそうな顔で足先と尻尾の先だけが白い黒猫に話し掛けた。
「タマさんも楽しみなんだね」
ルルトの言葉を理解したように鳴くその声はまるで、楽しみだと言っているよう。
「じゃぁ……」
ルルトは、期待で自然とゆるゆるになる顔をきゅっと凛々しくさせてから、
「ただいまー」
お土産を背に隠していつもと変わらないを装ってドアを開け、大きな声で帰宅を知らせた。タマさんもいつも通りの顔で続いた。何とも賢い猫さんである。
「お帰り、ルルト、タマさん」
1人と1匹を迎えようと玄関に現れたのは、アルバス・ロウルとくりっと丸い瞳をしたイイズナのシロ。
「ただいま、アルバス、シロ」
ルルトはもう1度彼らの顔を見て挨拶を言ってから、
「じゃーん、お土産!」
背後からお土産を出して、可愛らしいドヤ顔を披露。
「お土産?」
アルバスは土産とルルトを見比べ、聞き返した。
「うん、すっごく、美味しいから、アルバスもきっと気に入るよ! だって……」
ルルトは、興奮気味に土産を推すあまり中身を言いそうになった所で、
「とにかく美味しいから!!」
大きな声で誤魔化して土産を渡した。
(危ない、危ない、中身は内緒にしなきゃ!!)
中身を言っては、アルバスのびっくり顔が見られないから。
「それは楽しみだな」
受け取ったアルバスは笑うだけだ。
(……何か隠していそうだが……楽しみにしておこうか……)
ルルトの素直ぶりから察したものの、がっかりさせたくなくて追及はしない。
という事で、
「茶でも用意しよう」
アルバスはお土産をテーブルに置き、いそいそと2人分の茶の準備を始めた。
「うん!!」
ルルトは、にこにこと椅子に座った。
「待たせたな」
すぐにアルバスが帰還して、ルルトの前に茶を置いた。
「ありがとう!」
ルルトは礼を言ってから、カップに口を付け一口。
「んーー、美味しい!」
優しい味ににっこり。
ルルトが茶を飲む横で、
「さて、どんな美味しい物が入っているのか」
アルバスは期待満々に箱に手を伸ばし、
「!!」
開けてびっくり。
「……ビーフシチューにマカロニサラダ……だが、匂いは甘い」
漂い鼻孔をくすぐる匂いからすぐに正体を知るアルバス。他には、野菜のフリッターとポワレがある。悩みに悩んでそれぞれ異なる2人と2匹分を買ってきたのだ。
「ね、ね、本物に見えるよね♪」
先ほどから見守っていたルルトは、アルバスの驚きようににこにこだ。
「あぁ、本当に見た目は料理に見えるな!」
驚きから戻って来たアルバスは改めてスイーツを1つずつ観察し、本物と遜色ない精巧な作りに感嘆。
そうして一通り中身を確認した後は、
「でしょ、食べよ、食べよ」
実食だ。
「はい、シロとタマさんは、野菜のフリッターとマカロニサラダをどうぞ」
ルルトはシロとタマさんの前に、スイーツを置いた。
「アルバス、先に食べたい物をどうぞ!」
ルルトは、先に選ぶように促した。
「では、ビーフシチューを」
アルバスが選んだのはビーフシチューだ。
「じゃぁ、ボクはポワレ!」
ルルトはポワレを選んだ。
「甘い!!」
アルバスは一口食べてびっくり。
「具材はフルーツのようだな……シチューはチョコか……道理で甘いはずだ」
甘いチョコレートに果物の酸味が丁度いい。驚きの次は興味津々だ。
「……野菜に見えるように切っているみたいだな」
見た目からシチューと野菜かと思いきや、味が違うため食べる度に驚く。
「これは……肉に見えるが……違うよな」
果物の次に目についたのは、肉に見える物。シチューと一緒にパクリ。
「なんだこれ、サクサクして……どうなってるんだ、これは」
サクサク食感にびっくり。実は、シュー生地で作られているのだ。
「……魚じゃないのに魚に見える。このちぐはぐさは何度食べても面白くて不思議だなぁ」
白身魚の香草ポワレの白ワインソース仕立てを食べるルルトも不思議そうな顔だ。
「んー、このソースは……ドレッシングとかじゃなくて……甘くてカスタードの味がする」
料理の腕を磨いているためか分析するように味わと共に、料理人の腕前に感心する。ポワレは、白身魚に見立てたライチのムースの上に白ワインのソースを演じるカスタード風味のソースと香草を演じるナッツと抹茶のクラムがかけられていた。
シロは、野菜に見立てた果物をみじんにしたスポンジ生地で焼成したフリッターの匂いを嗅いだり、ぺしぺししたり安全を確かめる前で、タマさんがマカロニに見立てたクッキーと果物たっぷりのクリームチーズを食べて、美味しさにご満悦な様を見て食べた。
「タマさんもシロも気に入ったみたいでよかった」
ルルトは、もぐもぐしながら2匹の様子を見守った。
そこに、
「これはルルトも食べたか?」
アルバスの興味に満ちた言葉が飛んできた。
「それはまだ食べてないかな。ちょっともらっていい? こっちのも食べてみる?」
ルルトは好奇心が抑えられず、自分のスイーツをそっと出しながら訊ねた。
「あぁ」
アルバスは申し出を受けて、お互いのスイーツを少しだけ交換。
「……食感は完全に魚なのに……甘い……何で出来てるんだ?」
「これ、お肉じゃない!」
アルバスとルルトは、交換したスイーツを口に入れ、驚きも分け合う。
「他にはどんなメニューがあった?」
アルバスが食べながら訊ねると、
「ボクが食べたのはね、お子様ランチ! エビフライとかハンバーグとか、他にもいろいろあったよ♪」
ルルトは、笑顔で声を弾ませ語る。スイーツの見た目や味にびっくりした瞬間を思い出しながら。
「それはまた美味しそうだな……いろいろ作れるもんだな」
アルバスは楽しそうに話すルルトの様子が微笑ましくて、こちらまで楽しくなる。
「でね、パルドにも会ったんだ!」
ルルトは友人との偶然の出会いを興奮気味に話し、
「今頃、同じように2人で食べてるのかな?」
別れ際を思い出して悪戯な顔に。
「あぁ、きっとびっくりしているんじゃないか」
アルバスもまた友人達の驚き顔を容易く想像し、楽しそうに笑った。
「今度はアルバスも一緒に行こうよ」
「ああ、次は一緒に行こう」
ルルトとアルバスは、『楽しい』をもっと共有したく約束を結んだ。
傍らでは、美味しいおやつを食べたタマさんが、毛繕いして身だしなみを整えていた。シロは寛いでいた。
ルルトと別れて無事に帰宅したパルドは、
「ウォーゼルとチョコはどんな反応するか楽しみだな」
ドアを開ける前にショコラに話し掛けた。
(ウォーゼルは甘いの好きだし、きっと喜ぶだろ)
二人の笑顔を思い浮かべ、想像につられて笑顔になってしまう。
そして、
「ただいま」
はやる気持ちと一緒にドアを開けて家に入った。
「おかえり」
ミニコボのチョコと一緒にウォーゼルが笑顔で迎えてくれた。
(何かこうして『おかえり』って言って迎えて貰えるのは、落ち着くようなほっとするような……)
『おかえり』を聞いたパルドは、嬉しさと安心感から自然と笑みがこぼれてしまう。
そんな胸中なんぞ知るはずのないウォーゼルが気になるのは、
「それは何? 微かに甘い匂いがするんだけど?」
パルドの手にある見知らぬ物。
「くふっ」
甘い匂いを嗅ぎ取る鼻のいいウォーゼルの様子に、パルドは自分の予想が当たった事に思わず小さく噴き出した。
「パルド?」
ウォーゼルが訳が分からぬと首を傾げると、
「何でもない。はい、土産」
パルドは、誤魔化してからお土産を改めて差し出した。
途端、
「お土産!!」
ウォーゼルは勢いよく受け取り、にこにこと笑顔に。
「どんなスイーツかな♪」
ウォーゼルはお土産をテーブルに置き、わくわくと中身の確認を始める。
「飲み物を用意しよう」
パルドははしゃぐウォーゼルに笑みながら、飲み物の用意を始めた。
その間、
「うわぁあ、何、これ!?」
お土産の中身を確認したウォーゼルは、あまりの精巧さにびっくりと声を裏返した。
「ステーキにポテトサラダに……」
他には、カルパッチョとクロケットがある。どれもこれも匂いは甘いが、見た目はただの料理。
「まずはカルパッチョ!」
ウォーゼルは近くの料理から手を伸ばし、
「赤身のお魚と思ったら苺のゼリーだ! ナッツの食感もいいね!」
見た目の繊細さにびっくりしながらも、甘い物好き故に迷わず一口パクリ。苺のゼリーにかかっているのは、蜂蜜と砕いたナッツだ。
「ふふ、美味しいね♪」
あっという間に至福の笑顔。
「チョコ、食べてごらんよ」
ウォーゼルは、匂いと見た目が合わぬ事に不思議そうにするチョコにカルパッチョを勧めた。
「美味しいよね!」
勧められるままパクリと食べたチョコは、見た目と違う味にびっくりするも美味しさに目を輝かせて尻尾をふりふり。
「ショコラも」
チョコの反応が気になったのか、こちらをじっと見ているショコラにもカルパッチョを勧めた。
ショコラがカルパッチョをもぐもぐしている所に、
「飲み物だ」
パルドが2人分の飲み物を手に現れた。
「ありがとー」
飲み物を受け取ったウォーゼルは喉を潤した。
「どうだ、美味しいだろ?」
パルドが味を問うと、
「うん、美味しい! どれもスイーツに見えないよ!」
ウォーゼルは興奮気味に言った。
「ウォーゼルに買ってきたんだし、いっぱい食べな」
パルドは食べる様子をじっと、にこにこ笑顔で見る。
「うん! このステーキ、切り口も焦げ目もお肉だよ!」
ウォーゼルは、見た目と味のギャップに驚いてから、心地よい甘さを味わった。真実は、ピスタチオがのったショコラオリーブソースを纏ったチェリーとショコラのムースだ。
「それはよかった」
パルドは喉を潤しながら言った。
「パルド、これ半分こしよ! 一緒に食べたらもっと美味しいから」
ステーキを食べ終えたウォーゼルは、クロケットを綺麗に半分こして片方を差し出した。『美味しい』や『楽しい』を共有したいから。
「あぁ、貰おう」
ウォーゼルの気持ちも分かるパルドは、遠慮はせずに貰った。
「美味しいね」
心地よい甘さを味わいながら、
(お土産をもらえたのは嬉しい。パルドがにこにこ楽しそうなのも)
ウォーゼルは、このひとときの優しさに心が満たされていく。
「あぁ、美味しいな……なかなか精巧だな」
パルドはクロケットをゆっくり味わう。ちなみにクロケットは、スポンジを粉砕しレアチーズに纏わせ焼成した物だ。
パルドの視線の先では、
(チョコとショコラも気に入ってくれたみたいだな)
ポテトサラダにそっくりなフルーツ入りのクリームチーズを食べて、口の周りがチーズまみれのチョコの口周りを舐めて綺麗にしたりと、ショコラが弟分の世話に精を出していた。
「お店では他にどんなのがあったの?」
ウォーゼルがもぐもぐしながら訊ねると、
「他にはシチューもあって……」
パルドはクロケットを食べながら、喫茶店で見掛けたそっくりスイーツをあれこれと挙げた。
「それにルルトも来ててな」
パルドがルルトと偶然出会った事を話すと、
「きっとすごく楽しかっただろうな」
聞いたウォーゼルは賑やかな光景を容易く想像し、笑んだ。
美味しいスイーツと楽しいお喋りな時間は、ゆるりと過ぎていくのであった。