更に実りある学園生活へ
キャラクターノベル制作 コースケ納品 2025年02月09日 09時13分23秒
●パンクリアース学園、生徒会室にて
新学期も始まり、生徒達が進級と卒業を間近に控えた二月。窓の外には雪が舞い、生徒達が足早に建物へ入っていく。そんな様子を横目に、生徒会会計のネーヴェ・グラヌローザは書類の整理を行っていた。
「温かくなるには時間がかかりそうですわね」
書類を綴り終えてそう呟いた時、コンコン、と控え目に鳴ったノックに顔を上げる。
「はい。どの様なご用件でしょう?」
扉を開けた先に立っていたのは、容貌に幼さの残る少年であり、ロウと名乗った。ネーヴェは、冷える場所で立ち話するのもと思い生徒会室に招く。
「生憎と今は私しか在室ではないのですけれど、どの様なご用でしょう?」
「ええと、生徒会の方にお願いがあって……」
「……?」
落ち着かない様子で口ごもるロウが話し易いよう言葉を待つネーヴェに、ロウは意を決した様子で口を開く。
「あの……、僕に生徒会の事を教えて貰えないでしょうかっ!!」
●少年の想い
「なるほど。生徒会長に立候補したい、ということですのね」
ネーヴェは落ち着くようにお茶をロウに淹れてやる。話を聞いたところ、ロウは生徒会長になりたいと言う。
しかし、ロウは12歳になったばかりの一年生であり、生徒会長を任せられる年齢と学年に達しているとは生徒達には思われ無いだろう。ロウもその事を自覚しているため、相談に訪れたのだ。
「申し上げにくいのですけれど、いきなり生徒会ではなく別の役職で実績を積んで、その後で生徒会長を目指すというのは如何でしょう?」
「やはり、駄目でしょうか……」
現実的ではないことから考えを改めることを勧めようとしたネーヴェだったが、項垂れるロウの様子が気になりその理由をたずねた。
「よろしければ、理由をお聞きしても?」
「……友達が、退学しそうなんです」
ロウによると、商人の支援を受けて入学していた同級生が、その商人が商売に失敗したことで支援を受けられなくなり、来年度の学費が払えなくなると言う。
その友人は平民出身で学園の学費を払えるような金銭的余裕は無いため、ロウは王国貴族である父親に援助をして貰えるよう手紙を送ったが、友人が授恵者ではない平民という事で却下されてしまい、自力で何とかしようとここに来たと言う。
「彼は僕よりとても優秀で、良い奴なんです。生徒会長になれば、予算を決めれるんでしょう? それで彼を学園に引き止めたいんです!」
「そう言うことでしたの……」
ロウにとって、その友人はとても大切な存在なのだろう。ネーヴェ自身、多くの大切な友人と互いに支え合って来たためロウの気持ちは痛いほど分かる。
――それだけに、事実を告げる事は躊躇われた。
●残酷な現実とひらめき
(どう伝えれば良いのかしら……)
生徒会は学園と生徒の間を取り持つ為の存在であり、予算を個人の為に使うようなことが出来ないことは、今年度の会計として働いて来たネーヴェはよく知っている。
友人のような生徒に対する支援を公約を掲げて選挙に出馬することも考えたが、仮に当選できたとしても、公約を達成するまでには時間がかかり、友人がそれまで学園に残っていられるとは考え難い。
「何か他に手段は……そうですわ!」
「あの、どうしたんですか?」
「すみません、ちょっと思い出したんですの!」
急に立ち上がったネーヴェに狼狽えるロウに断り、生徒会室の引出しを探して一枚の書類を取り出す。それをテーブルの上に置いたネーヴェは、ロウに向き直った。
「申し上げにくいのですけれど、ロウ様が生徒会長となっても、お友達の学費の為に予算を使うことは出来ませんの」
「え……!?」
それにすがってここへ来ただけに、ロウが青ざめ絶望的な顔になる。それに申し訳なさを感じつつも、ネーヴェは理由を説明し理解を求める。
「そう……なんですね」
「ですが、希望はありますわ。そのお友達は優秀な方なのですわよね?」
「……っはい! 僕より年下なのに座学の成績が良くて、特に算術は学年でも上位なんです!!」
この世の終わりのような顔をしていたロウだったが、希望があると聞き立ち上がって声を上げる。それを聞いたネーヴェは微笑みを浮かべて書類を差し出した。
「そのお友達次第ですけれど、学園には奨学金制度というものがありますの」
●気持ちを新たに
「ありがとうございました。奨学金のことを伝えたら、学園に残れるようやる気になってくれました。これもネーヴェさんのお陰です!」
「それは何よりですわ。けれど、この結果はロウ様がお友達のために行動したからですの。私はそのお手伝いをしただけですわ」
何度も礼を言うロウを見送るネーヴェの胸に、達成感と共にある考えが浮かぶ。朧気に考えていたことだったが、この一件でそれがはっきりとした形になっていた。
まず親友と恋人に伝えようと決め、ネーヴェはそれを声に出す。
「私、次の選挙で生徒会長に立候補しようと思いますの!」
新学期も始まり、生徒達が進級と卒業を間近に控えた二月。窓の外には雪が舞い、生徒達が足早に建物へ入っていく。そんな様子を横目に、生徒会会計のネーヴェ・グラヌローザは書類の整理を行っていた。
「温かくなるには時間がかかりそうですわね」
書類を綴り終えてそう呟いた時、コンコン、と控え目に鳴ったノックに顔を上げる。
「はい。どの様なご用件でしょう?」
扉を開けた先に立っていたのは、容貌に幼さの残る少年であり、ロウと名乗った。ネーヴェは、冷える場所で立ち話するのもと思い生徒会室に招く。
「生憎と今は私しか在室ではないのですけれど、どの様なご用でしょう?」
「ええと、生徒会の方にお願いがあって……」
「……?」
落ち着かない様子で口ごもるロウが話し易いよう言葉を待つネーヴェに、ロウは意を決した様子で口を開く。
「あの……、僕に生徒会の事を教えて貰えないでしょうかっ!!」
●少年の想い
「なるほど。生徒会長に立候補したい、ということですのね」
ネーヴェは落ち着くようにお茶をロウに淹れてやる。話を聞いたところ、ロウは生徒会長になりたいと言う。
しかし、ロウは12歳になったばかりの一年生であり、生徒会長を任せられる年齢と学年に達しているとは生徒達には思われ無いだろう。ロウもその事を自覚しているため、相談に訪れたのだ。
「申し上げにくいのですけれど、いきなり生徒会ではなく別の役職で実績を積んで、その後で生徒会長を目指すというのは如何でしょう?」
「やはり、駄目でしょうか……」
現実的ではないことから考えを改めることを勧めようとしたネーヴェだったが、項垂れるロウの様子が気になりその理由をたずねた。
「よろしければ、理由をお聞きしても?」
「……友達が、退学しそうなんです」
ロウによると、商人の支援を受けて入学していた同級生が、その商人が商売に失敗したことで支援を受けられなくなり、来年度の学費が払えなくなると言う。
その友人は平民出身で学園の学費を払えるような金銭的余裕は無いため、ロウは王国貴族である父親に援助をして貰えるよう手紙を送ったが、友人が授恵者ではない平民という事で却下されてしまい、自力で何とかしようとここに来たと言う。
「彼は僕よりとても優秀で、良い奴なんです。生徒会長になれば、予算を決めれるんでしょう? それで彼を学園に引き止めたいんです!」
「そう言うことでしたの……」
ロウにとって、その友人はとても大切な存在なのだろう。ネーヴェ自身、多くの大切な友人と互いに支え合って来たためロウの気持ちは痛いほど分かる。
――それだけに、事実を告げる事は躊躇われた。
●残酷な現実とひらめき
(どう伝えれば良いのかしら……)
生徒会は学園と生徒の間を取り持つ為の存在であり、予算を個人の為に使うようなことが出来ないことは、今年度の会計として働いて来たネーヴェはよく知っている。
友人のような生徒に対する支援を公約を掲げて選挙に出馬することも考えたが、仮に当選できたとしても、公約を達成するまでには時間がかかり、友人がそれまで学園に残っていられるとは考え難い。
「何か他に手段は……そうですわ!」
「あの、どうしたんですか?」
「すみません、ちょっと思い出したんですの!」
急に立ち上がったネーヴェに狼狽えるロウに断り、生徒会室の引出しを探して一枚の書類を取り出す。それをテーブルの上に置いたネーヴェは、ロウに向き直った。
「申し上げにくいのですけれど、ロウ様が生徒会長となっても、お友達の学費の為に予算を使うことは出来ませんの」
「え……!?」
それにすがってここへ来ただけに、ロウが青ざめ絶望的な顔になる。それに申し訳なさを感じつつも、ネーヴェは理由を説明し理解を求める。
「そう……なんですね」
「ですが、希望はありますわ。そのお友達は優秀な方なのですわよね?」
「……っはい! 僕より年下なのに座学の成績が良くて、特に算術は学年でも上位なんです!!」
この世の終わりのような顔をしていたロウだったが、希望があると聞き立ち上がって声を上げる。それを聞いたネーヴェは微笑みを浮かべて書類を差し出した。
「そのお友達次第ですけれど、学園には奨学金制度というものがありますの」
●気持ちを新たに
「ありがとうございました。奨学金のことを伝えたら、学園に残れるようやる気になってくれました。これもネーヴェさんのお陰です!」
「それは何よりですわ。けれど、この結果はロウ様がお友達のために行動したからですの。私はそのお手伝いをしただけですわ」
何度も礼を言うロウを見送るネーヴェの胸に、達成感と共にある考えが浮かぶ。朧気に考えていたことだったが、この一件でそれがはっきりとした形になっていた。
まず親友と恋人に伝えようと決め、ネーヴェはそれを声に出す。
「私、次の選挙で生徒会長に立候補しようと思いますの!」