チョコに想いを乗せて

キャラクターノベル(グループ)制作 狐野径納品 2021年02月09日 20時22分45秒

●湯煎
 ここは人気のない森にある大樹に作られたログハウス。
 住民はルーカ・ルンガルディエールとエリック・ハルトマン。
 その台所で二人はチョコレート菓子を作り始めていた。

「チョコレートお菓子作り、楽しみですね」
 ルーカは菓子の主な材料となるチョコレートを湯煎している。
 材料のチョコレートが湯煎により、徐々に溶けていく。
 溶けていくことで甘い香りが漂う。
 ルーカは作る物を考え、作った後のことを考えると、自然と笑みがこぼれた。

 エリックはルーカを眺める。
 ルーカの動きは特にないが、手元のチョコレートに集中する姿を見ているだけでも嬉しい。
 甘い香りが広がるにつれて、エリックの表情もとろけるようだった。
 今回はルーカが喜ぶ顔を見たくて、頑張ってチョコレート菓子を作るつもりだ。
 あまり料理をしないけれども、最近はルーカが作る手際を見ている。そのため、なんとなく、どうするかなどは頭の中にあった。

 しばらくするとチョコレートの湯煎が終了する。
「すぐに冷めると困るので、少しゆるめにしてあります。やけどしないで下さいね」
 ルーカはエリックに説明をした。
「注意するで」
 エリックは返事する。エリックが使うのにちょうど良い分量が、一つのボウルに入っている。
「このくらいでいいでしょうか?」
「問題ないで」
 エリックは告げる。
「では、そろそろ、こちらも始めますね」
「ああ、こっちもな」
 火を使うことがないエリックがテーブルの方に移動する。
「よし、ルーカのために頑張って作るで!」
 気合いを入れるエリックだった。

●菓子、作る時
 ルーカが作るのは、二種類。ウィスキーボンボンと蒸しパンケーキだ。
 並行作業なため、終わりを意識して手順を組み立てる。
 まずは、一口大より小さめに切ったパンを酒に浸す。
 その間に蒸しパンの生地を作る。小麦粉などを混ぜて基礎を作ったところに、チョコレートとウィスキーを混ぜたものを注ぎ、混ぜ合わせる。これで生地は完成。
 酒が染みたパンにチョコレートをコーティングしていく。これは平たい器にチョコレートを流し込み、パンを並べる。その上にチョコレートを注いだあとは固まるのを待つ。
 蒸しパンケーキはいくつかに生地を分けて、形を整え、蒸し器にセットした。
 湯気が上がる蒸し器を横目に、チョコレートの固まり具合を見る。切れ目を入れて、取りやすく、食べやすくして完成だ。

 エリックは生チョコレートを作る。その味わいはミルクチョコレートを意識する。
 ルーカが好きそうだから選んだのがこの菓子だ。
 材料を混ぜて型を取っていくのだが、その材料の配分を間違うと、チョコレート味の生クリームになったり、普通のチョコレートになってしまう。
 材料を量り、合わせ、混ぜる。
 ぬくもりがあったチョコレートは、他の材料が加わることで、冷えるのが早くなる。
 形が付きやすい柔らかさがの間に、平たい器に厚みが均一になるように伸ばす。
 そして、ハートの型抜きを使って、形を作る。
 抜くとき、チョコレートが歪んだり、型に付く。それは、取り出したとき、うまく状態を整える。
 徐々に型抜きされたとチョコレートができる。
 そして、型が抜かれて余ったチョコレートはまだ、どうにか形を整えることはできそうだった。
 だから、丸めて、大きなハートに仕上げる。
 ココアパウダーをまぶし、くっつくのを押さえて完成だ。
「意外とできるもんやな」
 エリックはできた物を見て、笑みが浮かんだ。

●溶ける、もの
 互いに菓子ができた頃、テーブルの上を片付け、食べるための準備をする。
 甘い菓子にあった温かい飲み物と共に。

 ルーカはエリックが作った生チョコレートを見て、目を輝かせる。
 ハートの形からエリックの心が溢れている。
 一方、エリックはルーカのいつも通り素敵にできている菓子を見て感心する。

「では、これをどうぞ」
 ルーカはウィスキーボンボンのチョコを指でつまみ、エリックの口に運ぶ。
 そのボンボンはするりとエリックの口に入る。
 エリックの口の中で、じわりと広がるのはウィスキーの香りと、アルコールの苦みとそれを惑わすチョコレートの甘さ。
 それを味わいながらエリックは目を細める。

「ふふっ、お口に合ったでしょうか?」
 ルーカが尋ねる。
「もちろんや。こっちも食べてほしいで」
 エリックは、食べやすいサイズの生チョコレートをつまむと、ルーカの口元に運ぶ。

 ルーカは唇で受取り、舌の上にチョコレートを運ぶ。
 ルーカは生チョコレートを舌の上で溶かすように食べる。
 そのため、味わうのが長かった。
 その表情をエリックが見つめる。緊張しているように見える。
「おいしいです」
 ルーカが言うと、エリックはほっとした。
「間があったから、ひやりとしたわ」
 エリックは苦笑する。
「だって、じっくり味わいたいですよ。だから、仕方がありません」
「そっか」
 エリックは指先に付いたココアパウダーを口に含んだ。
「味見はしたんですよね?」
「ま、したけど……」
「なら、焦ることなんて一つもありませんよ」
 ルーカはエリックの生チョコをつまむと口に運んだ。その後、生チョコレートをつまむと、エリックの唇に押し当てた。

「なんや、自分で作ったの食べることになってるで」
「でも、おいしかったでしょう?」
「まー、ルーカのため思って作ったからや」
 ルーカは微笑むと、ウィスキーボンボンをつまみ、エリックの口に押し込む。
「何するん」
 先ほどの生チョコレートと異なり、口にグイッと来る。エリックはむっとした声を出したが、チョコレートは口の中できちんと食べる。
「私が作ったのを食べてもらわないといけませんね」
 ルーカの言葉にエリックは「もちろんやで」と答え微笑む。
「そっちのパンみたいなのは?」
 エリックはほこほこと湯気も出ている蒸しパンケーキを指さす。
「次はこれ食べてみます?」
 ルーカは一つとると、一口大に割って差しだそうとした。
 しかし、その途中で、エリックがパクリと口に含む。
「ああ、もう!」
「アツッ!」
「やけど、してませんか? 水、いります?」
 ルーカが慌てる。
 その肩をエリックが両手で触れる。抱きしめるように、止めた。
「大丈夫や。やけどするほどは熱くないで? それに、そんな、やけどするようなもん、ルーカが素手で割る方が問題や」
 エリックはルーカの顔を真正面から見て告げる。
 ルーカは目の前のエリックの真面目な表情を見て、うなずいた。
 エリックは椅子に座り直す。
「うまいで。さすがルーカや」
 エリックは蒸しパンケーキを割りながら、そのぬくもりを楽しむ。
 そして、口に運んだ。

 ルーカはエリックが蒸しパンケーキを食べている姿を幸せそうに眺める。
 それに気づいたように、エリックはルーカを見る。
「愛してるで」
「はい、私もです」
 二人は微笑み合う。
「せっかくやし、ルーカもどんどん食べ」
 エリックは生チョコレートをつまむと、ルーカの口元に運んだ。
「もちろん、いただきます」
 口に含み、舌に載せる。
 載せるととろりととろけ、喉に流れていく。
「パウダー付いてるで」
 エリックは指でルーカの唇をぬぐう。
「おいしいですから気にしてませんでした。あなただって同じですよ」
 ルーカも指でぬぐう。

 二人は見つめ合った後、互いに、チョコを贈るのだった。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0