それは雪の日
キャラクターノベル(グループ)制作 ウケッキ納品 2024年12月30日 09時26分30秒
●それは雪の日
「よっと、こんなもんかなっ」
天井から壁に吊るす飾り付けを終えた【アリッグ・レイダー】は額の汗を手で拭った。彼は今【シルク・メイプルリーフ】に肩車されている。飾り付けをするのには背が足りなかったためである。
シルクに任せるという手もあったが、そうなると天井周りの飾りつけは任せっきりになってしまう。それは何か悪い気がする、ということで肩車されて飾りつけをするという案に至ったようだ。その甲斐もあって、部屋の飾りつけはそう時間が掛からずに終えることができた。
アリッグを掴んでシルクは彼を下すと、料理用のエプロンを着る。アリッグはその間に料理器具の準備を進めているようだ。なお、エプロンを着けてはいるがメインで料理をするのはアリッグである。
まず、彼は丸鳥の毛をむしった状態の物を取り出す。臓物はすでに抜いて血抜きも済んでいるものだ。
アリッグは砂糖を適量つまむと、丸鳥にすり込んでいった。お腹の中にもすりこんでいく。それを塩、胡椒の順に済ませていった。
「塩、胡椒はわかるんですけど……どうして砂糖を?」
「ああ、これはな、昔に聞いたことだけど砂糖を最初にすり込んでおくことで、肉が柔らかくなるんだ」
話ながら丸鳥の尻側にあけた穴へ、ハーブなどの香草、細かく刻んだ玉ねぎ、ネギを順番に詰めていった。最後に短い木ぐしで穴を閉じる。細い料理用の糸で足を縛れば下準備は完成となる。
オーブン用のトレイに丸鳥を置くと、ざく切りにしたじゃがいも、人参を周囲に並べていく。最後に果実から抽出した香り高い油を適量かけ、オーブンへと突っ込んだ。
「よし、後はケーキの仕上げをしてしまおうか」
「はい。では出しますね?」
あらかじめ用意しておいたケーキのスポンジをシルクが持ってくると、アリッグはクリームの用意をしていたようだ。ボウルに入れ、ぐるぐるとかきまぜている。
まぜ終わったクリームを、アリッグとシルクは木べらで丁寧にスポンジへと塗り付けていった。
慎重にスポンジを傷つけないように塗っているアリッグの眼差しを見て、シルクはくすっと笑う。
それに気が付いたアリッグは彼女の方を振り向き、不思議そうな顔をしていた。
「なんだよ? どうかしたか」
「いいえ、ちょっとこっちに来てください」
頭にハテナを浮かべながらシルクに寄ったアリッグの鼻先にシルクはキスをした……と同時に鼻先についていたクリームをぺろりと舐め取る。その瞬間、アリッグの顔が真っ赤になった。
「なっ、なっ、ナニシテっ!? ああ、もうっ!」
「んふふ、拭き取ってしまうには、もったいないですから」
耳まで真っ赤にしながらも、ちょっと背伸びしてアリッグはシルクの唇を奪った。一瞬、驚いたシルクだがすぐに彼を抱きしめる。
唇を離すとアリッグはまだ少々頬を赤くしながらも、にやりと笑った。
「へへ、お返しだ」
「やられちゃいましたね、まさか不意打ちとは」
「俺だって、成長するんだ。ちょっとはなっ」
恥ずかしそうにそう言ったアリッグを見て、シルクはまた再び笑顔を見せるのだった。
そうしてシルクはふたの締められた鍋を見つける。ことことと煮込まれているようだ。
「あの、こっちのは一体?」
「ああ、それは仕込んでおいたクリームシチュー。もちろん、鶏肉たっぷりの奴だ!」
ふたを開けると、アリッグは小皿に少量を取って味見をする。少し悩んだ後、香草と塩を少々足す。ぐるぐるとかき混ぜていると実に美味しそうな香りが漂った。
「えっと、あの木の茎から取った調味料は……上か……ぬぐぐぐ!」
彼よりも上方にある戸棚の扉を開けることには成功するが、アリッグでは到底背が足りない。
手を伸ばして苦心している彼を、シルクはひょいっと抱き上げた。調味料をアリッグが取ったのを確認してから、ゆっくりと床に下ろす。
「ちっ、背の高さだけはどうにもならないのがな」
少しだけ悔しそうにしているアリッグを見て、可愛かったのだろう、シルクはにこにこと微笑んでいる。
しばらくして。
アリッグとシルクは出来上がった料理を机に並べていく。机には丸鳥のローストチキン、クリームたっぷりのケーキ、鶏肉のクリームシチューが並んだ。窓の外に降る雪に似合う料理の勢揃いとなる。
席に着いたアリッグとシルクは食事前のお祈りを済ませると、夕食を開始する。ほくほくのローストチキン、シチューは身体が芯から温まる良い味だった。
シチューをすくうと、アリッグは口を開けて待っているシルクに食べさせる。あーんするのは二人の決まりのようなものだ。
「ん、味が染み込んだクリームシチュー……とっても美味しいです。ふふ、何杯でもおかわりができそうですね?」
ローストチキンを掴むとシルクはアリッグの口へと持っていく。アリッグは肉にかぶりついた。
「だろ? 結構、味にはこだわったからな。はぐっ……うん、ローストチキンも納得の出来だ。へへ、店が出せるぐらいじゃねえか?」
ちょっと自慢気に胸を張るアリッグを見て、シルクもローストチキンを一口食べさせてもらう。じゅわっと肉汁が溢れ、香草と塩胡椒が舌を楽しませる。香ばしい香りが鼻に抜け、とても美味しい味にシルクは嘆息する。
「はふぅ、これは……罪な味ですね? いくらでも食べれちゃいそうです。どうですか、いっそ料理店でも開いてみては?」
「ははは、子供がいっぱい生まれたら考えるかもな! みんなに囲まれて、小さな食堂をやるってのも、案外……悪くないかもなぁ」
二人は談笑しながら美味しい料理に舌鼓を打ち、二人の夕食の時間を楽しんだ。
料理を平らげ、満腹になったアリッグは椅子の背もたれに背を預け、ふうっと一息。シルクは隣で布を使い、口を拭っている。
「いやぁ、食った、食った。さてと、それじゃ……お待ちかねのプレゼント交換だ」
「では私から。近所の工房で見つけたので、似合うといいのですが……」
そうしてシルクが取り出したのは小さなプレゼントの箱。
受け取ったアリッグがそれを開くと、中には銀製のイヤーカフが入っていた。片耳用で、耳の外側を覆うタイプだ。よく見れば小さな宝石がいくつかあしらわれている。
「綺麗なイヤーカフだな? へへ、着けてもいいか」
「もちろん。着けて見せてください」
アリッグが装着すると、彼に似合いの一品であったことが示される。専用としてあつらえたかのようにぴったりだ。
「ありがとな! すっげえ嬉しいよ。それじゃ、俺からはこれを」
少々恥ずかしそうにプレゼントの箱をアリッグはシルクに渡す。
中には布地が少ない、赤い色の透けたパンツが入っていた。ブラもセットで同じ赤いバラをモチーフとしたデザインのようだ。実にどセクシーである。
「あら、そっちのプレゼントが良かったんですか? んふふ」
「まあ、その……俺はお前の全てが好きだし。心も体もな!」
シルクは獲物を見るような目に一瞬だけなると、指先を唇に当て、彼に尋ねた。その仕草にアリッグはドキッとする。
「ふーん……仕事のお休み、いつまででしたっけ?」
「まだ、余裕はあるな。ははは」
アリッグをすっと抱き上げるとシルクは彼にキスをする。
「今夜はとことん付き合ってもらいますよ? こんなプレゼントも貰いましたし」
「望む所だ。負けねぇからなっ」
そんな会話をしながら……二人は寝室へと消えていくのだった。
「よっと、こんなもんかなっ」
天井から壁に吊るす飾り付けを終えた【アリッグ・レイダー】は額の汗を手で拭った。彼は今【シルク・メイプルリーフ】に肩車されている。飾り付けをするのには背が足りなかったためである。
シルクに任せるという手もあったが、そうなると天井周りの飾りつけは任せっきりになってしまう。それは何か悪い気がする、ということで肩車されて飾りつけをするという案に至ったようだ。その甲斐もあって、部屋の飾りつけはそう時間が掛からずに終えることができた。
アリッグを掴んでシルクは彼を下すと、料理用のエプロンを着る。アリッグはその間に料理器具の準備を進めているようだ。なお、エプロンを着けてはいるがメインで料理をするのはアリッグである。
まず、彼は丸鳥の毛をむしった状態の物を取り出す。臓物はすでに抜いて血抜きも済んでいるものだ。
アリッグは砂糖を適量つまむと、丸鳥にすり込んでいった。お腹の中にもすりこんでいく。それを塩、胡椒の順に済ませていった。
「塩、胡椒はわかるんですけど……どうして砂糖を?」
「ああ、これはな、昔に聞いたことだけど砂糖を最初にすり込んでおくことで、肉が柔らかくなるんだ」
話ながら丸鳥の尻側にあけた穴へ、ハーブなどの香草、細かく刻んだ玉ねぎ、ネギを順番に詰めていった。最後に短い木ぐしで穴を閉じる。細い料理用の糸で足を縛れば下準備は完成となる。
オーブン用のトレイに丸鳥を置くと、ざく切りにしたじゃがいも、人参を周囲に並べていく。最後に果実から抽出した香り高い油を適量かけ、オーブンへと突っ込んだ。
「よし、後はケーキの仕上げをしてしまおうか」
「はい。では出しますね?」
あらかじめ用意しておいたケーキのスポンジをシルクが持ってくると、アリッグはクリームの用意をしていたようだ。ボウルに入れ、ぐるぐるとかきまぜている。
まぜ終わったクリームを、アリッグとシルクは木べらで丁寧にスポンジへと塗り付けていった。
慎重にスポンジを傷つけないように塗っているアリッグの眼差しを見て、シルクはくすっと笑う。
それに気が付いたアリッグは彼女の方を振り向き、不思議そうな顔をしていた。
「なんだよ? どうかしたか」
「いいえ、ちょっとこっちに来てください」
頭にハテナを浮かべながらシルクに寄ったアリッグの鼻先にシルクはキスをした……と同時に鼻先についていたクリームをぺろりと舐め取る。その瞬間、アリッグの顔が真っ赤になった。
「なっ、なっ、ナニシテっ!? ああ、もうっ!」
「んふふ、拭き取ってしまうには、もったいないですから」
耳まで真っ赤にしながらも、ちょっと背伸びしてアリッグはシルクの唇を奪った。一瞬、驚いたシルクだがすぐに彼を抱きしめる。
唇を離すとアリッグはまだ少々頬を赤くしながらも、にやりと笑った。
「へへ、お返しだ」
「やられちゃいましたね、まさか不意打ちとは」
「俺だって、成長するんだ。ちょっとはなっ」
恥ずかしそうにそう言ったアリッグを見て、シルクはまた再び笑顔を見せるのだった。
そうしてシルクはふたの締められた鍋を見つける。ことことと煮込まれているようだ。
「あの、こっちのは一体?」
「ああ、それは仕込んでおいたクリームシチュー。もちろん、鶏肉たっぷりの奴だ!」
ふたを開けると、アリッグは小皿に少量を取って味見をする。少し悩んだ後、香草と塩を少々足す。ぐるぐるとかき混ぜていると実に美味しそうな香りが漂った。
「えっと、あの木の茎から取った調味料は……上か……ぬぐぐぐ!」
彼よりも上方にある戸棚の扉を開けることには成功するが、アリッグでは到底背が足りない。
手を伸ばして苦心している彼を、シルクはひょいっと抱き上げた。調味料をアリッグが取ったのを確認してから、ゆっくりと床に下ろす。
「ちっ、背の高さだけはどうにもならないのがな」
少しだけ悔しそうにしているアリッグを見て、可愛かったのだろう、シルクはにこにこと微笑んでいる。
しばらくして。
アリッグとシルクは出来上がった料理を机に並べていく。机には丸鳥のローストチキン、クリームたっぷりのケーキ、鶏肉のクリームシチューが並んだ。窓の外に降る雪に似合う料理の勢揃いとなる。
席に着いたアリッグとシルクは食事前のお祈りを済ませると、夕食を開始する。ほくほくのローストチキン、シチューは身体が芯から温まる良い味だった。
シチューをすくうと、アリッグは口を開けて待っているシルクに食べさせる。あーんするのは二人の決まりのようなものだ。
「ん、味が染み込んだクリームシチュー……とっても美味しいです。ふふ、何杯でもおかわりができそうですね?」
ローストチキンを掴むとシルクはアリッグの口へと持っていく。アリッグは肉にかぶりついた。
「だろ? 結構、味にはこだわったからな。はぐっ……うん、ローストチキンも納得の出来だ。へへ、店が出せるぐらいじゃねえか?」
ちょっと自慢気に胸を張るアリッグを見て、シルクもローストチキンを一口食べさせてもらう。じゅわっと肉汁が溢れ、香草と塩胡椒が舌を楽しませる。香ばしい香りが鼻に抜け、とても美味しい味にシルクは嘆息する。
「はふぅ、これは……罪な味ですね? いくらでも食べれちゃいそうです。どうですか、いっそ料理店でも開いてみては?」
「ははは、子供がいっぱい生まれたら考えるかもな! みんなに囲まれて、小さな食堂をやるってのも、案外……悪くないかもなぁ」
二人は談笑しながら美味しい料理に舌鼓を打ち、二人の夕食の時間を楽しんだ。
料理を平らげ、満腹になったアリッグは椅子の背もたれに背を預け、ふうっと一息。シルクは隣で布を使い、口を拭っている。
「いやぁ、食った、食った。さてと、それじゃ……お待ちかねのプレゼント交換だ」
「では私から。近所の工房で見つけたので、似合うといいのですが……」
そうしてシルクが取り出したのは小さなプレゼントの箱。
受け取ったアリッグがそれを開くと、中には銀製のイヤーカフが入っていた。片耳用で、耳の外側を覆うタイプだ。よく見れば小さな宝石がいくつかあしらわれている。
「綺麗なイヤーカフだな? へへ、着けてもいいか」
「もちろん。着けて見せてください」
アリッグが装着すると、彼に似合いの一品であったことが示される。専用としてあつらえたかのようにぴったりだ。
「ありがとな! すっげえ嬉しいよ。それじゃ、俺からはこれを」
少々恥ずかしそうにプレゼントの箱をアリッグはシルクに渡す。
中には布地が少ない、赤い色の透けたパンツが入っていた。ブラもセットで同じ赤いバラをモチーフとしたデザインのようだ。実にどセクシーである。
「あら、そっちのプレゼントが良かったんですか? んふふ」
「まあ、その……俺はお前の全てが好きだし。心も体もな!」
シルクは獲物を見るような目に一瞬だけなると、指先を唇に当て、彼に尋ねた。その仕草にアリッグはドキッとする。
「ふーん……仕事のお休み、いつまででしたっけ?」
「まだ、余裕はあるな。ははは」
アリッグをすっと抱き上げるとシルクは彼にキスをする。
「今夜はとことん付き合ってもらいますよ? こんなプレゼントも貰いましたし」
「望む所だ。負けねぇからなっ」
そんな会話をしながら……二人は寝室へと消えていくのだった。
登場キャラクター
シルク・メイプルリーフ
アリッグ・レイダー