【遊恋】Wheel of Fortune
4周年イベントノベル(テーマ)制作 卯佐乃心月納品 2024年10月12日 09時28分09秒
「ネネ、こっち向きでよかったか」
「ええ。大丈夫ですわ、アル」
アルフィー・リッパーとネーヴェ・グラヌローザは、隣り合って座る観覧車の中で、ゆっくりと閉園を待つ遊園地を見下ろしていた。
パカパカタウンに転移して1ヶ月。
2人が恋人同士であることを知った住人に、あることを聞いたアルフィー。
夜のパレード終わりに絶対乗るべきと言われた観覧車へ勇気を出して彼女を誘い、彼はその時を待っていた。
分厚いガラスに囲まれている為かいつもより声がはっきり聞こえる。まるで2人きりの世界のよう。
「楽しかったですわね」
「ああ」
「ふっ、ふふふ」
「何だ?」
不意にネーヴェが笑う。
彼女が指差した先には、昼に立ち寄ったアイスワゴン。
『どうしようネネ、フレーバーが多すぎて選べない!』
そうメニューに駆け寄って、子供のようにはしゃいだアルフィー。
色んな味を楽しもうとシェアした時、それを猫耳と尻尾をぴんぴんに立てて、ネーヴェが差し出したスプーンを照れながら"あーん"と口にしたアルフィー。
そんな彼氏のお約束な姿を思い出したのだと、ネーヴェが言った。
「そういうネネだって」
今日乗ったカルーセルやアルパカカー、空中ライド。物珍しそうに目を輝かせていて可愛かったと、耳と尻尾を立てつつ対抗して言った。
そんなお互いが可笑しくて、殆ど同時に吹き出してしまう。
「そういえば、あの時のジェットコースター、大丈夫でした?」
「え? あ、ああまぁ」
その様子だと苦手だったのだろう。
そういえば降りたとき、毛は逆立っていて、耳もぺたっとしていた様子だった。
(苦手なだけで、嫌いってわけじゃないし)
突然、彼の腕に身を寄せるネーヴェ。
「ふふふ。ありがとうございます」
「俺は、楽しんでるネネを見れて幸せだから」
ゆっくり上がっていくゴンドラ。
車内に響くモーター音とお互いの呼吸音。
段々と小さくなっていく賑やかな景色。
楽しかった時間からも遠ざかっているかのようで、ネーヴェは感嘆のため息を零した。
その横にいるアルフィーはそわそわと、窓枠に付いたカウンターを見ている。
――頂上まであと60秒。
「ネ、ネネ。あのさ。この観覧車って、てっぺんでキスをすると、ずっと一緒にいられるって言われてるんだって」
緊張で固くなったアルフィーの声を気遣うように、ネーヴェは身を離して一生懸命な彼氏の顔を伺う。
「俺、ネネと一緒にパカパカタウンに来れてよかった。もしこの先も、どこかへ行くことがあっても、ネネとがいいと思ってる。俺は、ずっと、ネネと一緒にいたい」
――頂上まであと10秒。
――頂上まであと5、4、
「ネネ、キスしても」
――3、
「……いいか?」
――2、
(ふふふ、もうっ)
――1、
「ネネ……っむ」
――0。
甘いムードを崩した申し出に、ネーヴェは小さく微笑えんで、返事を請う彼の口へ彼女は返事代わりのキスをした。
突然のことに一瞬固まったアルフィーだったが、押し当てられたその唇を迎えるようにそっと押し返す。
ゆっくりと離れていく2人。
先にキスされたアルフィーは目をまん丸にしていた。
「ネネ……」
「こういう時はわざわざ尋ねなくても良いんですのよ」
して欲しかった気持ちを隠さない声色で耳元に囁いて、ネーヴェはそのまま彼の肩にしなだれかかる。
「そ、そういうものなのか」
スマートさは無いものの、この関係を丁寧に育もうとしている気持ちが見える気がして、ネーヴェはアルフィーへの愛おしさが高まった。
「少なくとも、私は。けれど、素敵でしたわ」
無意識だろうか。
余韻を確かめるように、彼女は自分の下唇をそっと撫でている。
その仕草は、普段大人っぽいネーヴェとは違って幼く見えた。
アルフィーは遊んでいる彼女の指先を捕まえると、もう一度ネーヴェに向き合う。
「でも、俺が先にしたかった」
そう軽く拗ねたふりをして、ネーヴェが何かを発する前にもう一度キスをしようと頬に手を添える。
ネーヴェは彼のふりにクスクス笑いながらも、静かに目を閉じてキスを受け入れた。
敏感な皮膚越しに感じる相手の体温。
離れがたいのか、どちらからともなく指先を絡めて恋人繋ぎをする2人。
ゆっくりと離れていくと、恋人の瞳の中に遊園地の夜景を見つけた。
「景色が凄く綺麗だ。ネネとみられてよかった」
「ええ、私も。あなたと一緒に見られて良かった」
繋いだままの手。
絡ませた指に頬を赤く染めながらもアルフィーは、この手は絶対に離さないと心の中で誓った。
「これで、きっと、ずっと一緒だ」
ネーヴェも、ジンクスに頼らずとも己は彼と共に歩むつもりだと心を込めて伝える。
「ええ、この先ずっとよ」
それはこれまでも、当然これからも。
「ネネ、また来ような」
「勿論ですわ」
疑いようのない気持ち。
さりとてネーヴェは、彼の今までの経験から喪失を不安に思うのも分かるため、そう満面の笑みで答えたのだった。
「ええ。大丈夫ですわ、アル」
アルフィー・リッパーとネーヴェ・グラヌローザは、隣り合って座る観覧車の中で、ゆっくりと閉園を待つ遊園地を見下ろしていた。
パカパカタウンに転移して1ヶ月。
2人が恋人同士であることを知った住人に、あることを聞いたアルフィー。
夜のパレード終わりに絶対乗るべきと言われた観覧車へ勇気を出して彼女を誘い、彼はその時を待っていた。
分厚いガラスに囲まれている為かいつもより声がはっきり聞こえる。まるで2人きりの世界のよう。
「楽しかったですわね」
「ああ」
「ふっ、ふふふ」
「何だ?」
不意にネーヴェが笑う。
彼女が指差した先には、昼に立ち寄ったアイスワゴン。
『どうしようネネ、フレーバーが多すぎて選べない!』
そうメニューに駆け寄って、子供のようにはしゃいだアルフィー。
色んな味を楽しもうとシェアした時、それを猫耳と尻尾をぴんぴんに立てて、ネーヴェが差し出したスプーンを照れながら"あーん"と口にしたアルフィー。
そんな彼氏のお約束な姿を思い出したのだと、ネーヴェが言った。
「そういうネネだって」
今日乗ったカルーセルやアルパカカー、空中ライド。物珍しそうに目を輝かせていて可愛かったと、耳と尻尾を立てつつ対抗して言った。
そんなお互いが可笑しくて、殆ど同時に吹き出してしまう。
「そういえば、あの時のジェットコースター、大丈夫でした?」
「え? あ、ああまぁ」
その様子だと苦手だったのだろう。
そういえば降りたとき、毛は逆立っていて、耳もぺたっとしていた様子だった。
(苦手なだけで、嫌いってわけじゃないし)
突然、彼の腕に身を寄せるネーヴェ。
「ふふふ。ありがとうございます」
「俺は、楽しんでるネネを見れて幸せだから」
ゆっくり上がっていくゴンドラ。
車内に響くモーター音とお互いの呼吸音。
段々と小さくなっていく賑やかな景色。
楽しかった時間からも遠ざかっているかのようで、ネーヴェは感嘆のため息を零した。
その横にいるアルフィーはそわそわと、窓枠に付いたカウンターを見ている。
――頂上まであと60秒。
「ネ、ネネ。あのさ。この観覧車って、てっぺんでキスをすると、ずっと一緒にいられるって言われてるんだって」
緊張で固くなったアルフィーの声を気遣うように、ネーヴェは身を離して一生懸命な彼氏の顔を伺う。
「俺、ネネと一緒にパカパカタウンに来れてよかった。もしこの先も、どこかへ行くことがあっても、ネネとがいいと思ってる。俺は、ずっと、ネネと一緒にいたい」
――頂上まであと10秒。
――頂上まであと5、4、
「ネネ、キスしても」
――3、
「……いいか?」
――2、
(ふふふ、もうっ)
――1、
「ネネ……っむ」
――0。
甘いムードを崩した申し出に、ネーヴェは小さく微笑えんで、返事を請う彼の口へ彼女は返事代わりのキスをした。
突然のことに一瞬固まったアルフィーだったが、押し当てられたその唇を迎えるようにそっと押し返す。
ゆっくりと離れていく2人。
先にキスされたアルフィーは目をまん丸にしていた。
「ネネ……」
「こういう時はわざわざ尋ねなくても良いんですのよ」
して欲しかった気持ちを隠さない声色で耳元に囁いて、ネーヴェはそのまま彼の肩にしなだれかかる。
「そ、そういうものなのか」
スマートさは無いものの、この関係を丁寧に育もうとしている気持ちが見える気がして、ネーヴェはアルフィーへの愛おしさが高まった。
「少なくとも、私は。けれど、素敵でしたわ」
無意識だろうか。
余韻を確かめるように、彼女は自分の下唇をそっと撫でている。
その仕草は、普段大人っぽいネーヴェとは違って幼く見えた。
アルフィーは遊んでいる彼女の指先を捕まえると、もう一度ネーヴェに向き合う。
「でも、俺が先にしたかった」
そう軽く拗ねたふりをして、ネーヴェが何かを発する前にもう一度キスをしようと頬に手を添える。
ネーヴェは彼のふりにクスクス笑いながらも、静かに目を閉じてキスを受け入れた。
敏感な皮膚越しに感じる相手の体温。
離れがたいのか、どちらからともなく指先を絡めて恋人繋ぎをする2人。
ゆっくりと離れていくと、恋人の瞳の中に遊園地の夜景を見つけた。
「景色が凄く綺麗だ。ネネとみられてよかった」
「ええ、私も。あなたと一緒に見られて良かった」
繋いだままの手。
絡ませた指に頬を赤く染めながらもアルフィーは、この手は絶対に離さないと心の中で誓った。
「これで、きっと、ずっと一緒だ」
ネーヴェも、ジンクスに頼らずとも己は彼と共に歩むつもりだと心を込めて伝える。
「ええ、この先ずっとよ」
それはこれまでも、当然これからも。
「ネネ、また来ような」
「勿論ですわ」
疑いようのない気持ち。
さりとてネーヴェは、彼の今までの経験から喪失を不安に思うのも分かるため、そう満面の笑みで答えたのだった。