【喫報】良いんかな、これ【プロバ】
四月カフェ狂想曲 イベントノベル(テーマ)エイプリアンダイナー制作 眞石ユキヒロ納品 2024年05月14日 10時03分41秒
●
『※当番組はゲストさん同士の仲良しも不仲もOKです』
本日のゲストは二人。
「エイプリアンダイナーのリリーベルです! 今日も皆さんが仲良くお食事してくれてハッピーです!!」
リリーベル。カップルを観察する趣味が高じてスパイになったアレな人だ。
「……The 4th Stage Cafeの占い師、こぐま。頼まれれば占うよ」
こぐま。消えた両親に見つけてもらうためアイドルになったが、いかんせん知名度が低い。
「今日はよろしくお願いしますね!」
『レスバ?』『喧嘩しそうに見えない』『仲良くも見えない』。司会はコメントを確認するついでに頭を下げた。
「よろしくお願いします!」「……よろしく」
リリーベルは勢いよく頭を下げ、こぐまは申し訳程度に首を曲げる。
「まずは趣味・特技を!」
「カップ……人間関係の観察ですね!」
リリーベルが元気よく答える。『即売会にいそう』『腐人?』『こぐきゅん虐めたら死ぞ』。なおコメント主は大体在宅オタである。
「占い」
対してこぐまは無表情のまま二文字で終えた。『媚びろ』『太客になりたい』『リリ氏とバトれ』。なおコメント主以下略。
「暖まってきたのでここからはお二人で進行お願いします!」
場はともかくコメントのエンジンは暖まっている。司会はマイクを切り空気になった。
「次の質問はズバリ、ライバル!」
自然、司会はやかましいリリーベルが担当することになる。
「んー、こぐまさんってことでいいですか? ところでこぐまさんのライバルはどなたでしょうか非常に気になります!!」
「なんだよそれ……」
妙に早口な彼女に、こぐまは割と席が離れているというのに身をひいてしまう。
「まぁ……なら、アンタってことでいいのか?」
『お労しい』『洗脳されてる』。
「ってことはあたしたち両想いですか!?」
『激怒』『"喧嘩"の時間か?』『おねショタ?』。
(……何言ってるんだコイツら)
こぐまは困惑した。リリーベルにもコメント欄にもついていけそうにない。
「あっ! 次の質問! 恋人はいますかだそうです! あたしはいません! ところでこぐまさんの恋人は!?」
リリーベルが右手をぐっと握る。その瞳孔は開ききっていた。
こぐまは気圧されそうになるが、リリーベルをでけぇ犬か何かだと思うことで気持ちを鎮める。
「いるわけないだろ」「ほう」
こぐまがどう出ようが、リリーベルは『こぐまさんはきっと一途な想いを決して告げないタイプの人』などと妄想するので問題ないが。
リリーベルから何かを感じ取ったこぐまは膝の上で占い用のカードをギュッと握った。
「次は楽しかったこと! ……やっぱりお客さん同士の交流を眺めることですね! 制服の露出は恥ずかしいけどこれがあるからやめられませんね!」
『お前に恥じらいとかあるんか』『見事な普乳で良い』。
「人を占うこと」
『サービス精神とかないんか』『簡潔にまとめてえらい』。コメント欄は割と無法地帯だが、この番組の通常運転である。
「あの!」
リリーベルが大きく手を挙げる。
「あたし、こぐまさんのパフォ動画を見たんですけど、歌やダンスはどうなんですか? すっごい上手ですけど!」
「……仕事だからやってるだけ」
「ストイックなんですね~! う~ん、スゴイ!」
リリーベルは両手を胸の前で組んで、うっとりと目を閉じた。
「……?」
虚を突かれたこぐまは年相応の幼い表情になってしまう。褒められて悪い気はしないが、それはうまく表情に出ない。
●
「次が最後の質問になります!」
こぐまが反応しないものだから、司会やスタッフが「え~」と残念がる。
「じゃああたしから! みなさ~ん! 是非、当店にお越しくださいね~!」
リリーベルは無邪気な笑みを浮かべ、大きく手を振った。
こぐまは気まずげに黙りこくっている。ヒントを求めて手元の端末に視線を落とすとコメントが目に留まった。『何の変哲もないおねショタ回』『争いはどうした争いは』とか、目が滑る。
「どうしたんですか?」
ずっと黙っていたら印象が悪くなる。それくらいはこぐまにもわかるので、正直に答えることにした。
「……みんな愛してるって言えって上」「あーあーあー!!」
リリーベルはこぐまの暴露を遮るように叫びながら、手元のメモに何かを殴り書く。それをこぐまの前に滑らせた。
『上とか言っちゃマズいですよ! もっとこぐまさんらしい感じでお客さんに愛を!』
(は?)
なるほどわからん。こぐまは愛を知っているが、博愛とはほど遠い人物であった。
「仕切り直しです! こぐまさんどうぞ!」
こぐまは悩む。自分らしさとは。
「……俺に占われたければうちの店にくれば良いと思う」
占うこと。ひとまずそう結論づけた。
「それでは、ご視聴いただきありがとうございました!」
「……ありがとうございました」
始まったときと同じように、リリーベルは頭を下げ、こぐまは首を曲げた。
『※当番組はゲストさん同士の仲良しも不仲もOKです』
本日のゲストは二人。
「エイプリアンダイナーのリリーベルです! 今日も皆さんが仲良くお食事してくれてハッピーです!!」
リリーベル。カップルを観察する趣味が高じてスパイになったアレな人だ。
「……The 4th Stage Cafeの占い師、こぐま。頼まれれば占うよ」
こぐま。消えた両親に見つけてもらうためアイドルになったが、いかんせん知名度が低い。
「今日はよろしくお願いしますね!」
『レスバ?』『喧嘩しそうに見えない』『仲良くも見えない』。司会はコメントを確認するついでに頭を下げた。
「よろしくお願いします!」「……よろしく」
リリーベルは勢いよく頭を下げ、こぐまは申し訳程度に首を曲げる。
「まずは趣味・特技を!」
「カップ……人間関係の観察ですね!」
リリーベルが元気よく答える。『即売会にいそう』『腐人?』『こぐきゅん虐めたら死ぞ』。なおコメント主は大体在宅オタである。
「占い」
対してこぐまは無表情のまま二文字で終えた。『媚びろ』『太客になりたい』『リリ氏とバトれ』。なおコメント主以下略。
「暖まってきたのでここからはお二人で進行お願いします!」
場はともかくコメントのエンジンは暖まっている。司会はマイクを切り空気になった。
「次の質問はズバリ、ライバル!」
自然、司会はやかましいリリーベルが担当することになる。
「んー、こぐまさんってことでいいですか? ところでこぐまさんのライバルはどなたでしょうか非常に気になります!!」
「なんだよそれ……」
妙に早口な彼女に、こぐまは割と席が離れているというのに身をひいてしまう。
「まぁ……なら、アンタってことでいいのか?」
『お労しい』『洗脳されてる』。
「ってことはあたしたち両想いですか!?」
『激怒』『"喧嘩"の時間か?』『おねショタ?』。
(……何言ってるんだコイツら)
こぐまは困惑した。リリーベルにもコメント欄にもついていけそうにない。
「あっ! 次の質問! 恋人はいますかだそうです! あたしはいません! ところでこぐまさんの恋人は!?」
リリーベルが右手をぐっと握る。その瞳孔は開ききっていた。
こぐまは気圧されそうになるが、リリーベルをでけぇ犬か何かだと思うことで気持ちを鎮める。
「いるわけないだろ」「ほう」
こぐまがどう出ようが、リリーベルは『こぐまさんはきっと一途な想いを決して告げないタイプの人』などと妄想するので問題ないが。
リリーベルから何かを感じ取ったこぐまは膝の上で占い用のカードをギュッと握った。
「次は楽しかったこと! ……やっぱりお客さん同士の交流を眺めることですね! 制服の露出は恥ずかしいけどこれがあるからやめられませんね!」
『お前に恥じらいとかあるんか』『見事な普乳で良い』。
「人を占うこと」
『サービス精神とかないんか』『簡潔にまとめてえらい』。コメント欄は割と無法地帯だが、この番組の通常運転である。
「あの!」
リリーベルが大きく手を挙げる。
「あたし、こぐまさんのパフォ動画を見たんですけど、歌やダンスはどうなんですか? すっごい上手ですけど!」
「……仕事だからやってるだけ」
「ストイックなんですね~! う~ん、スゴイ!」
リリーベルは両手を胸の前で組んで、うっとりと目を閉じた。
「……?」
虚を突かれたこぐまは年相応の幼い表情になってしまう。褒められて悪い気はしないが、それはうまく表情に出ない。
●
「次が最後の質問になります!」
こぐまが反応しないものだから、司会やスタッフが「え~」と残念がる。
「じゃああたしから! みなさ~ん! 是非、当店にお越しくださいね~!」
リリーベルは無邪気な笑みを浮かべ、大きく手を振った。
こぐまは気まずげに黙りこくっている。ヒントを求めて手元の端末に視線を落とすとコメントが目に留まった。『何の変哲もないおねショタ回』『争いはどうした争いは』とか、目が滑る。
「どうしたんですか?」
ずっと黙っていたら印象が悪くなる。それくらいはこぐまにもわかるので、正直に答えることにした。
「……みんな愛してるって言えって上」「あーあーあー!!」
リリーベルはこぐまの暴露を遮るように叫びながら、手元のメモに何かを殴り書く。それをこぐまの前に滑らせた。
『上とか言っちゃマズいですよ! もっとこぐまさんらしい感じでお客さんに愛を!』
(は?)
なるほどわからん。こぐまは愛を知っているが、博愛とはほど遠い人物であった。
「仕切り直しです! こぐまさんどうぞ!」
こぐまは悩む。自分らしさとは。
「……俺に占われたければうちの店にくれば良いと思う」
占うこと。ひとまずそう結論づけた。
「それでは、ご視聴いただきありがとうございました!」
「……ありがとうございました」
始まったときと同じように、リリーベルは頭を下げ、こぐまは首を曲げた。