【酒盃】薄雪草セット&金銀花セット

四月カフェ狂想曲 イベントノベル(テーマ)卯月浪漫茶房制作 雪芽泉琉納品 2024年04月28日 12時54分19秒

 小鳥と戯れる昼が終わると、夜は花を楽しむカフェバーになる、卯月浪漫茶房の系列店にて。
 薄雪草(コルネリウス・アーラ)と金銀花(フェアロス・アーラ・アスプロス)は、コラボメニューの試食会を行っていた。
 この店の経営責任者である金銀花(きんぎんか)がドリンクを用意し、薄雪草(うすゆきそう)は料理担当と張り切ってテーブルにパンを並べる。

「コラボメニューはパンをメインにしてみました」
「パンが並ぶと壮観ですね。まるで春のパン祭りです」
「……わあ、ドリンクが綺麗」

 薄雪草が耳を揺らしながら目を輝かせてグラスを見ると、金銀花は微笑んで席につくよう促した。

「つまみとドリンク、食後のカクテルのセットですね。薄雪草のドリンクは紅茶ハイボールにしてみました」
「紅茶の……ハイボール?」

 コリンズグラスに入った紅茶色のドリンクを見つめて、薄雪草が不思議そうに首を傾げた。金銀花はおっとりと解説する。
 ウィスキーにティーバッグを入れて数時間保管して、紅茶液の出たウィスキーを炭酸で割った物が紅茶ハイボールだ。

「少しだけ甘さを加えたので、飲みやすくなってますよ」

 薄雪草は味見に一口だけ飲んで微笑んだ。

「本当ですね。甘すぎなくてさっぱり飲みやすい。父さんはどんな飲み物ですか?」
「私は白ワインです。薄雪草が作ってくれる料理を楽しみたいですから。では、いただきます」

 白ワインを一口飲んで、金銀花は一品目を手にとる。スライスしたバゲットに、トマトとアボカドが乗っていて、レモン汁と黒胡椒がアクセントだ。

「一口で食べられる、気軽なおつまみにブルスケッタを作ってみました。父さん、どうでしょうか?」
「さっぱりしていて白ワインによく合いますね。美味しいです」
「よかった」

 父の喜ぶ顔を見て薄雪草は嬉しそうに耳をぴこぴこ。

「……これは?」

 二品目に視線を移して金銀花は訝しむ。見た目はフライに見えるが、金銀花が肉類を好まないのを知っているはずだ。
 ちらりと薄雪草を見ると、にこにこ微笑むばかりで解説をしない。
 思い切って口に含んでみると、小気味よい歯触りと酸味が口の中に広がった。

「揚げ物なのに、さっぱりしていますね」
「きゅうりのピクルスにパン粉をつけてフライにしたんです。お口に合いましたか?」
「ええ、もちろん。美味しくてお酒が進む味です。薄雪草のつまみは、ボリュームがありますね」

 金銀花が食べる手を止めて見つめる先には、小さな鉄鍋に入ったエビとキノコのアヒージョがあった。熱々の具材はもちろん、残った油をバゲットに浸しても美味しい。
 二品目はポトフ。ソーセージ、ベーコン、キャベツ、玉ねぎ、じゃがいも、にんじんが入ったコンソメ味のスープに、サワークリームと粒マスタードを混ぜたディップが添えられている。

「パンはおかわり自由にして、どちらのメニューにもつけようと思うんです。お腹がすいた人にはたっぷりと。少食の方はパンを抜いても良いかもしれませんね」
「なるほど。食べる量を調節できるのは親切ですね」

 金銀花が感心するように頷くと、薄雪草は美味しそうに紅茶ハイボールを飲む。

「油気の多い食事には、さっぱりお茶のお酒が合いますね。冷たくてごくごく飲みたくなるような……」
「まだ、この後もありますよ」

 やんわり止められたので、グラスを置いた。

「食後のデザートも用意してみたんです」

 金銀花はラムレーズンと胡桃入りのクリームチーズ。濃厚なクリームチーズに、ラムレーズンの香りと、胡桃の香ばしさが効いて、ワインに合わないはずがない。
 薄雪草は抹茶味のアフォガード。白玉、あんこ、バニラアイスの上に、熱々の抹茶をかけて食べる、熱くて冷たいスイーツだ。

「紅茶と抹茶、お茶同士で不思議と合いますね」
「クリームチーズは濃厚ですが、量が少ない分、少しつまむのにちょうど良いですね」



 甘味を楽しんでほっこりした後は、食後のカクテルの時間。
 金銀花は薄雪草の前にカクテルが入ったゴブレットを置く。白い液体の中に黄色い果実が見えて、ストローに青いリボン、果実に蝶のピックが付いている。

「わぁ……可愛いですね。いただきます」

 ストローで飲むと甘酸っぱい味が口の中に広がる。

「ヨーグルトとマンゴーリキュールをソーダで割って、マンゴーの果実も入れてみました」
「甘酸っぱく爽やかで、とっても美味しいです。……あ、鳥が綺麗」

 金銀花が持つカクテルグラスに目を奪われる。
 ピンク色の液体が入っていて、淵に赤いチェリーと鳥の形に飾りぎりしたオレンジの皮が飾られている。

「ライムとクランベリージュースを使った、コスモポリタンというカクテルです」
「一口いただいても良いですか?」
「どうぞ」

 薄雪草は受け取って一口舐めた。甘酸っぱい味わいと、酒の強さに思わず耳がピンと立つ。慌ててグラスをテーブルに置いて両手で頬を覆う。

「あぁ……すみません。これは貴女には高すぎましたね」
「可愛らしい見た目でも油断は禁物ですね」

 酔ってぽわぽわと微笑みながら薄雪草は頷いた。

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アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0