【推喫_01】ルビー色の涙

四月カフェ狂想曲 イベントノベル(テーマ)The 4th Stage Cafe制作 鍵島納品 2024年04月04日 12時40分39秒

 酔い痴れる美女の目を覚ます、鮮烈なルビー色をしたピンクグレープフルーツ。
 搾りたてのジュースをクセのないウォッカと合わせることで、濃い甘味の中にある仄かな酸味や苦味を損なわず味わえる。
 飾ったレモンと縁に付けた塩はお好みで、どうぞ思うまま味わって。

 推し喫食、オリジナルカクテル『ルビー色の涙』

「モノは言いよう、即ちソルティ・ドッグ。……塩に塗れるのはお前さんだがな?」

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 キラキラを詰め込んだカフェ、それの支店として賑わいを見せる店がある。
 Middle Aged Stars ――通称をミドスタ。個性も魅力も様々なおじさんアイドルが揃う場所だ。
 一員として名を連ねるヴァンゲルス・ロッドは、生粋のギャンブラーワイルド系おじドルとして順当に人気を博している。
 例の注文が入ったとあって、彼は洒落たカクテルグラスを片手に軽い足取りで客席まで赴く。
 見えてくる席には半月ほど足しげく通ってくれる見知ったファンが座っていた。
 淑やかな出で立ち、純真で控えめな笑み、薄い色素の髪が印象的な美女である。
 また来たのか? そう声を掛けて気が付いた。彼女のテーブルに、裏返しとなったトランプが二枚並んで置かれている。
 コトんとカクテルグラスを置いてやれば、彼女は慣れた様子で手に取り縁の塩を僅かに覗かせた舌で舐めていた。
「今日の気分はカードだな。で、コレは?」
 うふふ。揶揄いの色を含ませた笑い声が鼓膜を震わす。
 ハイ&ロー。わたしが一枚捲るから、ヴァンはハイかローかを選んでみせて?
 そうしてぺらりと片方のカードが表に出される。……6だ。一番厄介な数字の登場に、彼はわかりやすく眉宇を寄せる。
 さぁ、どっち? テーブルに両肘をつけ、両頬に掌を宛がった彼女はこちらの様子を伺った。
 最初の数日こそぽぅっと見惚れてくれていたが、他の客と勝負を行っていたのを見られてからは、接客、つまりファンサを賭けて求められるようになった。
「……ロー、だ」
 然しながら彼女の手の内は多様でいて侮れない。
 一昨日は終始余裕で勝てていたのに、昨日はポーカーで延々とボロ負けさせられた。
 接客中だろうとなんだろうと、先の読めないギャンブルへ飛び込むのに躊躇する暇は無い。
「ざんねん」
 甘やかで透き通った声があがったと同時に、もう一枚のカードが緩慢に裏返される。
 七つのハートが刻まれたカードにヴァンは喉を鳴らして笑ってみせた。
 今日は運に負けた、とな。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0