卓上遊戯に欠かせないのは愛嬌と度胸です
キャラクターノベル制作 空色みなも納品 2020年12月12日 21時46分12秒
●
それは、ルアンナ・ミュラーの姓がまだセラフィアスだった頃。
パンクリアース学園で卓上遊戯倶楽部に正式入会した後のお話――。
●
「今回、皆と楽しむ卓上遊戯はこれだ」
「わあ……!」
ユーリが宣言と共にテーブルに広げた小物の数々を見たルアンナは、歓声を上げた。
「今度はカード以外にも色々あるんですね」
ルアンナはその中から、ラクダの形に切り抜かれた木製のコマを手に取ってしげしげと眺めている。
「ああ。カードに刷られた美しい版画も魅力的だが、こういった小物も卓上遊戯の楽しみの一つさ」
それを聞いたユーリは、ふふん、と鼻を鳴らしながら自慢げだ。
「それで、今度はこれを使ってどんなゲームができるんですか?」
ルアンナはすでにワクワクと心が踊るのを感じながら、ユーリに問いかける。
「冒険者を雇って野生のアルパカを集め、たくさんアルパカが居る牧場を作るゲームだ」
「どこかで聞いたことがあるような気がしますね……好きなんですか、アルパカ?」
ユーリの説明を聞いたルアンナの感想がそうなるのも、無理もない。
ルアンナがこの部室で初めて遊んだゲームにも、アルパカが登場していたのだから。
「なあに、偶々だ」
ユーリはそのように言うが、本当であるかは不明だ。
「ゲームの目的としては、他の誰よりもアルパカ……に見立てた点数を集めることだ。シンプルに、集めた点数が一番多い者の勝利になる」
そう言って、ユーリはアルパカの形をしたチップを手に取ってみせる。
「手に入ったことが確定したチップは、他の者から数が分からないように、このついたての後ろに隠しておく……まあ、覚えておけば分かってしまうのだが」
そう言ってユーリが参加者の各自に配ったついたてには牧場の柵が描かれており、こういうところにも制作者の拘りを感じる。
「さて、そしてこのアルパカをどうやって集めるかだが――」
続くユーリの説明を、ルアンナは食い入るように聞くのだった。
●
「皆、準備はいいな? ではゲームを始めよう」
ルールの説明を終えたユーリの呼びかけに、着席した面々は力強く肯いた。
メンバーは今回も卓上遊戯倶楽部の四人――ユーリ、ルアンナに加え、ユーリの召使であるクラウスとミアである。
「では第一ラウンド。春だ」
ユーリはそう告げると共に、春夏秋冬それぞれの季節の風景が側面に彫刻された四角柱を、春の面を上にして置く。
このゲームは四季になぞらえた四ラウンドで構成されている。
行うことは各季節とも同じなのだが、こういうのは気分だ、とはユーリの語るところである。
「最初のカードはアルパカ五頭だな」
そして、ユーリは山札から一枚のカードをめくり、テーブル上に置いた。
「冒険しているのは四人ですから、それぞれに一頭ずつ山分け、でしたよね?」
「ええ。そして余った一頭をカードの上に残しておくのです」
改めてルールを確認するルアンナに、クラウスが補足する。
手に入れたアルパカを表すチップを一点分ずつ手に取った参加者たちは、それを他の参加者から見えるよう、各自のついたての前面に置いた。
また、クラウスの言ったように、一点分のチップがカードの上に置かれる。
「さあ、それでは皆、握った手を出したまえ」
ユーリが促したとおり、参加者の四人はついたての裏でごそごそと手を握ったかと思うと、テーブル中央で突き合わせるように拳を差し出した。
「流石にラクダを握った人はいないみたいですね」
合図と共に一斉に開かれた各自の手に、何も握られていないのを見たルアンナが呟く。
このように、カードを一枚めくっては、参加者がラクダを握るか握らないか選ぶことで、このゲームは進行する。
なので基本、参加者の選択はラクダを握るかどうかの二択だけである。
そしてラクダを握ることは冒険からの帰還を意味する。
それを誰も選ばなかったということは――まだ全員の冒険が続くということだ。
「二枚目……おっと、クリーパーだ」
「わわ、早いです!」
ユーリがめくったカードには、おぞましいクリーパーが描かれており、それを見たミアが焦りの声を上げる。
山札の中には、こうした敵を表現したカードが含まれている。
一枚出た段階で敵が現れる予兆を表し、同じ種類の敵のカードが二枚出てしまうと、冒険を続けている冒険者は倒れてしまい、アルパカを牧場に連れ帰ることができないのだ。
このとき敵は冒険者と相討ちとなり、次のラウンドから一枚取り除かれる。
ちなみに、敵はクリーパーの他、アンデッド、オーガ、山賊、狼の五種類がある。
枚数はアンデッド、オーガ、山賊は三枚ずつだが、クリーパーを二枚、狼を四枚にすることで、遭遇率に少し差をつけてあったりする。
「三枚目、アルパカ三頭。山分けできないから、全部余りだな」
さらにユーリがカードをめくっていく。
この段階で、まだ帰還を選んだ者はおらず、全員が冒険を続けていた。
続く四枚目はオーガのカード。
これで場に出た敵のカードは二種類となり、危険度がぐっと跳ね上がったことになる。
「……! まだ誰も帰らないんですね」
しかし声を上げたルアンナを含め、誰もラクダを握らない。
「お、来たぞ! 十七頭だ!」
ここに来て四頭ずつの山分けという大きい収穫があり、カードをめくったユーリも気分が高ぶったような声になる。
「私はお先に失礼しますよ」
「あー、やっぱり被っちゃいますかー!」
ここで、クラウスとミアの二人がついにラクダを握った。
ラクダに乗って牧場へと帰る冒険者は、ここまでの道に残された余りのアルパカも山分けして持ち帰るのだ。
クラウスとミアは、五頭いた余りのアルパカから二頭ずつも連れ帰り、合計で七頭ずつのアルパカをついたての裏にまわす。
ラクダのコマをついたての前面に置くことで、帰還済みであり、そのラウンドから降りたことが示される。
「ふん、冒険はライバルが減ってからが本番なんだ……って、あ」
「あ……」
冒険を続けることを選んでいたユーリとルアンナは、思わず声を失った。
めくられたカードに描かれていたのは、二枚目のクリーパーだったのだ。
●
「こほん。気を取り直して夏に進むぞ」
カードを戻してシャッフルした山札からユーリがカードをめくると、アルパカ五頭のカード。
この時点では、まだ誰も帰還を選ばない。
「あ、リャマですね」
ルアンナの言ったリャマというのは、季節ごとに一枚ずつ山札に加えられるカードだ。
これは帰還の際、被ることなく一人だけ帰ることができた者が手に入れることができ、一枚で五点となる。
何故アルパカを集めるゲームでリャマ一頭の価値が高いのかは気にしないほうがいいだろう。
「おっと、これは予想外だ」
「被りを恐れてお見合いになってしまった形でしょうか」
何がユーリの予想外かというと、ラクダを握る者が誰も居なかったのだ。
ルアンナの指摘通り、二人以上が同時に帰還を選べば、リャマは手に入らないのだ。
「次は……もう一枚、リャマだって?」
ユーリが素っ頓狂な声を上げる。
今、もし一人で帰還できれば……十点以上が手に入る。
「また!?」
しかし、再び全員が冒険を続ける事態となり、ルアンナも驚きを隠せなかった。
「ああー!」
「そうなりますよね……」
アンデッドのカードがめくられた次の選択で、ついに帰還を選ぶ者が居た……のだが、それは二人。
ミアとクラウスは、道中手に入れたアルパカ一頭だけを連れ帰る。
「こうなると、一人勝ちはさせられないんだよなあ」
「ですね……」
続いて出たのは狼で、そこでユーリとルアンナもラクダを握る。
二人もアルパカ一頭ずつを連れ帰り、手に入れる者が居なかったリャマはゲームから取り除かれた。
●
「早速、山賊ですか……」
ラウンドが秋まで進んだ一枚目のカードを見て、ルアンナは何故か嫌な予感のようなものを覚えた。
もちろん、なんの戦利品もなく帰る冒険者もいない。冒険は全員続行した。
「って、ええー!?」
そして二枚目のカードがめくられ――ルアンナを始めとした、参加者の叫びが部室に響いた。
テーブルには、二枚の山賊のカードが続けて並べられていたのだ。
●
「こ、こういうこともあるにはある」
「もう冬……ここだけで逆転しないといけないなんて」
動揺するユーリと、焦りを覚えるルアンナ。
一枚目、アルパカ五頭。全員続行。
二枚目、アルパカ十一頭。
ここで、道中に残されたアルパカ目当てもあってか、リードしているクラウスとミアが仲良く帰還を選ぶ。
二人はそれぞれ五頭ずつのアルパカを新たに牧場に迎えた。
「ここからが勝負です……!」
ルアンナの目つきも真剣みを増した三枚目、クリーパー。
クリーパーは一枚除いてあるので、まだ安全。
そう判断した二人が冒険を続行すると……。
「よし、十七頭!」
ユーリが快哉を叫んだように、ここで大きな収穫があった。
しかし、二人は覚えていた。
今、帰還を選んでも、クラウスとミアが牧場に囲うアルパカの頭数を越えることはない。
ゆえに二人が選ぶのは――続行だ。
次に狼が出たが、それも関係ない。二人とも続行。
「十五頭!」
ユーリはここで帰還を選び、道中の二頭を含めた二十頭のアルパカを連れ帰る。
だがルアンナが選んだのは――続行。
「セラフィアス君、本気かい?」
「ええ、ユーリさんが続けていたら、負ける可能性がありましたので」
ユーリの問いかけにルアンナは力強く答え、後は自らカードをめくっていく。
続いて出たのはオーガであったが、ここまで来て後には引けない。続行。
次。アルパカ一頭。これでは一位に届かない――続行。
「お願いします――!」
ルアンナが願いをこめるようにカードをめくると――。
アルパカ三頭――帰還。
最終結果はミアが十三点で、クラウス十三点、ユーリ二十一点。
そしてルアンナが二十三点となり、見事に優勝を飾ったのだった。
それは、ルアンナ・ミュラーの姓がまだセラフィアスだった頃。
パンクリアース学園で卓上遊戯倶楽部に正式入会した後のお話――。
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「今回、皆と楽しむ卓上遊戯はこれだ」
「わあ……!」
ユーリが宣言と共にテーブルに広げた小物の数々を見たルアンナは、歓声を上げた。
「今度はカード以外にも色々あるんですね」
ルアンナはその中から、ラクダの形に切り抜かれた木製のコマを手に取ってしげしげと眺めている。
「ああ。カードに刷られた美しい版画も魅力的だが、こういった小物も卓上遊戯の楽しみの一つさ」
それを聞いたユーリは、ふふん、と鼻を鳴らしながら自慢げだ。
「それで、今度はこれを使ってどんなゲームができるんですか?」
ルアンナはすでにワクワクと心が踊るのを感じながら、ユーリに問いかける。
「冒険者を雇って野生のアルパカを集め、たくさんアルパカが居る牧場を作るゲームだ」
「どこかで聞いたことがあるような気がしますね……好きなんですか、アルパカ?」
ユーリの説明を聞いたルアンナの感想がそうなるのも、無理もない。
ルアンナがこの部室で初めて遊んだゲームにも、アルパカが登場していたのだから。
「なあに、偶々だ」
ユーリはそのように言うが、本当であるかは不明だ。
「ゲームの目的としては、他の誰よりもアルパカ……に見立てた点数を集めることだ。シンプルに、集めた点数が一番多い者の勝利になる」
そう言って、ユーリはアルパカの形をしたチップを手に取ってみせる。
「手に入ったことが確定したチップは、他の者から数が分からないように、このついたての後ろに隠しておく……まあ、覚えておけば分かってしまうのだが」
そう言ってユーリが参加者の各自に配ったついたてには牧場の柵が描かれており、こういうところにも制作者の拘りを感じる。
「さて、そしてこのアルパカをどうやって集めるかだが――」
続くユーリの説明を、ルアンナは食い入るように聞くのだった。
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「皆、準備はいいな? ではゲームを始めよう」
ルールの説明を終えたユーリの呼びかけに、着席した面々は力強く肯いた。
メンバーは今回も卓上遊戯倶楽部の四人――ユーリ、ルアンナに加え、ユーリの召使であるクラウスとミアである。
「では第一ラウンド。春だ」
ユーリはそう告げると共に、春夏秋冬それぞれの季節の風景が側面に彫刻された四角柱を、春の面を上にして置く。
このゲームは四季になぞらえた四ラウンドで構成されている。
行うことは各季節とも同じなのだが、こういうのは気分だ、とはユーリの語るところである。
「最初のカードはアルパカ五頭だな」
そして、ユーリは山札から一枚のカードをめくり、テーブル上に置いた。
「冒険しているのは四人ですから、それぞれに一頭ずつ山分け、でしたよね?」
「ええ。そして余った一頭をカードの上に残しておくのです」
改めてルールを確認するルアンナに、クラウスが補足する。
手に入れたアルパカを表すチップを一点分ずつ手に取った参加者たちは、それを他の参加者から見えるよう、各自のついたての前面に置いた。
また、クラウスの言ったように、一点分のチップがカードの上に置かれる。
「さあ、それでは皆、握った手を出したまえ」
ユーリが促したとおり、参加者の四人はついたての裏でごそごそと手を握ったかと思うと、テーブル中央で突き合わせるように拳を差し出した。
「流石にラクダを握った人はいないみたいですね」
合図と共に一斉に開かれた各自の手に、何も握られていないのを見たルアンナが呟く。
このように、カードを一枚めくっては、参加者がラクダを握るか握らないか選ぶことで、このゲームは進行する。
なので基本、参加者の選択はラクダを握るかどうかの二択だけである。
そしてラクダを握ることは冒険からの帰還を意味する。
それを誰も選ばなかったということは――まだ全員の冒険が続くということだ。
「二枚目……おっと、クリーパーだ」
「わわ、早いです!」
ユーリがめくったカードには、おぞましいクリーパーが描かれており、それを見たミアが焦りの声を上げる。
山札の中には、こうした敵を表現したカードが含まれている。
一枚出た段階で敵が現れる予兆を表し、同じ種類の敵のカードが二枚出てしまうと、冒険を続けている冒険者は倒れてしまい、アルパカを牧場に連れ帰ることができないのだ。
このとき敵は冒険者と相討ちとなり、次のラウンドから一枚取り除かれる。
ちなみに、敵はクリーパーの他、アンデッド、オーガ、山賊、狼の五種類がある。
枚数はアンデッド、オーガ、山賊は三枚ずつだが、クリーパーを二枚、狼を四枚にすることで、遭遇率に少し差をつけてあったりする。
「三枚目、アルパカ三頭。山分けできないから、全部余りだな」
さらにユーリがカードをめくっていく。
この段階で、まだ帰還を選んだ者はおらず、全員が冒険を続けていた。
続く四枚目はオーガのカード。
これで場に出た敵のカードは二種類となり、危険度がぐっと跳ね上がったことになる。
「……! まだ誰も帰らないんですね」
しかし声を上げたルアンナを含め、誰もラクダを握らない。
「お、来たぞ! 十七頭だ!」
ここに来て四頭ずつの山分けという大きい収穫があり、カードをめくったユーリも気分が高ぶったような声になる。
「私はお先に失礼しますよ」
「あー、やっぱり被っちゃいますかー!」
ここで、クラウスとミアの二人がついにラクダを握った。
ラクダに乗って牧場へと帰る冒険者は、ここまでの道に残された余りのアルパカも山分けして持ち帰るのだ。
クラウスとミアは、五頭いた余りのアルパカから二頭ずつも連れ帰り、合計で七頭ずつのアルパカをついたての裏にまわす。
ラクダのコマをついたての前面に置くことで、帰還済みであり、そのラウンドから降りたことが示される。
「ふん、冒険はライバルが減ってからが本番なんだ……って、あ」
「あ……」
冒険を続けることを選んでいたユーリとルアンナは、思わず声を失った。
めくられたカードに描かれていたのは、二枚目のクリーパーだったのだ。
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「こほん。気を取り直して夏に進むぞ」
カードを戻してシャッフルした山札からユーリがカードをめくると、アルパカ五頭のカード。
この時点では、まだ誰も帰還を選ばない。
「あ、リャマですね」
ルアンナの言ったリャマというのは、季節ごとに一枚ずつ山札に加えられるカードだ。
これは帰還の際、被ることなく一人だけ帰ることができた者が手に入れることができ、一枚で五点となる。
何故アルパカを集めるゲームでリャマ一頭の価値が高いのかは気にしないほうがいいだろう。
「おっと、これは予想外だ」
「被りを恐れてお見合いになってしまった形でしょうか」
何がユーリの予想外かというと、ラクダを握る者が誰も居なかったのだ。
ルアンナの指摘通り、二人以上が同時に帰還を選べば、リャマは手に入らないのだ。
「次は……もう一枚、リャマだって?」
ユーリが素っ頓狂な声を上げる。
今、もし一人で帰還できれば……十点以上が手に入る。
「また!?」
しかし、再び全員が冒険を続ける事態となり、ルアンナも驚きを隠せなかった。
「ああー!」
「そうなりますよね……」
アンデッドのカードがめくられた次の選択で、ついに帰還を選ぶ者が居た……のだが、それは二人。
ミアとクラウスは、道中手に入れたアルパカ一頭だけを連れ帰る。
「こうなると、一人勝ちはさせられないんだよなあ」
「ですね……」
続いて出たのは狼で、そこでユーリとルアンナもラクダを握る。
二人もアルパカ一頭ずつを連れ帰り、手に入れる者が居なかったリャマはゲームから取り除かれた。
●
「早速、山賊ですか……」
ラウンドが秋まで進んだ一枚目のカードを見て、ルアンナは何故か嫌な予感のようなものを覚えた。
もちろん、なんの戦利品もなく帰る冒険者もいない。冒険は全員続行した。
「って、ええー!?」
そして二枚目のカードがめくられ――ルアンナを始めとした、参加者の叫びが部室に響いた。
テーブルには、二枚の山賊のカードが続けて並べられていたのだ。
●
「こ、こういうこともあるにはある」
「もう冬……ここだけで逆転しないといけないなんて」
動揺するユーリと、焦りを覚えるルアンナ。
一枚目、アルパカ五頭。全員続行。
二枚目、アルパカ十一頭。
ここで、道中に残されたアルパカ目当てもあってか、リードしているクラウスとミアが仲良く帰還を選ぶ。
二人はそれぞれ五頭ずつのアルパカを新たに牧場に迎えた。
「ここからが勝負です……!」
ルアンナの目つきも真剣みを増した三枚目、クリーパー。
クリーパーは一枚除いてあるので、まだ安全。
そう判断した二人が冒険を続行すると……。
「よし、十七頭!」
ユーリが快哉を叫んだように、ここで大きな収穫があった。
しかし、二人は覚えていた。
今、帰還を選んでも、クラウスとミアが牧場に囲うアルパカの頭数を越えることはない。
ゆえに二人が選ぶのは――続行だ。
次に狼が出たが、それも関係ない。二人とも続行。
「十五頭!」
ユーリはここで帰還を選び、道中の二頭を含めた二十頭のアルパカを連れ帰る。
だがルアンナが選んだのは――続行。
「セラフィアス君、本気かい?」
「ええ、ユーリさんが続けていたら、負ける可能性がありましたので」
ユーリの問いかけにルアンナは力強く答え、後は自らカードをめくっていく。
続いて出たのはオーガであったが、ここまで来て後には引けない。続行。
次。アルパカ一頭。これでは一位に届かない――続行。
「お願いします――!」
ルアンナが願いをこめるようにカードをめくると――。
アルパカ三頭――帰還。
最終結果はミアが十三点で、クラウス十三点、ユーリ二十一点。
そしてルアンナが二十三点となり、見事に優勝を飾ったのだった。