ユークリアの魚釣り
ユークリア・フィナンシェ更新 2023年01月26日 22時38分15秒
舞台は、シャルガネ近隣に流れる川釣り場。
刻は早朝。青空に飛ぶ鳥が鳴く。川は穏やかに流れ、魚が川に流されまいと逆さに泳ぐ。そんな自然の風景の中に女の子が一人。
彼女は澄んだ空気を胸一杯に吸い込んでから息を吐き、ブーツの底を川原の大石に勢い良く乗せる。さらに、そのまま腕を組んで胸を張りポーズを取った。そして目をカッ!と見開く。
「ここですね……アルシエラを破ったご老人が現れたと言う場所は!」
可愛らしいが威勢の良い声を景色に響かせた彼女は、ヒーラーの冒険者ユークリア・フィナンシェ。
彼女は背まで伸びた金髪にスカイブルーの瞳を持ち、身長は成人女性よりやや下回る。白い厚手のコートを着て、十字架付きの帽子を被っている──と言った姿の持ち主。
そして彼女は釣り竿バッグを背負っているが、彼女の目的は釣りではなく友人を負かしたと言う老人である。つまり、強そうな老人と戦いに来たのだ。
「……見事に誰も居ませんね……。いえ、しかし!」
彼女は探し人が見当たらずガッカリしかけたが、クワッ!と目に力を入れ直した。
そして、背負った釣り竿バッグを開き、中から釣り具一式を取り出す。
「ここで釣りをしていれば噂の人が現れる筈……」
彼女は餌を取り付けて釣りを始める。しばらく続けていると、その後ろから誰かが石を踏む音がした。彼女が近づいてくる音の方向へと振り向くと、釣り竿バッグを背負いながら杖をつく老人を見定めた。彼女は「噂の老人だ!」と確信すると、その場に釣り竿を置いて、勢い良く立ち上がった。
「現れましたね! さぁ、私と勝負して下さい!」
「な、なんじゃと!?」
ユークリアは宣戦布告と共に、何かを口ずさみながら戦いの構えを取った。
唐突に、二人の頭上に霧が出現する。すると、雷が鳴った。
────ピシャーーン!! ゴロゴロゴロ!!
激しい雷音が鳴ると同時に、老人がびっくりして仰向けにひっくり返った。
「どしぇーーーー!?」
老人は素っ頓狂な声を上げながら釣り竿バッグを落として、さらにガタガタと体を震わせながら頭に両手を乗せてうずくまってしまった。
雷の正体はヒーラーの固有スキルである『祈雷』。彼女は戦いの始まりの演出の為にと出会い頭に空へと放ったのだが、驚かせてしまって申し訳無さそうな表情で老人へと歩み寄った。
「なんと!! すみません、高名な授恵者の方とばかり……。これはただの演出でして……」
刹那。
「────かかったな!!」
目が大きく見開いた老人の顔が、彼女の顔をとんでもない速度で見上げた。
「な!! なあぁぁぁぁ──!?」
────ゴン!
驚き一瞬の隙を突かれた彼女は体勢を崩して仰向けになり頭を石をぶつけた。老人が屈んだ態勢のまま両腕を伸ばし、油断した彼女の両足を抱え込んで手前へ引き寄せた結果だ。
そのまま呆気なく彼女は気絶してしまった。
「ふぅ……儂の勝ちじゃの。面倒な事にならぬ内に帰るとするかのぅ、ふぉっふぉっふぉ」
老人はユークリアの頭にヒールをかけてから、消える様に去っていった。
──その後、目を覚ましたユークリアはシャルガネの川は妖怪の住む川だとリブラネスタの街に噂を広めたらしい。
刻は早朝。青空に飛ぶ鳥が鳴く。川は穏やかに流れ、魚が川に流されまいと逆さに泳ぐ。そんな自然の風景の中に女の子が一人。
彼女は澄んだ空気を胸一杯に吸い込んでから息を吐き、ブーツの底を川原の大石に勢い良く乗せる。さらに、そのまま腕を組んで胸を張りポーズを取った。そして目をカッ!と見開く。
「ここですね……アルシエラを破ったご老人が現れたと言う場所は!」
可愛らしいが威勢の良い声を景色に響かせた彼女は、ヒーラーの冒険者ユークリア・フィナンシェ。
彼女は背まで伸びた金髪にスカイブルーの瞳を持ち、身長は成人女性よりやや下回る。白い厚手のコートを着て、十字架付きの帽子を被っている──と言った姿の持ち主。
そして彼女は釣り竿バッグを背負っているが、彼女の目的は釣りではなく友人を負かしたと言う老人である。つまり、強そうな老人と戦いに来たのだ。
「……見事に誰も居ませんね……。いえ、しかし!」
彼女は探し人が見当たらずガッカリしかけたが、クワッ!と目に力を入れ直した。
そして、背負った釣り竿バッグを開き、中から釣り具一式を取り出す。
「ここで釣りをしていれば噂の人が現れる筈……」
彼女は餌を取り付けて釣りを始める。しばらく続けていると、その後ろから誰かが石を踏む音がした。彼女が近づいてくる音の方向へと振り向くと、釣り竿バッグを背負いながら杖をつく老人を見定めた。彼女は「噂の老人だ!」と確信すると、その場に釣り竿を置いて、勢い良く立ち上がった。
「現れましたね! さぁ、私と勝負して下さい!」
「な、なんじゃと!?」
ユークリアは宣戦布告と共に、何かを口ずさみながら戦いの構えを取った。
唐突に、二人の頭上に霧が出現する。すると、雷が鳴った。
────ピシャーーン!! ゴロゴロゴロ!!
激しい雷音が鳴ると同時に、老人がびっくりして仰向けにひっくり返った。
「どしぇーーーー!?」
老人は素っ頓狂な声を上げながら釣り竿バッグを落として、さらにガタガタと体を震わせながら頭に両手を乗せてうずくまってしまった。
雷の正体はヒーラーの固有スキルである『祈雷』。彼女は戦いの始まりの演出の為にと出会い頭に空へと放ったのだが、驚かせてしまって申し訳無さそうな表情で老人へと歩み寄った。
「なんと!! すみません、高名な授恵者の方とばかり……。これはただの演出でして……」
刹那。
「────かかったな!!」
目が大きく見開いた老人の顔が、彼女の顔をとんでもない速度で見上げた。
「な!! なあぁぁぁぁ──!?」
────ゴン!
驚き一瞬の隙を突かれた彼女は体勢を崩して仰向けになり頭を石をぶつけた。老人が屈んだ態勢のまま両腕を伸ばし、油断した彼女の両足を抱え込んで手前へ引き寄せた結果だ。
そのまま呆気なく彼女は気絶してしまった。
「ふぅ……儂の勝ちじゃの。面倒な事にならぬ内に帰るとするかのぅ、ふぉっふぉっふぉ」
老人はユークリアの頭にヒールをかけてから、消える様に去っていった。
──その後、目を覚ましたユークリアはシャルガネの川は妖怪の住む川だとリブラネスタの街に噂を広めたらしい。