【聖祭】聖霊節2023

ポピー・アルルン

今年の聖霊節は、いつもに比べて静かね。それだけ、帝都の方が大変ってことなんでしょうけど。

リーミル

リブラネスタからも、物資輸送とかで沢山の人たちが帝都へ行ってるの。今年はお祭りよりも、皆の無事を祈ったり、困ってる人を助けたり、そういう聖霊節にしてる街が多いみたいなの。

ポピー・アルルン

そうね。神殿で礼拝なんて、アタシの柄じゃないけど……今は帝都に向けて祈りたい気分よ。

リーミル

それじゃ、神殿に行ってみるの。チャリティバザーとかもあるみたいだから、今度一緒に行こうなの!

今年も「聖霊節」の時期がやってきました――
(12月9日より 【聖祭】連動シナリオリリース予定!)

assignment【聖祭】聖霊節2023 概要

聖霊節2023連動は、新暦1223年の聖霊節の時期に起きた一連の出来事の記録である。
今年は帝都シルトラース奪還作戦に世界中から人が送られている。それでもロスガリア大陸の人々にとって聖霊節は、一年の終わりの大切な行事。今年もきっと、人々の数だけ思い出が生まれることだろう。

assignmentここまでの流れ

聖霊節とは、伝説の英雄『ジド・ルウ』と名もなき小さな神々の偉業を讃え、あるいは祖先や近しい人への祈りを捧げる冬の行事である。
しかし、帝都シルトラースでは大きな戦いが繰り広げられている。戦地へは、帝国だけでなく、ロスガリア大陸各国から大勢の人々が送られた。
今年は多くの街が華やかな催しを控え、かわりに神殿や広場などに戦勝や兵士達の無事を祈る場を設けるなど、戦時下にある人々の心に寄り添う対応を行っている。身も心も傷ついて帰ってくるだろう兵士達のために温かく迎える準備をしておこうと、贈り物を作ったり、バザーなどのチャリティイベントを行ったりしている所もある。残された家族たちの不安や不便を和らげるべく、ささやかなパーティーや慈善活動で支えている所もある。
戦時下にあっても、ジド・ルウがメドゥの指先首領だという噂が流れても、聖霊節は人々にとって一年の締めくくりだ。
冒険者にもきっと、聖霊節の依頼が舞い込んでくるだろう。

person_pin関連NPC

冒険者御用達のとあるショップの敏腕店員。目つきの悪さや強気な言動とは裏腹に冒険者のサポートは手厚いミスツンデレ。ひそかに美容に興味があり、とある都市の名産品である「百合茶」を愛飲しているそう。

《本連動での動き》

今年も特に良き出会いは無かったが、人生の目標として恋愛や結婚を夢見る時期は過ぎようとしているようだ。

リブラネスタの冒険者ギルド本部に配属された新人受付嬢。アナンディーンの部下として依頼の受理、掲示、斡旋のほか、書類整理など様々な雑務を担当している。冒険者から関係各所へ送られる書類の受付・転送も仕事のひとつ。

《本連動での動き》

戦地の人々の無事を祈りつつ、聖霊節限定の酒の販売情報はいつも通り収集している。

menu_book関連用語・情報

聖霊節(ユールフェス)

聖霊節の由来は、ハーフリングの英雄、『ジド・ルウ』が、その身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞いだことによる。
その挺身は、微々たる効果しかもたらさなかったが、ジド・ルウに小さな神々が続いたことが、マテリアル界への大型クリーパーの侵入を激減させ、今日の平和の礎となった。
ジド・ルウと、名を失った神々がそれを成させしめたのが、12月――というわけではない。
当時は現代の『新暦』、つまり暦が無かった。神代における『冬の時代』という比喩表現を、12月と解釈したという説が根強い。収穫祭を終え、冬に閉ざされた時節に祝い事がある、というのもヒトの営為としてちょうど良かったのだろう。
ともあれ、ロスガリア大陸ではこれらの冬の催しを、『ユール』、あるいは『ユールフェス』と呼ぶ。
『ユール』という言葉そのものの意味を冬の祭り、あるいは冬至とする説もあるが、これは違う。ジド・ルウの渾名こそがその由来である。ジド・ルウが、自らの名を「呼びにくいから」という理由で渾名として周囲に伝えたのが、『ジュール』あるいは『ユール』であった。
由来はさておき、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げるようになったのだ。特別信仰心の無いものであっても、神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げたり、街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時期となる。

1223年の聖霊節事情

1223年12月現在、ロスガリア大陸全土から帝都シルトラースへ大勢の人とモノが送られており、激戦の最中である(【帝国】連動)。帝都シルトラース奪還作戦の結果次第では、人類の大部分が征竜によって粛清される可能性もあり、大陸全土が戦時下の空気に包まれている。
多くの都市や街、村で華やかな祭りは控えられ、ロスガリア大陸連合軍の勝利や戦地の人々の無事の帰還を祈る礼拝や集会が開かれている。また、戦地に家族を送り出した人々の不安や生活の不便に寄り添う形で、慈善活動やささやかな食事会のお手伝いのような依頼が多く出されるようだ。

ジド・ルウの正体

神代の英雄ジド・ルウこそがメドゥの指先の首領であるという噂が、一般の人々の間にも流れている。しかし、確かめるすべもない人々の多くは、まだ数ある噂のひとつに過ぎないと考えており、聖霊節に忌避感はないようだ。ただし、中には、噂を気にして騒ぐ市民などもいるかもしれない。

メリーユールフェス

聖霊節の時期に人々の間で交わされる挨拶。乾杯のかけ声などにも使われる。

テラリウムのランタン

【大変動】の折、サウゼル大樹海で発見された新素材『ヒカリゴケ』を使用したテラリウム。とある冒険者の熱意と知識により考案された。モニターがてら祭りを彩る明かりとして『神匠』ヴィンダールヴルより貸し出しされている。
瓶の中に寄せ植え的にヒカリゴケの生育環境を再現したもの。冒険者向けアイテムとして配布されたテラリウムのランタンよりも大きく、街の装飾に向いている。ただし、素人の世話では枯れて光を失うまでに3日ほど。また、瓶から出せばすぐに茶色くなり光量も減ってしまう。瓶に着色したり、外装のデザインにこだわるなどして柔軟な運用が可能。
例年は街のお祭りの装飾などに利用されていたが、今年は礼拝の灯りなどとしての需要が大きいようだ。

水上都市アキュアリスタ

ロスガリア大陸北東、辺境都市郡の遺跡都市の一つ。
今年はドン・ゴーフルを刺傷したアダムが遺跡に逃げ込んだことから、遺跡内は立ち入り禁止になっている。
紀元前より存在するとされる広大な湖内部に沈んだ遺跡部と、遺跡の中でも大きい建造物の最上部を利用して作られた行政区などの中心部、遺跡上に建築したり浅瀬を埋め立てることで建造された外縁部からなる。
都市内は徒歩での移動も可能だが、ボートでの移動もよく利用されている。同都市では冬季に行われる『水神祭』が最も知られている。原因は不明であるが、湖は一年に一度、冬季に大きく水位が下がり、遺跡の外観の一部が明らかになると同時に遺跡への進入が可能となる。
この時期は冒険者、研究者、加えて、その景観を見ようと観光客が押し寄せる時期であり、『水神祭』は彼らをターゲットとした、大陸全土で見ても最も大きな祭りの一つである。なお、遺跡自体は強固な素材で建築されており、破壊による遺跡調査や資材採集が困難であることから、長年に渡り探索・研究の対象となっている。現状確認されている遺跡内部への入り口は都市中心部の深層に一つのみであることも手伝い、調査用・探索用に遺跡を開放する際の利用料は同都市の貴重な収入源となっている。
遺跡は巨大な石材を組み合わせて作られており、巨大な基部と、そこから様々な方向に伸びる直方体様の構造物が組み合わさったような形をしている。
水位が下がった際に見ることができる威容はこの世のものとは思えない景観であること、夜間はその外壁の紋様が明るく発光することから、観光客の人気も根強い。
昨年は【鬼哭】連動にて遺跡が騒動に巻き込まれ、立ち入り禁止となってしまっていたが、今年は例年通り入ることができる。ただし、戦時下ということもあって観光客は少なく、むしろ「人が少ないからゆっくり調査できる!」と遺跡の研究者達がワクワクしているようだ。

 聖霊節シーズンの大都市リブラネスタといえば、美しく彩られた街並と幸せそうな家族連れやカップル、あちこちで客引きをする赤白の衣装の人々など、一年の中で最も華やぎに満ちているものだ。

 しかし、今年はそうでもない。

 街中に飾られたテラリウムのランタンは、例年よりもヒカリゴケの量が少なく、控えめな輝きに見える。あちこちで開催されている聖霊節バザーの会場には「チャリティ」の文字が目立つ。普段それほど人の出入りが多くないはずの神殿の礼拝には、溢れんばかりの人々が詰めかけている。

「ま、しょーがないわよね。世界中が戦時下みたいなもんだもの」

『売上は戦地の支援に使用します』と看板が掲げられた屋台でエビの串焼きを買って頬張りながら、職人通りの敏腕ショップ店員ポピー・アルルンが呟くように言った。
 それに応えて頷くのは、中身不明の水筒に口を付けながらポピーの隣を歩いていた、冒険者ギルドの受付係リーミルだ。

「みんな無事に帰ってきてほしいの。そんなに信心深くない人でも、最終的には神頼みってなるのは良くわかるの」

 帝国崩壊以降、ロスガリア大陸は常に大波乱の中にあった。戦役が続き、シルトラース帝国やリーンエス王国北部を苛む『不作』は、この11月から急速に進行している。
 帝都シルトラースでは今、人類の存亡をかけた戦いが繰り広げられているのだ。ロスガリア大陸各国から兵士や後方支援部隊、輸送隊など大勢の人々が帝都方面へ送られ、残された家族や友人達は不安な日々を過ごしているだろう。

 そのような中で訪れた、聖霊節シーズン。
 今年は世界的に派手な祝祭やイベントが自粛傾向にあるようで、かわりに戦地の人々の無事を祈る礼拝やチャリティイベントなどに人が集まっているようだ。
 昨年、イダ・バルダスの影響下にあったアダムが起こした事件のために遺跡が立入禁止となり、観光業にダメージを受けてしまった辺境都市群のアキュアリスタですら、今年の祭りは平時より控えめだという。

「それに、全く屋台や聖霊節グッズが見当たらないってわけじゃないしね。今年はお祈りでもして、それから……アタシの家にでも行って、のんびり食事でもしましょうか」
「いいアイデアなの。アナンディーン先輩もどうせ一人だから誘ってみるの」

 自粛ムードがあるとはいえ、家族や友人同士でのちょっとしたお祝いは行われている。世界がどんなに緊迫した状況でも、ロスガリア大陸の人々にとって、聖霊節が大切な一年の締めくくりであることには変わりがないのだ。

「……そういえばポピーさん、今年は『カップル爆発しろ』とか言ってないの。いい人でも見つかったの?」
「ふっ……」

 例年に比べて妙に冷静な顔で街を歩くポピーを不審がり、リーミルが疑問を口にした。
 一昨年は一目ぼれからのスピード失恋、昨年は詐欺師のニセ恋占いに踊らされて無駄に浮かれた年末年始を過ごしてしまったポピー。今年はもしや、ついに運命の――

「ないない。恋愛の『れ』の字も見つからないわ。……でもまあ、もういいのよ」
「えっ……!? 諦めちゃったの!!??」
「ちょっと、ネガティブな言い方やめてくれない?」

 悟りを開いたかのようなポピーの発言に驚くリーミル。ポピーは苦笑いを浮かべ、大きく伸びをした。

「そんなんじゃなくて、無理に恋を探すのはもうやめよう……って思っただけよ! 去年、アナンディーンが言ってたじゃない。『いつ、どこで運命の人に出逢うかはわからない。出逢ったとして、それがどんな運命なのかわかるのは、恋に落ちてしまってからだ』って……」
「そういえば、そんな事も言ってた気がするの」

 ポピーと同じ串焼きをモグモグ頬張りながら、リーミルは斜め上を見て記憶を辿る。

「よく考えたら、アタシって今の仕事向いてるし、ちゃんと自活できてるし。毎日そこそこに楽しいのよ。だったら、アナンディーンが自信満々に言う『落ちる』恋とやらを、どっしり待ち構えててもいいのかな……なんて。ま、早く落ちてくれたら有難いけどね!」
「ポピーさん、ショップの仕事好きだから毎日楽しそうなの。それはわかるの」

 ふふふ、と笑うリーミルの顔を見て、ポピーもまた朗らかに微笑んだ。

 ポピーがずっと探し求めていた運命の王子様は、未だ見つかりそうもない。
 それでも毎日笑っていられるのは、リーミルやオペラ、アナンディーン、ヴィンダールヴル――そして、たくさんの大事なお客様(冒険者)に囲まれているからだ。

 それはきっと、幸せなことに違いない。

「よしっ、それじゃ今年の聖霊節の予定を立てるわよ! まずは明後日、あの神殿の礼拝に行くでしょ。それからチャリティバザーは……」
「ポピーさん家に行くなら、お肉とか酒とか買って行かなきゃなの!」

 いつもより静かなリブラネスタで、二人の娘達がいつも通りの声を響かせる。

 今年も、聖霊節の時期がやってきた。


 執筆:桃谷かな
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0