【幻秋】夢幻と現の収穫祭

リーミル
はぁ~~~♪ 今年も色々ありましたけど、収穫祭に行けて良かったですね、アナンディーン先輩!
アナンディーン
ああ、そうだな。新種の妖精や正体不明の霧があちこちで現れていたようだが……無事に収束したようだ。こうして天と地の恵みに感謝しながら収穫祭を――こら、歩きながら酒を飲むんじゃない!
リーミル
いいじゃないですか~。明日は絶対遅刻しませんよ♪ ……って、あら?
先輩、あれってまさか……?
アナンディーン
あれは……妖精ジュールか? 最近は目撃されなくなってきたはずだが……。
今年も収穫祭シーズンが無事に終わりました!
そして、妖精ジュールの正体とは……?
assignment【幻秋】夢幻と現の収穫祭 概要
【幻秋】連動は、1223年の収穫祭の時期に起こった一連の事件の総称である。 『天霧りに消ゆる幽界樹』による不作、リーンエス王国の騒乱、超大型クリーパーの襲来を受けたリブラネスタ――世界は今、数々の脅威に晒されている。一方で、去年までは見られなかった不思議な生物や現象も各地で確認されている。人々は今年、収穫の秋にどのような体験をするのだろうか。
assignmentここまでの流れ
テリーズ・トラ・トリュース! 今年も収穫祭の時期がやってきた。
しかし、この時期はなぜか「おばけ」風の魔物が活発化する季節でもある。また、シルトラース帝国とリーンエス王国北部では、昨年に豊かな実りを齎した『豊穣の雫』の在庫が乏しくなり、再び不作の波が押し寄せている。加えて、リブラネスタは超巨大クリーパーの襲来に揺れ、リーンエス王国の王都は苛烈な戦場と化した。
王国で多用された『龍逓架』の影響による大地のエーテルの乱れからか、大陸全土で不可思議な空間が発生したり、見たこともない新種の『妖精』のようなものも目撃されている。
そんな不安定な情勢の中でも、人々は天と大地の恵みに感謝を忘れず、収穫祭をとり行うのだ。
assignment結果
今年もロスガリア大陸の各地で大小さまざまな収穫祭やパーティーが開かれ、地元の人々はもちろん冒険者達も大いに秋の味覚を楽しんだ。ケンタウロスの聖地においても祭りが開催されたり、『豊穣の雫』開発に必要不可欠なエーテル石の確保に成功した。一方で、世界を騒がせていた新種の妖精(?)ジュールは、冒険者達を殴ったり殴り返されたりしつつ、お菓子や遊びも満喫して徐々に目撃報告が減っていった。同時に、『夢幻の霧』の発生も収束したようだ。最後にジュールを目撃した冒険者ギルド職員によると、ジュールの正体は、その身をエーテルと化してアストラル界との障壁の狭間に身を埋めた英雄ジド・ルウの意識体であるらしい。
person_pin関連NPC
刀の製法を再発見し、その功績を持って若くして匠王の座に就いたドワーフ。性格のチャラさは生まれつきだが、鍛冶への情熱は深い。
《本連動での動き》
飲み会目的でシャルガネ居住区の友人キサキ・アカネを訪ね、妖精ジュールと出会った。
表の顔は、シャルガネ居住区の宿場街の女将頭。裏の顔はシノビの頭領であるという噂もあるが、実情は定かではない。
《本連動での動き》
友人シグルランを迎えて実りの秋を満喫しようとしていたら、妖精ジュールと出会った。
リブラネスタの冒険者ギルド本部に配属された新人受付嬢。アナンディーンの部下として依頼の受理、掲示、斡旋のほか、書類整理など様々な雑務を担当している。冒険者から関係各所へ送られる書類の受付・転送も仕事のひとつ。
《本連動での動き》
遅めの収穫祭を楽しんだ帰り道で、妖精ジュールとメドゥの右腕を目撃した。
蒼狼のハーフビースト。王国に生まれ、貧しすぎる暮らしから幼少期より密猟に手を染めた後、傭兵団に拾われた過去を持つ。年齢故に引退を考えていたところを冒険者ギルドに引き抜かれ、冒険者ギルドにおける新人《授恵者》の教育担当兼、軍事関係のご意見番を務める。
《本連動での動き》
遅めの収穫祭を楽しんだ帰り道で、妖精ジュールとメドゥの右腕を目撃した。
メドゥの指先の大幹部。神代の終わりに昇神し「吸血鬼」を生んだ神であり、血を媒体とする混沌魔術の使い手でもある。常に楽しげに振る舞う彼だが、よく見れば作った笑顔であることもわかるだろう。征竜との共闘に反発した左腕と行動を共にし、ヨゼフ一派から距離を取った。左腕とは長い縁であるようで、相互に協力する場合もあるようだ。
《本連動での動き》
夜の湖畔で妖精ジュールと会話していた。
menu_book関連用語・情報
収穫祭
様々な風土や宗教が混在するロスガリア大陸。この時期になるとそれらの枠を超え、各地で一斉に収穫祭が行われる。古くは秋の実りに感謝する純然たる収穫祭だったが、いつの頃からか亡者や魔物をフィーチャーした風習が生まれた。
実りの季節であると同時に、日毎夜闇が濃く長くなり行く時期でもある。夜闇に彷徨う悪霊に憑かれぬよう魔物の仮装をしたり、鎮魂あるいは魔物除けのために歌い踊ったりと、祭りの内容は多種多様。厳かに執り行う郷もあれば、観光客を呼ぶべく派手に行う町もある。
何故収穫祭がこのように変化してきたのか由来は諸説*あるが、今では保守的なエルフの集落やリザードマンの部族集落を除く町や村々である程度一般的に催されている。
テリーズ・トラ・トリュース
一昨年(1221年)の収穫祭から定着した収穫祭時期の挨拶。一部の妖精さんが挨拶のように発していた言葉を人々が真似た。
新種の妖精(?)「ジュール」(2023/11/15追記)
この秋、ロスガリア大陸の各地で頻繁に目撃されるようになった謎の妖精らしき存在。両手に乗るくらいの白い球形でちょこんと尻尾があり、ペンで雑に落書きしたような大きい目と口がある「おばけ」っぽい外見。赤白ストライプ柄の三角帽を被っている。自分達のことは「ジュール」と言う。
街はずれや森の中、畑などに昼夜問わず現れ、「強くなりたきゃイタズラするぞ」と人を脅かす。単体が多いが複数まとまっていることもある。
「強くなりたくない」と答えると、やたらと哀れんでくる。
「強くなりたい」と答えると、強力なモンスターに変身して襲いかかってくる。ジュールが勝っても人間が勝っても満足そうに元の姿に戻り、どこかへ去っていく。重傷を負うことはあっても、殺されることはないようだ。
なお、お菓子やフルーツなど甘い物をあげて機嫌をとると、仲良く遊んでくれることもあるらしい。
(2023/11/15追記)
メドゥの右腕との会話により、神代にその身をエーテルと化してアストラル界との障壁の穴を塞いだ英雄ジド・ルウの意識体であると判明した。そして、メドゥの指先首領の正体はジド・ルウなのではないか……との話もあるようだ。
夢幻の霧(2023/11/15追記)
この秋、ロスガリア大陸の各地で頻繁に報告されている怪奇現象。森や草原の一角や、湖沼、遺跡、村など、ある一定の場所がある日突然に不思議な空間と化してしまう。
大体の場合で霧や靄を伴い、その中では通常では考えられないことが起きる。
いずれにせよ1日~数日で霧散し、中にいた人々も元の世界に戻れるようだが、世界で同時多発的に発生している現象のため不思議がられている。リーンエス王国で『龍逓架』がいくつも稼働したため大地のエーテルの流れに乱れが生じた影響ではないかと言われている。
(2023/11/15追記)
メドゥの右腕と妖精ジュールの会話により、原因が判明。英雄ジド・ルウの意識体が世界の狭間から飛び出した際に共に漏れ出た「小さき神々」のエーテルの一部が、『龍逓架』による龍脈のエーテルの乱れに干渉し、局所的に神々の力が具現化されていた現象らしい。
ケンタウロスの『聖地』
複数の部族のケンタウロス達が住む土地で、場所はシルトラース帝国の東端。ドワーフ王国や辺境都市群に近い平原にある。帝都崩壊前も帝国の土地か亜人(ケンタウロス)の土地か曖昧であった場所で、最低でも数百年に渡ってケンタウロスが支配し続けていた土地。彼らは神代の英雄ジド・ルウとの約束によりこの地を守っているという。
人類は長い間、その場所が彼らにとっての聖地であることも、その地下に眠るエーテル石(神石)の存在も知らなかった。1222年初頭に聖地がメドゥの左腕の襲撃を受けたことによりケンタウロスの大移動(【人馬】連動)が起き、聖地とそこに住まうケンタウロス達、そしてエーテル石の存在が明らかとなる。聖地奪還戦においては冒険者が主戦力となり、ケンタウロスと帝国の停戦協定の締結に大きく貢献した。
フィルエス大森林の大異変の際(【樹謂】連動)には、一部族の長ルカンドラが冒険者とともに世界樹を訪れ、幽界樹により世界が滅亡するとの預言を聞いた。その後、大族長レミーラの生前葬(【天馬】連動)での交流も経て、聖地のケンタウロス達の人類への敵対感情はかなり薄れ、友好的関係を築けそうな段階にきているようだ。
豊穣の雫(2023/11/15追記)
1222年、『天霧りに消ゆる幽界樹』による不作に蝕まれているシルトラース帝国とリーンエス王国北部を救う為、クーネ・ルウ主導の元で開発されたアイテム。豊穣の雫を用いて儀式を行うことで、不作の地域でも今年は十分な実りを収穫できるようになる(幽界樹によって世界からエーテルそのものが失われ続けている事を解決できるわけではない)。
しかし、材料となるエーテル石の入手が容易ではないため、今年は豊穣の雫の在庫が乏しく、多くの地域が再び不作に陥っている。
(2023/11/15追記)
『聖地』のケンタウロスより新たに得られたエーテル石により追加で作成された。今年は不作を免れ、無事に収穫を終えた地域も多くあった。
龍脈即時通信装置『龍逓架』
崩壊前のシルトラース帝国が実用段階直前にまで開発を進めていた通信装置で、帝国内主要都市の魔導院に設置されていた。大陸の地下を流れるエーテルの流れ『龍脈』を利用した遠隔地同士の即時通信装置であり、リーンエス王国との決戦に備えて設計された。この龍逓架が発する魔法的な信号が龍脈を通じて帝都の幽界樹に感知され、帝国内の各都市に幽界分樹を呼び寄せたと推測されている。その推測はディズル大湿地帯の騒乱(【泥乱】連動)における帝国近衛連隊の行動により実証された。
また、メドゥの指先が一つを確保していたが、それを元に新たに量産し、1223年夏から秋にかけてのリーンエス王国において複数の稼働が確認された(【呑竜】連動)。
この日、エラトゥーン都市同盟の大都市リブラネスタ近郊にある小さな村では、少し遅めの収穫祭が開かれていた。
リブラネスタの冒険者ギルド職員であるリーミルとアナンディーンは、久しぶりに取れた休日を利用して村を訪れ、秋の味覚と酒を存分に楽しんだ。
気が付けば太陽は地平線の向こうに隠れ、夜の帳が下りている。明日も出勤であるからと二人は帰路につき、今はリブラネスタに向けて街道をのんびりと歩いていた。
「……って、あら?」
冒険者達の報告書にあった各地の収穫祭や、新種の妖精(?)ジュール、そして謎の多い『夢幻の霧』の話題でそれなりに盛り上がっていた時、ふと、リーミルが街道脇の森を覗き込んで足を止める。
「先輩、あれってまさか……?」
「あれは……妖精ジュールか? 最近は目撃されなくなってきたはずだが……」
夜の森。木々の間をふわふわと漂う白い球体のようなものを見て、アナンディーンもその場に立ち止まった。
ロスガリア大陸各地を騒がせた妖精ジュールと『夢幻の霧』は、11月に入ると徐々に目撃情報が減り、最近ではもう報告があがってくることもなくなっている。
まだいたのか、と呟き、アナンディーンは足音を殺してジュールを追い始めた。
「ああ見えて、奴は人に会えば危害を加える恐れがある。放っておくわけにもな……」
「『強くなりたきゃイタズラするぞ!』っていう、アレですよね? 私のシグ姉さま達をボッコボコにしてくれた、あの邪悪なイタズラですよね!?」
「あ、ああ。そうだな……」
後ろをついてくるリーミルの瞳に殺意が灯った気がして、思わず口ごもるアナンディーン。
「ここで会ったが百年目です。奴を追いましょう、アナンディーン先輩」
「……酔っているな?」
「酔ってる場合じゃないので醒めました。さあ行きましょう」
やたらと冷静そうな声音で返事をするリーミルの右手は、背中の斧槍に添えられていた。
●
「だーかーらー! 結局のところ、世界は――――なんだ。ボク達はね、その『世界の真実』に皆が自分で気付けるように助けてあげなきゃいけない。神様になった君なら、わかるよね?」
「まあ……もちろん『真実』はわかるけど。僕はどっちかっていうと、君の友達として君のやりたい事を手伝ってるようなものだからねぇ」
リーミル達がジュールに追いついた時、彼(?)は秋の花咲く湖畔で誰かと話していた。一部は聞こえなかったが、ジュールの声には随分と熱が込められている。
「そう、いつも手伝ってくれてるよね。それでこそボクの盟友だよ! 右腕くん!!」
(メドゥの右腕……だと!?)
ふわふわと浮遊するジュールの隣に腰を下ろしているのは、月光を浴びて赤い目を光らせた『吸血鬼の神』メドゥの右腕だった。
アナンディーンは咄嗟にリーミルの頭を抑え、草むらに身を隠す。
「どういたしまして、英雄ジド・ルウ君。我らが首領殿……でいいかな? 僕が昇神してすぐ、君は世界の狭間に行ってしまったからさ。こうして対面するのはいつぶりだろうね」
「随分だね! 二千年近くぶりくらいじゃない? いつも君達には声しか届けてないからねー」
(……これは、一体なんだ……?)
ふと見遣れば、リーミルが珍しく眉間に皺を寄せて彼らの話を聞いている。アナンディーンは、いま目の前で繰り広げられている会話が一体何を意味するのか、半ば呆然としながら考えていた。
「あの夢幻の霧は、君の仕業じゃないよね? ジド君」
「あれはねー、ボクのこの意識体が世界の狭間から出てきたときに、うっかり漏れ出しちゃった小さき神々のエーテルだよ。なんだっけ、『龍逓架』だっけ。アレの作用と干渉して変な効果がでちゃったみたい。意識体が消える頃には出なくなってるんじゃないかな」
大したことじゃないよ、とでも言うように。
妖精ジュールは、ケラケラと笑ってそう説明した。
「いまは世界がこんなに酷い状態だ。ヒトは悩んで苦しんで、とても辛いはずだよ。だからボクは、こうして意識体を飛ばしてヒトに稽古をつけてあげたんだ。ガツンと強くなって、ヒトがヒトの領域から離れれば、『世界の真実』に気付ける時が来る。そうしたら皆、悩みや苦しみから解き放たれることができる」
「ジド君がそうして稽古をつけてる間に、あの世界樹君も人類に力を与えていったしね。多分だけど、そろそろ気付ける人も増えてくる頃じゃないかな」
「そうそう! 世界樹くんのアレはちょっとチートだったけど、結果をみれば悪くないね。――さあ、もうすぐ帝都で大きな戦いがあるよ。皆もっと強くなる。『世界の真実』を知っても、消えてしまわないくらいに……」
妖精ジュールは、世界の狭間からまろび出た神代の英雄ジド・ルウ――その意識体。
神代に神と成ったメドゥの右腕とジド・ルウは盟友だと言う。
そして彼らは、『世界の真実』を皆に気付かせるために――
(どういう、ことだ……)
ただジュールとメドゥの右腕を見つめ、微動だにできないアナンディーンとリーミル。
やがて月が雲に隠れ、いつの間にか湖畔の二人が姿を消しても、彼らは夜が更けるまでその場を動くことができなかった。
「……リーミル。今日聞いたことは、関係者外秘だ」
「そう、ですね……」
神妙な顔で頷いたリーミル。
まさか彼女が『関係者』の範囲を誤解しており、ギルドにやって来る冒険者という冒険者にこの話を広めてしまうなんて、この時のアナンディーンには想像もできていなかった。
執筆:桃谷かな