【北乱】北港騒乱

リーミル

あっ、冒険者さん。こんにちは。最近すっかり暑くなりましたね。
春から始まったエスト・ポーラとリブラネスタのいざこざは何とか落ち着いて、街もだいぶ落ち着いてきました。
エスト・ポーラの市長さんは、やっぱり偽者でメドゥの指先だったそうですよ……!
両都市はこれから友好的な関係を目指していくそうですし、今夜も美味しい酒が飲めそうです!

リブラネスタとエスト・ポーラの間で、休戦協定が締結されました!

assignment【北乱】北港騒乱 概要

幽界分樹に端を発した、エラトゥーン都市同盟の二大巨頭リブラネスタとエスト・ポーラ間の戦いの行方を追う。その裏にはメドゥの指先の不気味な思惑が蠢いている。

assignmentここまでの流れ

エスト・ポーラを始めとするエラトゥーン都市同盟の北部諸都市に対してメドゥの指先が突如、幽界分樹出現を誘発されたくなければリーンエス王国と戦端を開けとの無茶な要求を突き付けてきた。
事態の解決に動いたエスト・ポーラ市長はしかし、リブラネスタの北部諸都市軽視の態度に怒りを募らせ、都市同盟内の南北開戦へと舵を切ろうとしていた。
(2023/5/1追加)
エスト・ポーラ内で開戦への機運が最高潮に高まり、市長ローヴィス・クレイヴラーは遂にリブラネスタへの宣戦布告に踏み切った。
一方、龍逓架に対してはクライス・アクバーが捜索へと着手。

assignment結果

リブラネスタとエスト・ポーラの大海戦は双方共それなりの損害を出しつつ、決着には至らず。市長ローヴィス・クレイヴラーはエスト・ポーラへと逃れ、立て直しを図る。
一方クライス・アクバーはエラトゥーン都市同盟内には龍逓架が持ち込まれていないと判断。メドゥの指先による脅迫はただのはったりだったと結論付け、幽界分樹出現の可能性については杞憂に終わった。
(7月3日追記)
エスト・ポーラの市長ローヴィス・クレイヴラーは冒険者によって捕縛され、自身が双子の弟のルトルガー・クレイヴラーであり、メドゥの指先に属する偽者であると自白した。
エスト・ポーラ市議会では穏健派議員が発言力を増し、リブラネスタとの間で休戦協定が締結された。

person_pin関連NPC

エスト・ポーラの現市長であり、エラトゥーン都市同盟内の他の北部諸都市からも絶大な信頼を寄せられている実務派。政治的手腕はもとより、経済的な見識も深く、彼の意見であれば間違いは無いであろうとの信頼を多方面から寄せられている。

《本連動での動き》

メドゥの指先からの脅迫に対処すべく動いていたが、リブラネスタの態度に怒りを募らせ、南北開戦も視野に入れた対抗措置を取ろうと奔走する。
(2023/5/1追記)
対リブラネスタの機運を最高潮に高め、エスト・ポーラ市長の名のもとに於いて宣戦布告発布を強行。自らもエスト・ポーラ艦隊の軍船に乗り込み、海上決戦の場へ足を運ぼうとしている。
(6月2日追記)
対リブラネスタ大海戦では危うく冒険者に捕らえられそうになるものの、辛うじて逃げ延びた。現在はエスト・ポーラに引き籠り、再起を図って諸々思案中。
(7月3日追記)
冒険者によって捕らえられ、自身が市長の偽者であり双子の弟のルトルガーであると自白した。

ラネンターカム

数百年を生きた、妖艶な美女という外観の吸血鬼。大型魔獣のアンデッド化を得意とする他、個人の戦闘能力も極めて高い。

《本連動での動き》

エスト・ポーラを始めとするエラトゥーン都市同盟北部諸都市に、幽界分樹出現を誘発されたくなければリーンエス王国に攻め入れとの無茶な要求を突き付ける。
(2023/5/1追記)
グールクラーケン、冥千将という二体の大型魔獣アンデッドを投入し、エスト・ポーラを密かに支援する模様。
(6月2日追記)
エスト・ポーラがリブラネスタに勝ち切れず、龍逓架のはったりが見破られたことを受けて、エラトゥーン都市同盟を去ることにした。次なる地は果たして……?

ジルベル

白銀虎のハーフビースト。戦士としての技量もさることながら、様々な事件で暗躍し、数多くの謀略を巡らせてきた。

《本連動での動き》

エスト・ポーラを始めとするエラトゥーン都市同盟北部諸都市に、幽界分樹出現を誘発されたくなければリーンエス王国に攻め入れとの無茶な要求を突き付ける。
(2023/5/1追記)
エスト・ポーラによる対リブラネスタ戦が失敗に終わった場合を見据えて、密かに幕引き策を講じている模様。
(6月2日追記)
対リブラネスタ大海戦から逃げ帰ったローヴィス・クレイヴラー市長に対し、後始末を付けようとしている。
(7月3日追記)
ルトルガー・クレイヴラーが捕縛された日以降、周辺で目撃情報はないようだ。

元帝国魔導院エスタル支部長。
打倒幽界樹に燃える格闘魔導師で、現在はメドゥの指先に奪われた龍逓架の捜索をメインに活動中。

《本連動での動き》

エラトゥーン都市同盟内に持ち込まれたという龍逓架を捜索する為に、冒険者に協力を仰ごうとしている。
(6月2日追記)
エラトゥーン都市同盟内には結局、龍逓架は持ち込まれていなかったと結論付けた。結果、今回はひとまず己の役目は終えたとして、早々に退去していった。

menu_book関連用語・情報

龍脈即時通信装置『龍逓架』

崩壊前のシルトラース帝国が実用段階直前にまで開発を進めていた通信装置で、帝国内主要都市の魔導院に設置されていた。龍脈を利用した遠隔地同士の即時通信装置であり、リーンエス王国との決戦に備えて設計された。この龍逓架が発する魔法的な信号が龍脈を通じて帝都の幽界樹に感知され、帝国内の各都市に幽界分樹を呼び寄せたと推測されている。
過日、元帝国魔導院エスタル支部長クライス・アクバーは龍逓架のひとつがメドゥの指先幹部『青の中指』ジルベルによって盗み出されていた事実を知ったが、その所在は未だ不明のままである。

龍脈

ロスガリア大陸の地下深くを流れるエーテル地脈。エーテル浄化者はここに働きかけてエーテル浄化儀式を行っている。

幽界分樹

帝都シルトラースに聳える幽界樹を「本体」と見做した場合の、帝国内主要都市に出現した幽界樹の「分樹」。ただし幽界樹については未だ不明点が多く、帝都に出現した幽界樹が本体であるか、それとも地中やアストラル界などに真の「本体」が存在するのかは判明していない。

●ルトルガーなる男
 エラトゥーン都市同盟内の某法廷にて、その男は、ルトルガー・クレイヴラーと名乗った。
 エスト・ポーラ市議会穏健派の長老格を襲撃した罪で現行犯逮捕された彼は、その直前までエスト・ポーラ市長ローヴィス・クレイヴラーを名乗っていた。
 しかし本物のローヴィス市長は既に亡く、双子の弟ルトルガーが密かに偽市長としてすり替わっていたということらしい。
 そして双子の兄ローヴィスを殺害したのも、ルトルガー自身だった。
 それまでルトルガーの存在を知る者は極めて少なく、少年時代は余りの素行の悪さの為に勘当され、現在のエスト・ポーラ市議会で彼の存在を覚えている者はほぼ皆無だった。その為ルトルガーがローヴィスとすり替わっていた事実に気付けた者が誰ひとりとして居なかったのはエスト・ポーラ市議会としても痛恨の極みではあったが、しかし現実問題として、彼が双子の弟だと気付くのは到底不可能だったともいえるだろう。
 そのルトルガーだが、彼は自身を裁く法廷に於いて、驚く程に饒舌だった。
 恐らく、極刑を免れる為には全てを正直に白状した方が得策だと考えたのだろう。
 曰く、己自身もメドゥの指先の構成員であり、幹部であるジルベルやラネンターカムによる龍逓架パニック実験に便乗する形で積年のライバルたるリブラネスタに勝利し、自分の方が兄よりも優秀であり、市長に相応しいことを証明しようとしていた。
 曰く、その過程で生じたエスト・ポーラ民間船撃沈は、超大型アンデッドのグールクラーケンを用いた狂言だった。
 曰く、しかしながらルトルガー自身は龍逓架の実物など見たことは一度も無かったし、メドゥの指先がかの装置を所有していることは聞き知っているものの、その在り処や数は教えて貰ったことが無かった。
 以上の様に、ルトルガーは訊かれたことには素直に答えたが、訊かれもしないことまで自ら積極的に発言する姿勢を伺わせた。
 余りに小賢しく、余りに矜持の欠片も無いその姿に、法廷に出席した者達は内心で失笑を禁じ得なかった。
 つまりは、その程度の存在に過ぎなかった、ということだろう。

 リブラネスタの冒険者ギルド。
 その受付カウンター横の休憩エリアでルトルガー裁判の経過報告書に目を通していた元シルトラース帝国魔導院エスタル支部長クライス・アクバーは、ルトルガーの余りの小物ぶりに内心で溜息を漏らした。
(矢張り、龍逓架はここには無かったんだな)
 クライスの読み通り、騒動の発端たるメドゥの指先からの脅迫は、ただの狂言に過ぎなかった。それ自体は最早争いの余地は無いだろうが、問題は都市同盟の今後であろう。
 クライスは更に、経過報告書に記されている知見者の見解に視線を落とした。
 そこには、ルトルガーの極刑は免れないだろうとのひと言が記されている。
(さもありなん、だな。如何に正直に話したところで、犯した罪は消えない)
 今後、法廷では更なる審理が続くだろう。これまでの行状を考えれば、極刑を免れることが出来ると考える方が寧ろ楽観に過ぎるというものだ。
 だが同時に、エスト・ポーラの発言力も相当に弱まることが予想される。
 暴走したルトルガーを支持してきたエスト・ポーラ市議会強硬派議員らに対する捜査や追及も進んでおり、それら強硬派の中核議員らの失脚も待った無しの状況だ。
 これからエスト・ポーラ市議会には粛清の嵐が巻き起こることになるだろう。

●警戒を怠るな
 休憩エリアから出ようとしたところで、クライスはリブラネスタ市長ヴィルジニア・テレーザ・セルッティとばったり出会った。どうやら、ある重要な所用で冒険者ギルドを訪れたところらしい。
 ふたりは軽い挨拶を交わしたが、その後に続いた話題は当然、ルトルガー裁判と今後の都市同盟内の動向についてであった。
「休戦協定の方は、どうなったのです?」
「それは滞り無く協議が進んで、無事に締結されたよ」
 ヴィルジニアによれば、両都市共に海戦による民間人の被害は無く、損害が両海軍の一部に留まったことが何よりも大きかった、ということらしい。
 そして一連の騒動を『メドゥの指先と、それに加担した一部のエスト・ポーラ市議会議員による凶悪なテロ行為』と位置づけ、両都市共に被害者という体で休戦することで民衆の怒りを彼らに向け、民間レベルでの対立感情を緩和する方針だとの由。
(確かに、そこが最も適切な落としどころだろうな)
 クライスは内心で頷いた。
 最大幸福よりも、最大妥協を目指す方が政治は動かしやすい。そのことは帝国魔導院のエスタル支部長を務めていた経験から、クライスもよく理解出来た。
「リブラネスタとしては、メドゥの指先によるテロリズムに対抗するために両都市間で強固な友好関係の構築を目指すって事で落ち着いたよ。もちろん、この事件の一番の被害者であるローヴィス市長と、沈められた民間船の乗員乗客たちに哀悼の意を表した上でね」
「ま、その方が結果的にリブラネスタの同盟内での評価を上げることにも繋がるでしょうし、エスト・ポーラに対しても大きな貸しを作ることになるでしょうな」
 クライスの冷静な分析に、ヴィルジニアは「よくわかってるじゃないか」と苦笑を返した。
 やり方としてはかなり現金だが、商業都市という性質上、実利を得られない決断は誰も支持しない。
 だが、これで問題が全て片付いた訳ではない。メドゥの指先が龍逓架を所持している事実には、何ら変わりは無いからだ。
「まあ、今回の件はそれなりの落としどころを見つけて終結はしたけど、それよりも問題なのはメドゥの指先が龍逓架を持っているって事実だ。あれの使われ方によっては、大陸に未曽有の危機が訪れかねない。……とはいえ、アタシに出来る事なんて限られてるからね。こうして各国家に向けて事件の全容を纏めた書状を送りつけるくらいしかできない。アンタ達、しっかり警戒してないと足元すくわれるぞ、ってね」
 いいながら、ヴィルジニアは手にしていた文書の束をバシッと叩いた。一部は陸路で送付される為、その護衛として冒険者を雇い入れようとしていたらしい。
 ならば、とクライスはそのうちの一通を預かることにした。宛先はヴィント、即ちレイウェスト・バルダス皇子である。
 書状を受け取り、ヴィルジニアと別れて冒険者ギルドを出たクライスは、すっきりと晴れ渡った空を見上げ、黒眼鏡の奥で眼光を鋭く煌めかせた。
 この蒼天の下のどこかに、奪われた龍逓架が眠っている。
 そして、いずれ訪れるであろう更なる危機を脱する為には、授恵者達のより一層の活躍が望まれることになるだろう。


 執筆:革酎
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0