【甘壇】迷宮神の甘輝祭

ミゼリア・L・ステュクス
……さいきん、エドゥノーグの街も……迷宮も……さわがしい、ですね……?
エフィミア・リリック
実は、迷宮産のカカオと宝石が全く採れなくなったのよ。ブームが終わった後もある程度は採れてたのだけど、最近はゼロね。
ミゼリア・L・ステュクス
カカオと……宝石……ですか……。
……解決するほうほう、はない……のでしょうか……?
エフィミア・リリック
あるわ。新しく見つかった枝場にね。つまり――『神頼み』よ!
ミゼリア・L・ステュクス
……神だのみ……? 神さまに、お願いする……のですか……??
チョコと宝石のシーズン『甘輝祭』が今年もやってきました!
(2月1日より 【甘壇】連動シナリオリリース予定!)
assignment【甘壇】迷宮神の甘輝祭 概要
「【甘壇】迷宮神の甘輝祭」連動は、新暦1223年の「甘輝祭」の時期に起きた一連の出来事の記録である。カカオと宝石の産出がストップしたエドゥノーグダンジョンでは、謎の祭壇を備えた新規の枝場が次々と発見される。今年も、ロスガリア大陸全土でチョコレートとアクセサリーを贈り合うシーズンが幕を開けた。
assignmentここまでの流れ
1221年から1222年にかけてロスガリア大陸全土で広まった「2月はチョコレート、3月はアクセサリーを贈り合おう!」という文化。今年は2月と3月の区別が曖昧になり、概ね2月から3月にかけてチョコや宝石などを大切な人と贈り合うイベント「甘輝祭」として定着しつつある。ところが、エドゥノーグ迷宮では「甘輝祭」シーズン開幕直前にカカオと宝石の産出が途絶えた。一方、新規で発見された複数の枝場には謎の祭壇と「迷宮神」なる何者かが現れ、カカオや宝石と引き替えに甘味を要求。何とか甘輝祭の需要を満たすべく奮闘するエドゥーノーグと、これを商機とみた世界各地の商人や職人達から、今年も沢山の依頼が冒険者ギルドへ寄せられている。
person_pin関連NPC
辺境都市群にある迷宮都市エドゥノーグで、ダンジョンの探索支援ギルド長をしている女性。
《本連動での動き》
エドゥノーグダンジョンで発生したカカオ&宝石ストップ現象、および「祭壇の枝場」騒動に対処するため奔走している。
辺境都市群にあるシャルガネ居住区の宿場街で女将頭をしている女性。
《本連動での動き》
今年もシャルガネ居住区にいらっしゃるお客様をおもてなしする予定が、迷宮産カカオ&宝石ストップ現象を受けて危機感をおぼえている。
本人曰く、遥か昔にエドゥノーグのダンジョンを創造したダンジョンの神様。神代にはエドゥノーグの迷宮を利用してクリーパーの軍勢と戦ったり、人々の鍛錬の場を提供したりしていた。神代の大きな戦いで傷を負い、今も迷宮の奥底で眠り続けながら迷宮への干渉を続けているらしい。
《本連動での動き》
カカオブーム以来、働き過ぎで少し疲れている。自分のところから出たもので楽しそうにしている人類を見て、たまには供物くらい貰いたい気持ちになった。「祭壇の枝場」の祭壇に看板を立てたり、「ヒト」などの姿を借りた意識体を立たせたりして、お供え物を人々に要求中。甘味を捧げるとカカオや宝石を授けてくれる。
menu_book関連用語・情報
甘輝祭
2月~3月に、チョコレートや宝石、アクセサリーなどのプレゼントを大切な人に贈る季節イベント。大陸全土で定着しつつあり、この季節はカカオと宝石の需要が特に高まる。
エドゥノーグダンジョン
辺境都市群「迷宮都市エドゥノーグ」にある巨大な地下迷宮。魔物がうろつき、時にはトラップも存在する迷宮内は、非授恵者にとって非常に危険な場所である。
1221年はカカオ、1222年は宝石と2月~3月に大量産出ブームを生み、その後も細々とそれらが採れる状態をキープしていたのだが、今年の「甘輝祭」を前に突然のストライキを起こす。全くカカオと宝石が採れなくなった一方で、「疲れた。甘味を捧げよ」等と書かれた謎の祭壇を備えた新規の枝場がいくつも発見され、その通りにお供え物をすると大量のカカオと宝石が授けられることが判明した。
※参考:迷宮都市エドゥノーグ(ワールドガイド)
エドゥノーグについて(ワールドガイド)
エドゥノーグダンジョンについて(ワールドガイド)
祭壇の枝場
エドゥノーグダンジョンのとある主幹路で発見された、謎の祭壇を備えた新規の枝場。1つではなく、主幹路上層から下層までにいくつか出現している。迷宮神エドゥーノーグの意識体がいる「迷宮神の祭壇」があちこちのフロアにあるらしい。中はフロアごとに様々な環境だが、甘輝祭らしくチョコなどのお菓子や宝石っぽいモンスターがウロウロしている。
迷宮神の祭壇
新規枝場「祭壇の枝場」のいろんなフロアにある謎の祭壇。デザインや大きさは様々。何かしら甘味をお供えすると、どこからともなくカカオの実や宝石がドバっと出てくる。甘味を捧げよという旨が書かれた看板が立っているだけの場合もあれば、誰かの姿を借りた「迷宮神エドゥノーグ」の意識体がワガママを言っている場合もあるようだ。
ここは迷宮都市エドゥノーグ。
神の創造物ともいわれる「変容し続ける迷宮」エドゥノーグダンジョンを中心に発展してきた都市である。
都市の経済とそこに住まう人々の生活を支える迷宮。
その迷宮のとある枝場に、それは居た。
「甘味くれないとヤダ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」
フロアの隅に置かれた祭壇らしきものの傍らで、断固おもちゃを欲しがる三歳児のように寝転がり、ジタバタと手足を振り回している人物 。
探索支援ギルド長のエフィミア・リリックは、その人物に見覚えがあった。
「あの~……」
「ヤダヤダヤダヤダ~~~~~~~~~!!! お供え物ほしい~~~~~~!!!」
会った事はないかもしれない。見たのは肖像画だったか、記憶は定かではないが。
「エフレムさん、ですよね……?」
●数日前
1月下旬、エドゥノーグの街は絶望のどん底にあった。
2月から3月といえば『甘輝祭』――大切な人とチョコレートや宝石などのプレゼントを贈り合う、愛と平和のイベントシーズンである。
エドゥノーグダンジョンで発生した一昨年のカカオブーム、去年の宝石ブームが切っ掛けとなって生まれ、ロスガリア大陸全土に広まった新しいイベントではあるが、今やその経済効果は計り知れない。
ブームが去った後でも迷宮産カカオと宝石はある程度採取できる状態であったことから、エドゥノーグの街はこの冬も甘輝祭にむけて準備を進めていた。
――しかし。
「ストライキ、ですか」
「ええ。ある日突然、ね」
エドゥノーグを訪れたシャルガネ居住区の宿場街の女将頭、キサキ・アカネは、探索支援ギルド長のエフィミア・リリックの話を聞いて、ふぅ、とひとつ溜息をついた。
「困りましたね。今はまだ、これまで産出されたカカオと宝石で凌げると思うのですが、産出が止まってしまっては。甘輝祭が終わるまで、需要を満たせるかどうか……」
「エドゥノーグの商人ギルドと職人組合には大打撃よ。噂を聞きつけた大陸中の商人やカカオ農家がエドゥノーグの失速を好機とみて甘輝祭商戦に力を入れているようだしね」
エフィミア曰く、甘輝祭を目前にしたこの時期に、何の前触れもなく迷宮産のカカオと宝石が採れなくなってしまったと言う。枝場から採取できる素材としても、モンスターのドロップ品としても、ある日突然、嫌がらせのようにカカオと宝石が姿を消したのだ。
エドゥノーグダンジョンは常に変容し続ける迷宮であるために、枝場の消失やモンスターの変化によって特定の素材が採れなくなることは珍しくない。しかし、まるで示し合わせたかのように全ての枝場からカカオと宝石だけが消えてしまうという事態は、ギルド長のエフィミアから見ても異常だった。
「何とか、迷宮産のカカオと宝石が採れる枝場を探し出したいのだけど――」
エフィミアが言いかけた、その時。
迷宮の様子を見に行っていた探索支援ギルドの職員が、慌てた様子で駆け込んでくる。
「ギルド長、大変です! 迷宮の上層から下層にかけて、見たこともない新規の枝場が多数出現しました! 中には、お菓子や貴金属をドロップするモンスターと、妙な祭壇が……!」
●そして今
「――つまり、あなたはエフレムさんじゃなくて、迷宮の神様だって言いたいのね?」
「左様」
先程まで床に転がってギャースカ騒いでいた白いリザードマンは、一通りの説明を終えて祭壇の上でふんぞり返っていた。
「それで、お供え物が欲しかったと」
「うむ。甘味は良いものだ」
エフィミアが手渡したこしあん大福 をモグモグと頬張りながら、エフレム(偽)は偉そうに頷く。
不審な祭壇を備えた枝場が多数発見されたと聞いて、調査のためそこに潜ることになったエフィミア。お菓子や貴金属、その他もろもろの素材をドロップするモンスター達を倒しながら進んだ先には、確かに祭壇のようなもの――と、お供え物をねだって大騒ぎするエフレム(偽)の姿があったのだ。
要求通りに甘味を渡して話を聞いてみると、彼は「自分は神代にこのエドゥノーグ迷宮を創造した迷宮神エドゥノーグである」と名乗った。
彼曰く、神代にはエドゥノーグの迷宮を利用してクリーパーの軍勢と戦ったり、人々の鍛錬の場を提供したりしていたらしいが、その頃の大きな戦いで傷を負ってしまった。そのため、神としての本体は今も迷宮の奥底で眠り続けており、今ここに居るのは「意識体」のようなものだという。
(本当かしら……)
エフィミアは僅かに眉を寄せて、目の前のエフレム(偽)を観察する。
この迷宮は神の一柱がとある男への試練のために作ったと言われているが、あくまで伝説であり真偽は不明だ。いきなり「我が創った」と言われても信じがたい。
眠り続けながらも迷宮の変容には干渉しているという彼(?)は、カカオブーム以来、人類から何となく感じる期待 に応えてドロップ品を調整したり、宝石ブームを生んでみたりしていたのだが、最近疲れを感じていると言う。
迷宮から出たものを美味しそうに食べたり、楽しそうに着飾ったりしている人類を見守っているうち、たまには供物くらいもらいたい気持ちになったらしい。
そこで2月を目前にしてカカオと宝石の産出を止め、人類にお供え物を要求するための「祭壇の枝場」を大量に生やしてみたそうだ。
「だけど、それは困るのよ。何とかカカオと宝石を出してくれないかしら?」
「うむ。困っておるなら供物を用意するが良いぞ。この大福は実に美味であった。そなたに宝を授けよう」
こしあん大福をペロリと平らげ、満足そうに杖を掲げるエフレム(偽) 。
すると、エフィミアの頭上の空間にとんでもない量のカカオの実と宝石が出現し、まるで滝のように降ってきたではないか。
痛い! と悲鳴を上げながら、カカオと宝石の山に埋まるエフィミア。
「さて、甘輝祭とやらの始まりだな。今年は我も楽しませてもらうとしよう」
何とか顔を出したエフィミアの前で、エフレム の姿が徐々に薄れ、やがて消えていく。
「……つまり、カカオと宝石が欲しければ『祭壇の枝場』に甘味を持ってこいってことね」
髪に引っ掛かった小さな宝石を払い落して、エフィミアは眼前の祭壇を睨んだ。
ロスガリア大陸各地の冒険者ギルドに、甘輝祭にまつわる依頼がいくつも貼り出される頃。
エドゥノーグの街もまた、カカオと宝石を求めて冒険者の募集を始めるのだった。
執筆:桃谷かな