【天馬】天に送られし人馬の賢母

パヴェル・A・サムルガチェフ
レミーラ……逝っちまったなぁ。最後は笑顔だった、てぇのは何よりだが。
アリッグ・レイダー
そうですね。後継者のランランさんは、天馬葬(ペガシオン)は盛り上がったので冒険者にはすごく感謝している、と言ってくれました。きっとレミーラさんも同じ気持ちだった、とも。
パヴェル・A・サムルガチェフ
そうかぁ。なら、天に昇ったレミーラが安心して見ていられるような世の中にしなくちゃな。
アリッグ・レイダー
聖地のエーテル石を狙う連中、帝国との関係、そしてイダ……。まだまだこの土地は油断なりませんからね。
帝国東部辺境の『聖地』にて、大族長レミーラが永遠の眠りにつきました――
assignment【天馬】天に送られし人馬の賢母 概要
「天に送られし人馬の賢母」連動は 、ケンタウロスのある部族に伝わる生前葬であり、運動会でもある祭り『天馬葬』の時期に起きた一連の出来事である。
assignmentここまでの流れ
シルトラース帝国と停戦協定を結んだ古老派ケンタウロスの代表者であった大族長レミーラが、高齢の為天寿を全うしようとしていた。ケンタウロス達は彼女を見送るべく『聖地』に集まり、『天馬葬』と呼ばれる生前葬運動会を大々的に行う。天馬葬には冒険者や、帝国の皇子レイウェストも招かれている。
assignment結果
多くのケンタウロスや冒険者が参加した天馬葬は、かつてない盛り上がりを見せた。
person_pin関連NPC
古老派ケンタウロスの大族長。ケンタウロスの代表としてバルディオン将軍と会談し、帝国と停戦協定を結んだ。通訳無しで人類と会話することはできない。
《本連動での動き》
偉大な指導者として、天馬葬にて天に送られる。生前葬なのでまだ亡くなってはいない。
(2023/3/4追記)
大族長レミーラは天馬葬の最中、部族のケンタウロス達に見守られ、安らかに天に昇った。遺体はケンタウロスの墓守の一族の手により、葬られた。
ケンタウロスの通訳特化の特殊個体。帝国との会談でも通訳を務めた。人類に友好的な個体で、なぜかいつもメイド服を着ている。
《本連動での動き》
天馬葬の喪主。冥界に旅立つレミーラに代わり、部族の代表を務める。部族のアイドルでもある。まだ年若い為、「大族長」と呼ばれるほど成長するかは未知数。
(2023/3/4追記)
レミーラの死後、ランランは部族の長を継いで正式に族長となった。また、冒険者の中には何名か彼女の『名誉花婿』となった者達も出た。
亡国となった帝国の皇族の、唯一と思われていた生き残り。皇位継承順位こそ八位と低いが、皇帝ヨゼフとその子女である第三皇女イダとの間に生まれた生粋の皇族と言われている。帝都から脱出して以降、各国の支援や冒険者達の助力を受けて帝国南部を奪還し、その後も帝国民の安住の地を確保しようと努めている。
《本連動での動き》
帝国代表として天馬葬に参加。一月ほどケンタウロスの聖地に留まり、気が向けば競技にも参加する。
「敵にも敬意を払われた大族長」としてレミーラに箔が付く為、レイウェストの参列は古老派ケンタウロス達からは歓迎されている。
(2023/3/4追記)
レイウェストも冒険者と共に『ビャスカル』という競技に参加し、楽しんだ。
menu_book関連用語・情報
天馬葬(ペガシオン)
レミーラの部族に伝わるケンタウロスの葬式の一種。天寿を全うしようとする偉大な指導者を送り出す為に行う生前葬。他の部族からも広く客を招いた上で、様々なスポーツや歌や踊りを行い、盛大に行う。険悪な部族同士のガス抜きの意味合いもある。
聖地
場所は帝国の東端。ドワーフ王国や辺境都市群に近い平原にある。
帝都崩壊前も帝国の土地か亜人(ケンタウロス)の土地か曖昧であった場所で、最低でも数百年に渡ってケンタウロスが支配し続けていた土地。人類は長い間、その場所が彼らにとっての聖地であることも、その地下に眠るエーテル石(神石)の存在も知らなかった。1222年初頭に聖地がメドゥの左腕の襲撃を受けたことによりケンタウロスの大移動が起き、聖地とそこに住まうケンタウロス達、そしてエーテル石の存在が明らかとなる。聖地奪還戦においては冒険者が主戦力となり、ケンタウロスと帝国の停戦協定の締結に大きく貢献した。
古老派
【人馬】連動において、メドゥに指先に奪われた聖地の奪還を最優先したケンタウロスの派閥。聖地奪還後は帝国との停戦協定の窓口にもなった。
良くも悪くも伝統的な価値観を持つケンタウロス達。
新生派
【人馬】連動において、これまでのケンタウロス居住地より豊かな人類の土地を積極的に支配しようとしたケンタウロスの派閥。
良くも悪くも思考が柔軟な若者が多いケンタウロス達。
※聖地が奪還されたことで、現在では両派閥の思想の違いは曖昧になってきている。
エーテル石
神代からケンタウロスが『聖地』と呼ぶ地の鉱脈に眠る不思議な光る石。自然にできた鉱石の一種。『神代の戦いで散った小さき神々の遺体が鉱石化したもの』とケンタウロスの間では伝えられている。
1221年に邪竜バイアーディスがドワーフ王国マミダ地域を侵略した争乱(【竜盤】連動)の中で初めて確認され、バイアーディスが都市の生命を纏めてエーテルに変換し収奪するための魔法陣の核としていた。「【竜盤】決戦:ドワーフ王国解放戦線」では、逆にバイアーディスを滅ぼすための魔法陣の核として使用された。
エーテル石はケンタウロスから譲り受けたり、聖地で起きた戦乱の最中に流出したりしたものが人類にも僅かに出回っており、元帝国魔導院の研究者を中心としてエーテル石を利用した対幽界樹用紋具の研究が行われている。
『ランラン……ランランはどこだい?』
『はい、ここにおります、レミーラ様』
レミーラがか細い声で名を呼ぶと、側に控えていたランランはすぐに返事をした。
『ああ、そこにいたのかい、ランラン』
レミーラは目を薄く開けたまま、ゆっくりと頷いた。ランランはレミーラの声の穏やかさに驚く。血を分けた祖母であるとはいえ、厳格な大族長であるレミーラがこんな優しい声で話しかけてきたことは、大きくなってからは初めてかもしれない。その雰囲気に、ランランも、周りにいたケンタウロス達も自然と悟る。
……大族長レミーラが、ついに天に昇る時が来たのだと。
『そっちに行ったぞ! 回り込め!』
『人間に遅れを取ってなるものか!』
遠くからケンタウロス達の喧噪が聞こえる。今、若いケンタウロス達はビャスカルという競技の真っ最中だ。相手は人間のボウケンシャ族。テイコク族の長、レイウェストも混ざっている。此度の天馬葬 はケンタウロスだけでなく、人類も招かれている。これは聖地のケンタウロスの歴史上では極めて異例なことだ。
(これがケンタウロスの変革の予兆なのかどうかは、アタシには分からない。だが、アタシはもうこの世を去る身だ。後のことは、若いもんに任せるよ)
『いいかい、ランラン、よくお聞き』
『はい、レミーラ様』
ランランはレミーラの一言一句を聞き漏らさぬよう、レミーラに顔を寄せた。
『次の族長はお前だ。どんな手段でもいい。他の部族とも協力して聖地は必ず守るんだ。ジド・ルウとの約束と、我らの誇りの為に……』
『承知、しました』
ランランは震える声で返事をした。
『それと、もう一つ』
『はい』
レミーラの声がさらに小さくなった。ランランは溢れ出す涙をこらえながら、レミーラに見えるよう、何度も頷く。
『困った時は、ちゃんと夫達に頼れ。アタシも、若い頃は、そうして……』
レミーラはそこまで口にすると、穏やかな微笑みを浮かべたまま、天寿を全うした。
●
レミーラの亡骸は人馬の墓守の一族に引き取られた。葬列が聖地のいずこかへと向かうのを見届けた後、レイウェストは帰路に就く。
「天馬葬……なかなかに興味深い儀式だったな。ケンタウロス達と手を取り合うにせよ、いずれまた矛を交えるにせよ、我々はケンタウロスについてもっと知る必要がある」
(願わくば、彼らとは良き隣人となれればいいのだが)
馬に乗ったレイウェストは一度振り返り、聖地を一瞥した後、南部鎮守都市 へと引き返していった。
執筆:おおくまねこ