【西局】王国西部局地戦線

ロレッタ・レーゼン
辺境伯、どうかなさいましたか? 顔色が優れないようですが。
ルーヴェン・アクファリテ
いや、実はな……どうも、こっちの情報が筒抜けになってるみてぇなんだ。
ロレッタ・レーゼン
スパイでしょうか? 或いは、裏切者……。
ルーヴェン・アクファリテ
さぁな、まだ断定は出来ねぇ。だが、このまま放っておくつもりはねぇぜ。
リーンエス王国西部のシラー砂漠最前線で、不穏な動きが見られるようです。
(7月3日より 【西局】連動シナリオリリース開始!)
assignment【西局】王国西部局地戦線 特設ページ
王国西部局地戦線連動は、リーンエス王国西部に広がるシラー砂漠を舞台とした戦乱の記録である。シラー砂漠最大級のバルバロイ組織『太信党』が突如、西方辺境伯との戦いに打って出てきた。しかしその背後には、太信党だけではない別の何かが潜んでいる。
その何かが、戦いの行方を大きく左右する。
assignmentここまでの流れ
バルバロイ組織『太信党』がシラー砂漠とリーンエス王国内地を隔てる西方領境に、大規模な攻勢を仕掛けてきた。
西方辺境伯ルーヴェン・アクファリテは麾下の戦力を動員すると同時に、冒険者ギルドに対しても支援を要請。同じく西方領境を守る王国貴族達と力を合わせ、太信党の侵攻を食い止めようとしている。
一方、太信党の背後には蛮族や魔獣以外にも、何者かの影が蠢いている。その何者かが、いよいよ表舞台に姿を現わそうとしていた。
(2022/7/2追記)
各砦や戦線で太信党との戦いを見据え、準備を進めてきたアクファリテ西方辺境伯。
ところがここ最近になって極秘の補給線が攻撃されたり、或いは一部の砦では公にされていない筈の弱点を衝かれたりするなど、明らかに情報が漏れていると思しき状況が続き、敵の攻勢が活発化してきている。
加えて、太信党には謎の吸血鬼が戦力に加わっていることも判明。
太信党と通じる王国内部の何者かを炙り出すため、冒険者を中心とした熾烈な情報戦が展開されようとしている。
person_pin関連NPC
リーンエス王国の現在の西方辺境伯。
腕っぷしの強さと優れた統率力でシラー砂漠のバルバロイ達と渡り合ってきた。
ネーミングセンスにやや難あり。
《本連動での動き》
バルバロイ組織『太信党』との決戦に備え、麾下の兵力『漠兵隊』と『護兵団』を動員し、各拠点や戦線に随時戦力を投入中。
孤高の吸血鬼ハンター。
両親の仇敵たる中位吸血鬼討伐の際に、西方辺境伯から助力して貰った。
その縁で、西方辺境伯には色々と協力することが多くなった。
《本連動での動き》
西方辺境伯を助けるべく、各拠点や戦線に出向いて太信党やクリーパーとの戦いに臨む。
身長2メートル超えのヒューマン女性。
王国の市井民とシラー砂漠のとある部族民との混血であり、その巨躯と鋼の様な筋肉で並み居る敵を薙ぎ倒すパワーファイター。
《本連動での動き》
アクファリテ西方辺境伯麾下の漠兵隊を率いて太信党との戦いに臨む。
優男風の印象を与える長身のヒューマン男性。
頭脳戦術論者で、軽やかな身のこなしでの高速戦闘を得意とする機動戦闘術の達人。
《本連動での動き》
アクファリテ西方辺境伯麾下の護兵団を率いて西方辺境伯領とその周辺の防備を担う。また諜報任務も担当。
シラー砂漠のバルバロイ組織『太信党』の首領。優れた戦術眼と指揮能力、圧倒的なカリスマを駆使して多くの部下を死地へと送り込む。
《本連動での動き》
太信党を率いて西方辺境伯の繰り出す兵や冒険者達との戦いに臨む。
『太信党』が支配する遺跡テクホテップ陵で復活した数百年前の吸血鬼であり、数名程度の冒険者では到底斃せない程の実力を誇る怪物。その正体は未だ、謎に包まれている。
《本連動での動き》
目的は不明ながら、ひとまずは太信党と協力して西方辺境伯や冒険者との戦いに臨もうとしている。
menu_book関連用語・情報
シラー砂漠
クリーパーや凶悪な原生生物のみならず、バルバロイと呼ばれる敵対民族の住処でもあり、彼らは王国に対して絶えず略奪の機会を伺っている。これらの外敵の存在は、王家・貴族の権威付けに寄与する一方で、国内における王家・貴族の関係性を複雑にしていることも事実だ。
王国本土の防衛や、砂漠で取れる資源や素材を生活の糧とするために砂漠に近い領域に住まう者たちは総じて日焼けしており、砂漠の民と自称することもしばしば見られる。
太信党
シラー砂漠最大級のバルバロイ組織。その総数は不明ながら、自組織のみならず、太信党に従う幾多の蛮族も合わせると、最大兵力は西方辺境伯と彼の寄り子貴族の軍勢にも劣らない。
シラーの神を信奉する彼らは、王国に恭順姿勢を見せる砂漠部族民をも敵対視している。
アクファリテ西方辺境伯家(7月2日追加)
リーンエス王国の四つの辺境伯家の一つで西方の守備を担う。過酷なシラー砂漠に住むバルバロイや亜人との不断の戦いに鍛えられ、精強な直属軍(漠兵隊・護兵団)と周辺領主の協力を受けて国境地帯を防衛し続けている。周辺の寄り子領主や王国に参入していない部族らも含めた協力者との結束は非常に固い。
漠兵隊
アクファリテ西方辺境伯麾下の外征部隊。シラー砂漠に於ける対バルバロイ戦闘専門の殴り込み集団。攻撃こそ最大の防御の精神で、兎にも角にも先手を打って敵対勢力を叩いてしまえの思想で戦いに臨む。
隊長はアザンティア・カーン。
護兵団
アクファリテ西方辺境伯麾下の防衛部隊。守りを専門とする鉄壁の防衛戦闘部隊で、攻め込むのは苦手ながら、守りに関しては一流の戦闘力を発揮する他、諜報任務にも当たる。
隊長はダルヴィン・ケルソー。
ラネンターカム陵(7月2日追加)
上から見ると星形に見える巨大なピラミッド。神代の頃に建造されたという伝説だけが伝わっており、誰が何の目的で建てたのかは一切不明。後に数百年前の有力な部族長ラネンターカムが自らの陵墓としたことから、この名がついた。
内部は複雑な迷路となっており、初見者が案内も無しに足を踏み入れれば、大抵迷子になる。数多くの罠と要塞の如き堅牢な構造に目を付けた太信党が本拠地として使用しており、一部は首領ウザリ・クル・タハーラの個人宅に割り当てられている。
テクホテップ陵(7月2日追加)
三角錐型のピラミッド。神代の頃に建造されたという伝説だけが伝わっており、誰が何の目的で建てたのかは一切不明。ラネンターカムに仕えた数百年前の神官テクホテップの陵墓であると伝えられてきたが、実際は吸血鬼と化したテクホテップが永きに亘って封印されていた。
現在は太信党がラネンターカム陵に次ぐ第二拠点として使用している他、一部はテクホテップの個人宅に割り当てられている。こちらも数多くの罠と堅牢な構造で、侵入者を苦しめる。
陸戦階級称号「青燕兵曹」
【西局】連動でリリースされたシナリオのうち、「難易度:普通以上」かつ以下のジャンルのシナリオにおいて結果が「成功以上」となった場合、特に功績が認められたPCに対して「青燕兵曹」という西方辺境軍閥特有の称号が付与されることがある。
【対象シナリオジャンル】
・戦闘:剣のアイコン
・冒険:靴のアイコン
・調査:紙と虫眼鏡のアイコン
「青燕兵曹」の称号を持つPCは、付与された次のフェーズ以降にリリースされる【西局】連動の一部シナリオで、小隊規模(20名前後)のNPC部隊(主に西方辺境伯麾下の漠兵隊、もしくは護兵団の分隊)に対し、部隊規模での行動を依頼することが出来る。但し依頼内容によっては断られる可能性もある。
「青燕兵曹」の称号をもつPCがNPC部隊に行動を依頼することができるシナリオには「解説」の冒頭に必ず以下の定型文が記載され、記載のないシナリオでは称号に効力はない。実際に依頼できる部隊の詳細や依頼できる行動の制限などは、シナリオ毎に個別に設定される場合がある。
【定型文】
このシナリオでは、「青燕兵曹」の称号を持つPCがNPC部隊(約20名)に対し、部隊規模での行動を依頼することが出来ます。但し依頼内容によっては部隊の了承を得られない場合もあります。
斜陽が眩しい西方辺境伯邸の中庭で、リーンエス王国西方辺境伯ルーヴェン・アクファリテは麾下の漠兵隊を率いるアザンティア・カーンから、妙な報告を聞いた。
「テクホテップだぁ? そいつは確かに、そう名乗ったのか?」
「冒険者達の報告に間違いは無い様です」
シラー砂漠最大級のバルバロイ組織『太信党』は、幾つかの古代遺跡を拠点として支配している。そのうちのひとつがテクホテップ陵と呼ばれる三角錐の巨大ピラミッドだ。
テクホテップというのは古代に存在した神官の名であり、伝説では吸血鬼と化して、自身の名を冠するテクホテップ陵で永い眠りに就いていた筈である。
それが目覚めた、ということらしい。
「報告書によれば相当に強力な戦闘技術と強靭な耐久力、そして恐るべき身体能力を発揮していた模様……そんな奴が太信党に加わったとなれば、更に厄介ですね」
護兵団の長ダルヴィン・ケルソーも、アザンティアと並んで渋い表情を浮かべる。
加えて、太信党の攻撃部隊が王国側の虚を衝く戦術を繰り返している、とも告げた。
「極秘の補給線が相当数、攻撃を受けています。また、幾つかの砦では公表されていない弱点箇所を集中的に狙われ、陥落の危機に瀕しているとも……こちらの情報が敵に漏れているのでしょうか?」
ダルヴィンの報告に、ルーヴェンは厳しい表情で頷き返した。
先だっての情報収集作戦では太信党の防衛線を事細かに分析することが出来たダルヴィンも、今回は後手に回らざるを得ない状況に、少しばかり悔しそうな色を滲ませている。
「しかし、太信党にそれ程の情報力があるとは思えません……もしかすると、王国側にスパイか、或いは裏切者が潜んでいる可能性はありませんか?」
アザンティアの指摘を受けて、ルーヴェンは太い腕を組んだまましばし、黙り込んだ。否定しないということは、彼も同じことを考えていたに違いない。
だが仮にそうであったとして、どの様に対処すべきか――そこが一番の問題だった。
「俺が思うに、後ろから矢を撃つ様な真似をしてやがるのは恐らく、貴族か富商辺りだろうな」
これ程に的確且つ大規模な情報漏洩が可能なのは、そこそこ以上の組織力を持つ存在でなければならぬ。であれば、得られる答えは自ずと狭まってくる。
即ち、貴族か大規模な富商以外にあり得ない、と。
太信党に味方することで何らかの恩恵を享受することが出来るならば、陰でこそこそと裏切り行為をやっていたとしても、何ら不思議ではないだろう。
「リーンエス王国の貴族っつっても、ピンキリだからな。表向きは王国に恭順していても、裏でメドゥの指先やら帝国過激派なんかとつるんでる奴らも相当数、居るだろうぜ。そう考えりゃあ、太信党と手ぇ握ってる奴が居てもおかしかぁねぇか」
「ですが、どうやって炙り出すか、ですね。我々が直接動けば、内地の貴族との間に無用な不協和音を生じさせるリスクがあります」
政治感覚に長けたダルヴィンのこの分析は、的を射ている。下手に西方辺境伯麾下の部隊が動けば、一部の貴族達の反発を招きかねない。そうなっては、太信党との戦いに微妙な陰を落とすことになるだろう。
それだけは、絶対に避けたかった。
「んじゃあ、今回も冒険者の世話になるっきゃねぇか……カーン、済まねぇがまた、ギルドにひとっ走り行ってきてくれるか」
ルーヴェンの命を受けて、アザンティアは一も二も無く西方辺境伯邸を飛び出していった。
●怪物達の邂逅
太信党本拠地ラネンターカム陵内の、とある石室。
そこに太信党の首領ウザリ・クル・タハーラの姿があった。
同室内では更に幾つかの影が、石床に敷かれた絨毯の上に腰を据えている。そのうちのひとりが、剃髪の魔人テクホテップである。
数百年の眠りから目覚めた吸血鬼は、本来ならば人間全てを襲って血を吸い尽くすであろうが、どういう訳かウザリや彼の配下達については手控えている様子だった。
「我が偉大なる父を手にかけた糞野郎は、もう死んじまってるってぇ訳か」
「如何にも……しかしながら、その直系は今でも健在にございます」
テクホテップの問いかけに応じながら、ウザリは一枚の紙片を差し出した。
「ラネンターカム御大の御無念は、アクファリテ西方辺境伯を討つことによって雪がれましょう。その西方辺境伯を追い詰める為に、我ら太信党も尽力を惜しみませぬ。そこに書かれてある数々の情報は、奴を叩きのめす為の手管のひとつと思し召しあれ」
ウザリから受け取った紙片には、西方辺境伯側の戦術情報が事細かに記されている。その提供元は王国内地で密かに協力体制を取ってくれている、とある貴族なのだという。
そしてその貴族は、テクホテップとも決して無縁ではないということが分かっていた。
「成程……我が秀逸なる弟が手を貸してくれているってぇ訳か」
「そしてその御兄君……即ち、テクホテップ師の弟君に当たる御方も、我らにお力添え頂いております」
不敵に笑うウザリに、テクホテップも満足げな笑みを返した。その病的に白い肌と、唇の端から伸びる鋭い犬歯が篝火の中で不気味に映えた。
更にウザリは言葉を繋げる。今後数週間以内に王国内地から派遣されてくる増兵部隊はシラー砂漠到達前に悉く打ち破り、西方辺境伯を事実上、孤立させる方針だ、と。
精強で知られる漠兵隊や護兵団も、王国内地からの助力無しでは太信党、及びその協力勢力を全て相手取るのは大きな困難を伴う。そこに加えてテクホテップを始めとする吸血鬼達の圧倒的な力が加われば、最早怖いものなしだ。
「ふん、面白いじゃねぇか……偉大なる父の仇は俺達兄弟で討つ。てめぇはこのシラー砂漠を手中に収める。お互い万々歳ってなところか」
「御意」
ウザリは恭しく、頭を下げた。しかしその表情にはどこか、不敵な色が見え隠れしている。
太信党と吸血鬼――決して一枚岩ではないものの、強大な力を持つ者同士が手を組めば、王国軍など何するものぞという気迫と自信が、自ずと溢れ出てくるのかも知れない。
実際ウザリもテクホテップも西方辺境伯を相手に廻して、負ける要素は微塵にも感じていなかった。
とはいえ、不安材料が無い訳でもない。
「しかし、ここまでの趨勢は決して芳しいとはいえません。ザルムザーリ卿が放った傭兵団シラードヴォルフェンは西方辺境伯に雇われた冒険者相手に、一敗地にまみれた模様。また、ディーグ族に狙いをつけた死霊術師も結果は出せなかった様で」
その他、補給線や王国側の砦への攻撃も、然程の戦果を得られていない。
ここから状況を逆転させてゆく為にも、今回の西方辺境伯孤立作戦は絶対に成功させなければならぬと、ウザリは表情を引き締めた。
心配は要らねぇ、と口角を吊り上げるテクホテップ。
まだ勝負は、始まったばかりだ。
執筆:革酎