【樹謂】見えない真実、護り手の声

レイウェスト・バルダス
父の配下――宮廷女官長ザフィーア・ハイセンが大森林に侵攻していると聞き、まいりました。
我が国の『帝国過激派』と呼ばれる者達の残党に違いありません。父と彼らが何を求めてこのような蛮行に及んだのか不明ですが……皇族として、必ず止めてみせます。
グレイオンス
ヨゼフ帝と帝国過激派か。先日のシグモルでの一件は私の耳にも届いている。
君は責任を感じているかもしれないが、父君を止めるとしても策がなければ意味がない。
彼らは聖鳥の里を薙ぎ払い、世界樹に向かっているように思えるが……一つずつの事案を止めていかなければ、道は開けぬよ。
レイウェスト・バルダス
世界樹に向かっている……? グレイオンス老、そもそも世界樹とは何なのですか。
グレイオンス
その質問に答えるには、源流氏族の長を呼ばねばならない。……世界樹と【ハイアルヴ】について明かさないとならぬ時がきたようだ。
大異変と襲撃が止まぬフィルエス大森林で、新たな動きがあるようです――
(6月14日より 【樹謂】連動シナリオリリース開始!)
assignment【樹謂】見えない真実、護り手の声 特設ページ
「見えない真実、護り手の声」連動は、フィルエス大森林で起こった大異変に関する一連の出来事を指す。大森林の各地で人や動物が忽然と消え、場所によっては里単位で住民が姿を消している。また、大森林内ではエルフ社会や森の破壊を望む者たちの活動が活発化。時を同じくして、大森林東部の帝国国境方面から正体不明のアンデッド集団も雪崩れ込む。大森林に住まうエルフの最古老の一人グレイオンスは混乱する各氏族の要請を受け、冒険者ギルドに依頼を持ち込んだ。
assignmentここまでの流れ
『青の示指』フェンヌ・ダーニが育成した魔獣によりダメージを受けたフィルエス大森林南東部では(【呪輪】連動)、森の再生をリザードマンや冒険者の助けを借りて行っていた。そのような中、大森林各地でエルフや動物などの消失が多発するようになった。また、シルトラース帝国側からはアンデッドを主体とした謎の勢力が侵攻を開始し、大森林内でもエルフ社会に敵対する何者かが攻撃を始める。
(2022/6/13追記)
各地にできたダンジョンの破壊やとらわれていた者の救出は進む。また、アンデッドを主体とした勢力は帝国皇帝ヨゼフ・バルダス配下の帝国過激派であると判明した。聖鳥(メイルアイレ)氏族の族長は、防衛の策を万全に巡らせながらも初戦で戦死。エルフ社会に対して攻撃する者たち――破壊者たちも「啓示」を聞いているという情報があり、聖鳥族長の不測の死にも関係しているようだ。そのような中、ダンジョンにとらわれていた者たちから「啓示を聞いてはならない」という声を聞いたとの情報がもたらされる。源流氏族の長たちは長く秘匿されてきた世界樹とハイアルヴの真実を明かし、異常事態に対処しようとする。
person_pin関連NPC
フィルエス大森林のエルフの最古老の一人であり、まとめ役。氏族間のもめごとなどが起きた際に調停にあたったり、他国や他種族に対してはフィルエス大森林を代表した立場で外交を行うこともある。
《本連動での動き》
冒険者ギルドとの窓口であり、森のエルフのまとめ役。大森林の異変とアンデッド勢力の侵攻、大森林内で多発する何者かの襲撃に対処するため、冒険者ギルドとアシムベート・グリオウに救援を要請した。
ディズル大湿地帯の最大派閥であるギシュム族の酋長。武威ばった人物ではあるが、人柄は良く義理堅い。
《本連動での動き》
大森林の異変にリザードマンたちも巻き込まれたことから、ディズルのリザードマン戦士たちを率いて救援に駆けつけた。
亡国となった帝国の皇族の、唯一と思われていた生き残り。皇位継承順位こそ八位と低いが、皇帝ヨゼフとその子女である第三皇女イダとの間に生まれた生粋の皇族と言われている。帝都から脱出して以降、各国の支援や冒険者達の助力を受けて帝国南部を奪還し、その後も帝国民の安住の地を確保しようと努めている。
《本連動での動き》
フィルエス大森林に侵攻中のアンデッドの大群が父帝ヨゼフと帝国過激派の軍勢であるという情報から、調査・解決のため関わることになった。
元メドゥの指先幹部「緑の親指」で、現ブラックデス構成員。短距離ながら影を渡る瞬間移動など特異な能力を持つ授恵者。
《本連動での動き》
ドン・ゴーフルにフィルエス大森林へ救援に向かうことを強く申し出、許可された。
ドン・ゴーフルが擁するマフィア「ブラックデス」の幹部にして実働部隊。あくまでも現場思考のため、戦略的な思考は不得手。攻撃魔法としての「消えない炎」を操る授恵者。
《本連動での動き》
フィルエス大森林への救援に行きたいと言うアダムに違和感を覚え、手下のブラックデス構成員とともに同行した。
30代後半のヒューマンの女。崩壊したシルトラース帝国の元宮廷女官長で、帝国過激派の重鎮の一人。高位の死霊術師でもあるらしい。
《本連動での動き》
配下の死霊術師らとともにアンデッドの大群を従え、フィルエス大森林へ侵攻。『聖鳥(メイルアイレ)』やその他氏族の里々に攻撃を仕掛けている。
シルトラース帝国の現皇帝。帝国崩壊に際し死亡したとみられていたが、1222年冬にシグモル火山帯にて生存が確認された。火生の神ボルガニスクの力を奪い、大陸全土を支配すべく更なる力を追い求めている。
《本連動での動き》
ザフィーア・ハイセンら配下の帝国過激派メンバーに命じ、フィルエス大森林を攻撃していると思われる。目標は世界樹とみられているが、現状は戦場に姿を見せていない。
menu_book関連用語・情報
フィルエス大森林
大陸西部に広がる大森林で、エルフが住まう地。ここに住まうエルフたちの暮らしは、大森林に現れるクリーパーなどの『外敵』を鑑みても長く安定している。彼らにとってそれは、外部の種族や国家との交流を不要と判断するには十分な根拠となっていた。
気候は穏やかで、年中暖かく寒さに凍えることもない。常春の森というにふさわしい環境である。ほとんどの氏族で農耕や牧畜は行っておらず、自然の恵みの中で暮らしている。
フィルエス大森林のエルフ達
エルフとは、大陸各地の森の中で暮らし、その森における調和を保ちながら暮らす種族である。
伝統や生活、価値観は異なっても自然を愛し、保守的。
他種族にはない長命性や美貌を誇るものの彼らに選民思想はなく、彼ら自身は"森"という複雑な生命体系に属する一因子、という姿勢が根本にあり、基本的には謙虚な種族である。
環境を破壊し収奪する各国家・都市やドワーフという種への軽蔑は長い歴史の中で綿々と形成され、特にフィルエス大森林においては一部の氏族を除いて他種族との交流が乏しい。歴史的に友好関係を築いてきたリザードマンくらいしか交流がないエルフも、大森林では多数を占める。
氏族について
フィルエス大森林のエルフ達は入植当時から存在する「5氏族」を源流とし、現在では多くの氏族に分かれている。彼らの社会では、各氏族の長が合議によって意見を出し合い、ときに長老が助言を述べる。速断には向かないものの、もとより外部からの干渉を拒む同地域にとっては大きな支障を来たすことはなかったようだ。
源流の5氏族は『メイルアイレ(聖鳥)』『ロスラバ(樹花)』『ルイン(灰火)』『リシルド(夜天)』『アエリゼル(湖水)』である。
ハイアルヴ
「森の意思の代弁者」として各氏族の多くが信仰する霊的存在であり、エルフたちに啓示を与えている。その姿や存在の描かれ方、受け入れられ方は氏族ごとに異なるが、【ハイアルヴ】と交感することができた者は『覡』・『巫女』として、氏族の方針決定のキーパーソンとして扱われている。
(2022/6/13追記)
「ハイアルヴは本来、世界樹と同一の存在である」という源流氏族の長らによって代々秘匿されてきた真実が明かされた。なお、ダンジョンの中にとらわれていた者たちは「啓示を聞いてはならぬ、災厄が来る、我に力を与えよ」という世界樹の声を聞いたという。
帝国過激派(2022/6/13追記)
シルトラース帝国が崩壊する以前から存在していた派閥。当時は「実力派」と呼ばれていた。帝国こそがロスガリアの統治者として相応しく、王国も都市同盟も、その他の小国も全てを滅ぼすか吸収し永久に支配すべし、その為には手段など選んではおれぬ、という思想。帝国崩壊後はヨゼフを匿い、様々な事件の裏で暗躍するメドゥの指先とも蜜月の関係にある。
シグモル火山帯の辺獄では、宮廷道化師アルルカンの一派が人造授恵者ホムンクルスの製造などを行っていた。
破壊者(2022/6/13追記)
ハイアルヴの啓示を受け、それを利用してフィルエス大森林やそこに住むエルフ達に危害を加える者達。大森林のエルフ社会に対して敵意を持つ者が多く、その理由はさまざまである。
エーテル石(2022/6/13追記)
神代からケンタウロスが『聖地』と呼ぶ鉱脈に眠る不思議な光る石。自然にできた鉱石の一種。『神代の戦いで散った小さき神々の遺体が鉱石化したもの』とケンタウロスの間では伝えられている。
1221年に邪竜バイアーディスがドワーフ王国マミダ地域を侵略した争乱(【竜盤】連動)の中で初めて確認され、バイアーディスが都市の生命を纏めてエーテルに変換し収奪するための魔法陣の核としていた。「【竜盤】決戦:ドワーフ王国解放戦線」では、逆にバイアーディスを滅ぼすための魔法陣の核として使用された。
メドゥの指先による悪用が強く懸念されている。
聖鳥 の氏族の里や集落がいくつも消されていく。
そこで殺されたものは、新たなアンデッドとなる。
冒険者の助けにより逃げられたものは、悲惨な状況を告げる。
倒せるはずがないと思えるほどの敵の数。
辛うじて死者の大群を食い止めた里がある一方で、蹂躙を許すほかない里もある。
逃げ場を失い、戦う以外ない状態。それしか、生き残るすべはない――先が見えないとしても。
そのような中、聖鳥の長がハイアルヴの声を聞く者の助言を得た敵死霊術師の攻撃を受け、殺されたことも伝わる。
シルトラース帝国の『帝国過激派』と呼ばれる者たち。
森の中という状況も気にせず、帝国宮廷女官長ザフィーア・ハイセンはボディラインが浮かぶ華やかな服装 とそれに見合った靴で歩み続ける。気迫や自信ありげな気配が、足元の泥もすべて跳ねのけるがごとく。
森の中に視線を巡らせれば、忠実な配下たる無数のアンデッドたちが蠢いている。
「あの者 たちの失敗があったとしても、十分な成果は上がっているのですわ。それは、わたくしの立てた作戦がいかに優れているか、ということの証左で御座いますわ」
美貌に浮かぶのは不敵な笑み。
視線の先には、世界樹があった。
●集まる者
レイウェスト・バルダスは父である皇帝ヨゼフ・バルダスの配下たる帝国過激派が、アンデッドの大群を率いてフィルエス大森林に侵攻しているという情報を得た。
シグモル火山帯の辺獄にて父帝が女神ボルガニスクの力を奪い、アルルカンら帝国過激派が非道を働いたことは記憶に新しい。
「父上は一体なにを考えているのだ。帝国の民が飢えぬよう、安寧に生きられるよう、我々がしてきたことを無に帰すつもりか……!」
各国の支援を得て帝国復興を進めている現在、その根底を覆すような状況は看過できない。
「父上の非道を阻止しなければ。これは、皇族たる私の務めだ」
信頼を置く将軍らに帝国国内を任せ、レイウェストは大森林に急いだ。
一方、ゴールディでは、元メドゥの指先幹部であるアダムが、ドン・ゴーフルに対して「大森林へ救援に行きたい」と主張していた。
多くを語らないアダムの真意は、ドン・ゴーフルにも掴みきれない。だが、シグモルに続いて大森林にも恩を売っておくという観点では、悪くない提案だった。
恩を売るということは将来、ゴールディとゴブリンの利益につながるかもしれない。
レイウェストも大森林へ向かったという情報があるため、王国や同盟に抜け駆けと謗られることもないだろう。
「許可されるのであれば、私が付き添います」
アダムの言動に違和感がぬぐえないサチコが進み出た。どちらにせよ、ブラックデスのゴブリンたちを加勢させるのであれば、司令塔となる幹部が同行する必要がある。
そうして、ブラックデスも大森林入りをするのだった。
●聞こえた声
世界樹が震えた。
声はしないが、見える姿は慟哭であり、激昂のようである。
幹が脈打ち、葉を揺らす。
目に見えてわかる異変に対し、大森林に住むすべてのエルフは動揺する。
ダンジョンから助け出された人々は言う。
「世界樹が泣いていた」
とらわれている間に聞いた声は世界樹だと。何故かそう感じたのだと。
そして、その声は何度も繰り返し告げていた。
「啓示を聞いてはならぬ、災厄が来る、我に力を与えよ」
啓示とは、【ハイアルヴ】が巫女や覡を通し伝える言葉。
それを世界樹とされる声が聞くなと否定する。
【ハイアルヴ】の存在を信じるエルフだけでなく、事情を知る冒険者たちも困惑する。
世界樹が啓示を聞いてはならぬと言う、そして聖鳥の長の死をも招いた【ハイアルヴ】とは、一体何であるのか?
ハイアルヴに対する不審が募る。
●語る言葉
グレイオンスの元に、大森林の異変に関する各種報告が来た。
その中で聖鳥 の族長の最期を知り、目が見開かれる。
「殺された……と」
この件に嘆き悲しむ時間は一瞬ともない状況。
帝国過激派が率いるアンデッドの襲撃を受けた聖鳥の里々や集落は壊滅に近く、撃退に成功した里はあっても全体的に見れば侵攻を食い止め切れていない。
アンデッドの大群が向かう先にあるのは、聖鳥と同じく源流五氏族に数えられる樹花 と夜天 が住まう土地。
そして、その先にあるのは――世界樹だ。
さらに、まるで怒りを表すかのようにざわめく世界樹の異変。人々がダンジョンで聞いたという声。
「啓示を聞いてはならぬ、と世界樹が……?」
点と点を繋ぎ合わせるようにして、かつて灰火 の族長であったグレイオンスは一筋の線を見出した。
グレイオンスは灰火 の族長を通じ、樹花 、夜天 そして湖水 の三氏族の長を里に集めた。
一刻ほど過ぎ、招集された多数の氏族の代表らと、アシムベート・グリオウ、大森林に着いたばかりのレイウェスト、ブラックデスのサチコとアダムの前に姿を現した彼らは、それぞれに文字の刻まれた古い石板のようなものを手にしていた。
「世界樹に、かつてない異変が起きている」
グレイオンスが口を開く。
「大森林各地でダンジョンに消える人々、そして森を害し我らエルフの営みを脅かす『破壊者』たる者にまで啓示を与えるハイアルヴ。啓示を聞くなと嘆く世界樹の声……これは、我らが知る真実に反する」
そして、源流五氏族の存命四族長により、その言葉は紡がれた。
世界樹とは、単なる大木ではない。
征竜に並ぶ強大な存在として神代に創られた、大地の守護者である。
その巨体の下には、ジド・ルウと小さき神々の献身を経ても残ったアストラル界との境界の穴が存在するという。
「世界樹が征竜に並ぶ存在……? 大森林の歴史からは、それほどの印象はありませんが」
「世界樹は、その身をもってクリーパーの侵攻を防ぎ続けることに多くの力を割いている。……大腐樹による寄生は、神代の戦いに疲弊した世界樹が隙を突かれてのことだったのだろう」
サチコの疑問に答えるように、グレイオンスが続ける。
かつて、大型級クリーパー『混沌の残滓たる大腐樹』とその眷属により、世界樹ごと一帯が侵された。やがてエルフたちが大森林に入植し、大腐樹に対して攻撃を始めると、世界樹はその小さき者たち に「夢」や「声」など様々な形でお告げを与えて助けたのだ。
「すなわち――ハイアルヴとは本来、世界樹と同一の存在だ」
世界樹とハイアルヴの正体。それは、源流五氏族の長にのみ語り継がれてきたフィルエス大森林の真実だった。
「ハイアルヴの啓示を聞くな等と、世界樹が我々に告げるはずがない」
今この瞬間にも何処かで誰かが得ているかもしれない啓示は、果たして本当に森の――世界樹の意思なのか。森で頻発するダンジョンの発生は、大地の守護者である世界樹の力が弱まっているのが原因ではないか。
源流氏族の長たちは、事態を深刻に捉えていた。世界樹を護るために秘匿されてきた真実を、同胞らに伝える決意をするほどに。
「仮に世界樹が力を失っておるとして、何か手立てはあるのか」
「わからん。大腐樹討伐の頃の伝承はあるが、な……。私は世界樹の元へ向かい、直接その意思を問うつもりだ」
問うアシムベートに、グレイオンスは眉間の皺を深くする。
大腐樹討伐当時の詳細は残されていない。だが唯一、世界樹の力の源となる『核』に光輝く聖なる石をくべることで大腐樹の討伐が成った、と伝えられている。
「光輝く聖なる石……か。グレイオンス老、その石について、もう少し話を聞かせてほしい」
ふと何かを感じて声をあげたのは、父帝を止めに来たはずのレイウェストだった。
執筆:狐野径