【樹謂】見えない真実、護り手の声

アシムベート・グリオウ
一体、フィルエス大森林に何が起きておるのだ。『青の示指』が枯らした森の再生に協力していた同胞が消えただと?
グレイオンス
ギシュム族の酋長・グリオウ……協力感謝する。消えたリザードマン達の情報については、こちらも、忽然と消えたとしかわかっていない。それも一人、二人ではなく、まとまった数で消えている。……エルフの行方不明者はさらに多い。集落の住民が一度に全て姿を消した事例もある。
アシムベート・グリオウ
何でも良い、行方不明者の手掛かりは無いか? 過去に似た事例があれば、それも聞いておこう。
グレイオンス
原因は不明だが……二年ほど前に、とある氏族の里で住民全員が消えたと聞いている。行方不明者が急増したのは、この春からだ。大森林の各地にダンジョンが発生しているという情報もある。
アシムベート・グリオウ
ダンジョンの発生と、忽然と消える人々か。何らかの関係があろうな。……東からは正体不明のアンデッドどもが現れたとも聞く。油断するな。
フィルエス大森林で、大きな異変が起きているようです――
(5月17日より 【樹謂】連動シナリオリリース開始!)
assignment【樹謂】見えない真実、護り手の声 特設ページ
「見えない真実、護り手の声」連動は、フィルエス大森林で起こった大異変に関する一連の出来事を指す。大森林の各地で人や動物が忽然と消え、場所によっては里単位で住民が姿を消している。また、大森林内ではエルフ社会や森の破壊を望む者たちの活動が活発化。時を同じくして、大森林東部の帝国国境方面から正体不明のアンデッド集団も雪崩れ込む。大森林に住まうエルフの最古老の一人グレイオンスは混乱する各氏族の要請を受け、冒険者ギルドに依頼を持ち込んだ。
assignmentここまでの流れ
『青の示指』フェンヌ・ダーニが育成した魔獣によりダメージを受けたフィルエス大森林南東部では(【呪輪】連動)、森の再生をリザードマンや冒険者の助けを借りて行っていた。そのような中、大森林各地でエルフや動物などの消失が多発するようになった。また、シルトラース帝国側からはアンデッドを主体とした謎の勢力が侵攻を開始し、大森林内でもエルフ社会に敵対する何者かが攻撃を始める。
person_pin関連NPC
フィルエス大森林のエルフの最古老の一人であり、まとめ役。氏族間のもめごとなどが起きた際に調停にあたったり、他国や他種族に対してはフィルエス大森林を代表した立場で外交を行うこともある。
《本連動での動き》
冒険者ギルドとの窓口であり、森のエルフのまとめ役。大森林の異変とアンデッド勢力の侵攻、大森林内で多発する何者かの襲撃に対処するため、冒険者ギルドとアシムベート・グリオウに救援を要請した。
ディズル大湿地帯の最大派閥であるギシュム族の酋長。武威ばった人物ではあるが、人柄は良く義理堅い。
《本連動での動き》
大森林の異変にリザードマンたちも巻き込まれたことから、ディズルのリザードマン戦士たちを率いて救援に駆けつけた。
menu_book関連用語・情報
フィルエス大森林
大陸西部に広がる大森林で、エルフが住まう地。ここに住まうエルフたちの暮らしは、大森林に現れるクリーパーなどの『外敵』を鑑みても長く安定している。彼らにとってそれは、外部の種族や国家との交流を不要と判断するには十分な根拠となっていた。
気候は穏やかで、年中暖かく寒さに凍えることもない。常春の森というにふさわしい環境である。ほとんどの氏族で農耕や牧畜は行っておらず、自然の恵みの中で暮らしている。
フィルエス大森林のエルフ達
エルフとは、大陸各地の森の中で暮らし、その森における調和を保ちながら暮らす種族である。
伝統や生活、価値観は異なっても自然を愛し、保守的。
他種族にはない長命性や美貌を誇るものの彼らに選民思想はなく、彼ら自身は"森"という複雑な生命体系に属する一因子、という姿勢が根本にあり、基本的には謙虚な種族である。
環境を破壊し収奪する各国家・都市やドワーフという種への軽蔑は長い歴史の中で綿々と形成され、特にフィルエス大森林においては一部の氏族を除いて他種族との交流が乏しい。歴史的に友好関係を築いてきたリザードマンくらいしか交流がないエルフも、大森林では多数を占める。
氏族について
フィルエス大森林のエルフ達は入植当時から存在する「5氏族」を源流とし、現在では多くの氏族に分かれている。彼らの社会では、各氏族の長が合議によって意見を出し合い、ときに長老が助言を述べる。速断には向かないものの、もとより外部からの干渉を拒む同地域にとっては大きな支障を来たすことはなかったようだ。
源流の5氏族は『メイルアイレ(聖鳥)』『ロスラバ(樹花)』『ルイン(灰火)』『リシルド(夜天)』『アエリゼル(湖水)』である。
ハイアルヴ
「森の意思の代弁者」として各氏族の多くが信仰する霊的存在であり、エルフたちに啓示を与えている。その姿や存在の描かれ方、受け入れられ方は氏族ごとに異なるが、【ハイアルヴ】と交感することができた者は『覡』・『巫女』として、氏族の方針決定のキーパーソンとして扱われている。
フィルエス大森林。
ロスガリア大陸西部に位置する広大な森であり、そこには自然がもたらす恵みがある。
エルフはそれを得て、それに感謝し、自分たちの歩みを進めていた。
その営みが崩れるのは、外部からか、それとも内部からか。
何の、誰の手によるものだろうか?
その里はある日、闇に飲み込まれた。
悲鳴すら響かず、生きているものが忽然と消えた。
また、別の里では一人の少女が異変に遭遇した。
里の外へ出かけていた少女が戻ると、里人は一人残らず消えていた。
人々が移動したような痕跡はあるけれども、理由はわからない。
何かに襲われたのかどうかすら、わからなかった。
消えたのは人だけではないと、とある狩人は話す。
ある日、里の近くの狩場に出向いた狩人は気づいた。
動くものが何もない、と。
木々が揺れる以外、音がない。
獣を食い荒らす魔物でも現れたのか?
危険を感じた狩人は調査すらできず、一旦救援を求めに帰った。
昨夏、『青の示指』フェンヌ・ダーニと彼女が育成した魔獣による植物枯死の中心地となった、大森林南東部のムーセルという里。
植物が枯れるだけでなく、土も腐り新たな植物は育たない。
それでも、ディズル大湿地帯のリザードマンや冒険者に協力を仰ぎ、少しずつ、再生への光が見えてきていた。
しかし、そこにいたはずのリザードマンたちも忽然と消えた。
大森林の各地で、人や動物たちが次々と姿を消していく。
これらの真相を見ていたものがいるとするならば、そこにある木だけだった。
『灰火の守部』グレイオンスを通じて事態を知ったアシムベート・グリオウは、ディズル大湿地帯のリザードマンの戦士たちを率いて、大森林に来た。
エルフや動物だけでなく森の再生に協力していたリザードマンたちも消えたとあらば、対応を現地のエルフたちだけに任せるわけにはいかない。
アシムベートには、彼らを大森林へ送り込んだ責任がある。
ただ、大森林に来ても情報が少ないことに変わりはなかった。
●風は聞いていた
灰火 の里の一つ、グレイオンスの住む里には、大森林の各地から大異変に関する相談事や冒険者ギルドへの依頼を求めるエルフが多く来ていた。
それぞれ不安な表情であり、グレイオンスに話し終えたところで、一旦安堵する。話を聞いてもらうことでひとまず気持ちの整理がつく者もいたが、家族や縁者の行方がわからなくなったのだから表情は晴れない。
依頼を出しても、解決できるとは限らない。
積みあがっていく依頼や情報に、グレイオンスは眉間のしわをより深くした。
現在グレイオンスの元へ寄せられた訴えの多くは、「人や動物が忽然と消えた」というもの。
消える前後に何か異変があったかと問われれば、芳しい答えはない。気づいたら消えているのだった。
里と里の交流が密だと気づきやすいが、交流が少ないといつ消えたかすらわからない。
中には、里人が消えた場所の近くにダンジョンが発生していたという証言もある。消えた人々がその中にいる可能性もあるだろう。
グレイオンスは、二年ほど前に『フレイヴァルツ』という氏族がたった一人の娘を残して消失した事件を思い出すが、いま大森林内で起きている異変と関係があるのかは判然としなかった。
もう一つ、里や里人が何者かの襲撃を受けたという訴えもある。
それらは明らかに人の仕業であるらしい。
人であるといっても、理由は様々ありそうだった。
エルフ社会で孤立していた者、何処かでつまはじきにあった者――。
一方で、その者たちが人や動物の消失にかかわったかというと、確固たる証拠もない。むしろ、大森林全体を巻き込むような大掛かりな術を人が使えるとは考えにくい。
だから、二つの問題は別物ではないかとグレイオンスは考えていた。
ただ、その襲撃者たちの中には、なぜか容易に森のエルフたちの裏を掻いてみせる者もいたという。グレイオンスは、それが気になっていた。
「爺様!」
ノックもなく扉が開く。
森を出て旅をしている二人のエルフ、ナツキ・エルとハルシ・エルがグレイオンスのいた部屋に入ってきた。
血相を変えたナツキがテーブルをダンと叩いて、
「早く、助けに行かないと!」
と言う。彼女らの後に入室してきたグレイオンスの縁者、ハーフビーストのウル・ヘルバがお手拭きと茶を用意して、「落ち着け」と突き出している。
グレイオンスはナツキとハルシの慌てように驚き、
「何があった?」
と問う。
茶を飲み、一息ついたところで、ナツキとハルシが説明を始めた。
「私たち、シルトラース帝国側から大森林に入ってきたの。そうしたら、なんか知らないけどゾンビとかスケルトン系――アンデッドの大集団がいて、襲われたのよ!」
「そいつらの向かう先が聖鳥 の里ある方で、私たちだけでは止めることは無理だから、こっちに急いだの」
「数、多すぎるよ。授恵者ということで魔法攻撃できたし、馬車が通れる道だったから駆け抜けることでどうにかなったけど……」
グレイオンスもウルも、その件は知らなかった。
彼女らが見たアンデッド集団が一体何なのか、いま聖鳥 がどういう状況かわからない。
彼らが独力でどうにかできるような状況ではないのは、ナツキとハルシの様子から明らかだ。
ここに何の報せも届いていないということはつまり、聖鳥 は既にそのアンデッドたちの襲撃を受け、危機的状況にあるのかもしれない。
グレイオンスは依頼書の束に一枚追加する。
状況がわからないから、救援や調査の依頼となる。
束を袋に入れ、ウルが受け取り、さっそく一番近い冒険者ギルドに向かう。
ウルが出て行ったあと、グレイオンスは二人に休息をとるように言う。
「救援いくなら私たちも行くよ。だって、戻る森があるから私たちは旅できるんだから」
ナツキは真面目な顔で言い切った。
執筆:狐野径