【花戦】まつりあかせや、はないくさ

ウィリアム・リーンエス
まったく、どうして皆、僕をそんなに目の敵にするんだい? 囚われの花嫁だよ?
リンタロウ・イナバ
あのトーリとかいうやつのおかげで、かなり稼がせてもらったな……っとと。
王子、ご無事でしたか。
ウィリアム・リーンエス
やあ。無事も無事、君たちのおかげでね。
君たちの働きには、今回も目覚ましいものがあった。
どうやら冒険者ギルドを通じて辺境都市群から贈り物が配られたようだよ。
「はないくさ」は幕を閉じ、アカネとウィリアム王子は無事取り戻されました――
【花戦】連動シナリオ記念アイテムが配布されました!
assignment【花戦】まつりあかせや、はないくさ 特設ページ
【花戦】連動は、辺境都市群を中心にした新緑の祭事「はないくさ」にまつわる出来事の数々である。キサキ・アカネとウィリアム・リーンエスを「花嫁」と呼ぶ少年トーリは、2人を賭けて強者との戦いを求めた。そうして今回も冒険者に白羽の矢が立ったのである。
assignmentここまでの流れ
新緑の季節、豊穣を願うお祭り騒ぎ「はないくさ」の準備が進む中、突如現れた少年トーリ。トーリはキサキ・アカネとウィリアム・リーンエスを「花嫁」として一方的に指名すると、2人を賭けて猛者との戦いを求めて……!?
どこかしこもお祭り騒ぎ。その中で「はないくさ」に関するトラブルも頻発。伝統の存続を望むもの、賄賂に笑う悪代官、花木の魔獣たちも大暴れ! 事態の収拾のため、キサキ・アカネは冒険者たちに協力を要請するのだった。
assignment結果
トーリが花嫁に指名したキサキ・アカネとウィリアム・リーンエスの両名は、冒険者の活躍により無事解放された。そしてトーリは忘却の彼方にあった自身の由来についても思い出す。東方大陸からの漂着者とともにロスガリア大陸を訪れた神であったトーリは、長い眠りから目覚めたのち「はないくさ」に自身の故郷の祭りの残滓を感じたのだ。その「はないくさ」は例年以上の盛り上がりを見せ、その閉幕と共に、季節は春から夏へと移り変わる――。
person_pin関連NPC
表の顔は、シャルガネ居住区の宿場街の女将頭。裏の顔はシノビの頭領であるという噂もあるが、実情は定かではない。
《本連動での動き》
今回はトーリによって、ウィリアム王子と同じく「神の花嫁」に指名された。戸惑いつつも、冒険者に解決の糸口を求める。
(2022/5/28追記)
トーリとともに各地を回っていたが、冒険者たちの活躍によって無事解放された。
リーンエス王国の第二王子。文武ともに優れた才能を有した《授恵者》であるが、王族らしからぬ軽薄さ故に近親以外の王族からは見下され、対立する貴族からも「毀れ者(こぼれもの)」と揶揄されている。
《本連動での動き》
今回はシャルガネに滞在中、トーリによって、キサキ・アカネと同じく「神の花嫁」に指名される。トーリが人間ではないことを見抜き、冒険者も交えてその要求に応えることを提案した。
(2022/5/28追記)
トーリとともに各地を回っていたが、冒険者たちの活躍によって無事解放された。なお、冒険者からの扱いはわりとぞんざいだった。どうして。
春色の髪と新緑の瞳を持つ美少年。雅なものが好きで、キサキ・アカネとウィリアム・リーンエスを「花嫁」として一方的に指名した。
《本連動での動き》
曰く、長い眠りから覚めると、覚えのある祭の気配を感じたとのこと。花嫁を賭けての猛者との戦いを所望している。
(2022/5/28追記)
強者たる冒険者たちとの戦いに満足し、また自身の由来について思い出し故郷を懐かしむ。勝負の際に力をずいぶん使ったこともあって、再びの眠りについた。
menu_book関連用語・情報
「はないくさ」
どの都市地域においても、「なんだか昔からやっているお祭りだけど、成り立ちはよくわからない」お祭りです。これは東方大陸の豊穣祈願祭が辺境都市群のそれと邂逅し、混ざり合った影響と推測されます。祭の形式は地方によって様々ですが、トーリが認識しているような「花嫁を取り戻すため戦士たちが神と戦う」という形式は、最も原義に近いものと考えられます。
春の魔獣たち
暖かくなったせいかわらわら湧いてきた、もしくは冬眠から目覚めて餌を探し求め彷徨う凶暴な魔獣たちの討伐依頼も「はないくさ」の風物詩です。
シャルガネ居住区
黒髪を特徴としたヒューマンたちが多く住まう土地。彼らは200年程前に沿岸部へと漂着した者たちの子孫である。書道や独特な絵画、更には忍術といったロスガリア大陸に存在しない文化や技術を有していた彼らは、自らを「日出ずる国より来た」と称した。この事からはるか東方にロスガリア大陸以外の大陸が存在するという生きた証拠となっている。彼らは漂着した際に辺境都市の人びとに好意的に迎えられ、生活や定住にあたり手厚い支援を受けたことから、居住区に住まう者たちは辺境都市の人々に対し大恩を感じているという。
シャルガネ居住区の成立以降、辺境都市群に仇なす存在や密偵を秘密裏に排除する「シノビ」が暗躍するようになったことは、各国の史書からも明らかとなっている。彼らの能力や働きは、伝聞という形で「シノビ」像ともいうべき偶像を作り上げている。シャルガネ居住区の一部では、「シノビ」をモチーフにした観光地もあるが、実態として、シャルガネ居住区における「シノビ」の実在については明らかにはされていない。
シャルガネに戻ったトーリは、畳の上にごろりと寝転がるとうんと体を伸ばし、脱力したのちにそう言った。
キサキ・アカネとウィリアム・リーンエスもまた、シャルガネに戻ってきている。二人は一枚板の机を挟んで座っており、その近くに報告書を捲る冒険者ギルド職員のシュゼットが佇んでいる。
「はわわ……トーリさん、お行儀悪いのですよ……!!」
平民であるシュゼットはアカネとウィリアムの前にすっかり竦み上がっており、そんな二人の前でごろごろするトーリを注意している。
「えー。だってこの床、とっても懐かしい香りがするんだもの」
「もう……」
シュゼットはトーリを諌めるのを諦め、二人に向き直る。
「で……では、ご報告いたします。辺境都市群内のあちこちで活発化していた魔物は冒険者らによって鎮圧されました」
クリーパーに寄生された御神木との戦いはなかなか激しく、手強い相手だったが、背水の陣を敷いた冒険者同士の連携が光り勝利を収めた。
またヌシメバルの討伐依頼では、不慣れな船上での戦いにも関わらずみなしっかりと対策をとっていたため、船員の犠牲者も出ることなく……。
「ヌシメバル、美味しかったのです……」
シュゼットはよだれが滲みそうになって慌てて居住まいを正した。アカネが小さく笑い、ウィリアムが微笑む。
「他には?」
「あっ、はい。とある地域では『歌う桜魔獣』なる存在が現れて、冒険者の尽力により……歌が上手くなり、皆で宴会を楽しんだ、と」
「ほう。そんなこともあるんだね」
ウィリアムが相槌を打つと、宴会という言葉にトーリが反応した。
「宴会といえば風の噂で聞いたんだけど、大食い大会があったんだって?」
魔獣が捕食していた動物たちをつかった料理。それを食べ尽くす人助けだ。
「いいなあ。別のところでは、お酒じゃないのに酔える飲み物を楽しんだって。もちろん、みんなと料理対決したのも楽しかったけど!」
料理対決のくだりにさしかかると、アカネとウィリアムは最初こそ皆が作った料理の華やかさを思い出してうんうんと頷いていたが、記憶の再生がある一点に到達するとぴしりと固まった。
「アカネ様? 殿下?」
シュゼットが首を傾げる。どうやら報告書の概要には二人の舌を追い詰めた料理については言及がされていなかったようだ。
「悪代官を懲らしめたのも楽しかった! あれ、悪徳商人だっけ?」
ふふっとトーリは笑う。金に印をつけて横領の証拠を押さえたあの手際は見事だった。
「それからウホウホレースに競泳――」
続くトーリの言葉にウィリアムが遠くに視線を投げる。
「思うんだけど、なんだか僕の扱いがぞんざいではなかったかな?」
ウホウホレースではゴリラのヘッドバットが尻に直撃してふっとび、直後に踏みつけられたウィリアムである。競泳では「アカネさんは助けよう」で意見がまとまる始末。
「愛されておいでなのですよ」
アカネのフォローに、ウィリアムはロイヤルプリンススマイルを取り戻した。
静穏に【はないくさ】を迎えた者たちもいた。馬酔木の花に願いを込めて結んだり籤を引いたり――金雀枝祭りでは花嫁役と妖精役に分かれて追いかけっこ……いや、こちらはかなりの大逃走劇であったという。
「皆も楽しんでくれたかな?」
トーリは立ち上がり、無邪気に笑う。
「花嫁二人はみんなに返すよ。そういうお祭りだからね」
「トーリ様、あなたは……」
アカネは改めてトーリの正体を問いただす。トーリは東の方角を振り返った。その美しい瞳は郷愁の色を湛えている。
「君たちが東方大陸と呼ぶ土地から、僕は流れ着いた……【はないくさ】には、僕の故郷の残滓が感じられた。僕は祭神、桃李だ」
皆のおかげで思い出したんだよ、とトーリは続けた。
「ここに流れ着いてすぐに、僕は眠りについて……でもその間も、故郷の祭は民草の間で育まれていたんだね」
ありがとう、と三人を振り返るトーリの体は、向こう側が透け始めている。
「と、トーリさん……! 消えちゃうんですか!?」
シュゼットが慌てて手を伸ばす。トーリはキョトンとした後、はにかんだ。
「また少し眠るだけだよ。たくさん、たくさん楽しんだからね」
――また会おう、人の子らよ。
トーリはそう言い残すと、花びらと散って姿が見えなくなってしまった。
「春風とみせて、春嵐のような人物だったね」
ウィリアムはそう締めくくる。
春が過ぎれば次は夏だ。そうして、いつもより少し騒がしい【はないくさ】は幕を閉じるのだった……。
執筆:炙りとろ左門