【人馬】人馬争乱――神石と騎馬民族――

リット
だーかーらー、兵隊に襲われたって言ってるだろ。あっ、将軍のおっちゃーん!
兵士
おいこらっ。申し訳ありません将軍。このガ……少年がいきなり飛び込んで来まして。
リット
すぐに動かないとやべーんだよ! あいつら全員馬に乗ってたんだ。俺は振り切れたけど、どこかの村や町が襲われてるかもしれねー。
バルディオン
治療を待てぬか、少年よ。ならば話を聞こう。所属は確認できたか?
リット
蛮族ってーのかな。なんか亜人っぽい服装だったぜ。
バルディオン
……その賊達、馬の体にヒューマンの上半身が付いた姿か?
リット
それだよそれ! 物知りだな将軍のおっちゃん!
バルディオン
ケンタウロスか! 全軍に警報を出せ。レイウェスト殿下には最優先で連絡を。ギルドに依頼し、ビッグオウムを飛ばせ!
リット
最初からにーちゃんやねーちゃんに頼るなんて……。軍だけじゃ足りねーのか。マジヤベェな。
帝国東部に、亜人ケンタウロスの大群が現れたようです――
(1月22日より 【人馬】連動シナリオリリース開始!)
assignment【人馬】人馬争乱――神石と騎馬民族―― 特設ページ
人馬争乱では、帝国東部に乱入したケンタウロス相手の戦いと交流、そして彼らの故郷に隠された秘密とそれを巡る争いが描かれます。賢しく精強なケンタウロスの軍勢や、何者かに強化された痕跡のある魔獣の群れに対抗できるのは冒険者だけです。
assignmentここまでの流れ
エフレムという主力が離反し、頂点であるレイウェスト・バルダス皇子も国外にいる状況で、最盛期の帝国ですら駆逐しきれなかった半人半馬の知的亜人ケンタウロスの大規模侵攻が始まりました。略奪だけが目的だった過去とは違い、明らかに帝国人類圏の占領を狙っているケンタウロスもいます。彼らは帝国東部の辺境から現れて西進・南下。住民が戻りつつある帝国南東部やヴィントに迫っています。また、時期を同じくして強力な魔獣も出現しているようです。
person_pin関連NPC
帝国南部の守りの要『ヴァイセントラフ砦』と南部の経済的中心『帝国南部鎮守都市ヴィント』をレイウェスト皇子から任された帝国の重鎮。
《本連動での動き》
帝国健在時と比べて激減した戦力で、過去に例を見ない数のケンタウロスに対することになり、非常に苦しい戦いを強いられています。
帝国が崩壊したときから唯一の帝位継承者として各国の支援を引き出し、冒険者の助けを得て帝国南部の一部を取り戻した皇子です。
《本連動での動き》
現在帝国には不在。急使によりケンタウロス侵攻を知らされ、急いで帝国に戻ろうとしています。
帝都崩壊時に帝国北部鎮守都市『オルセン』に出現しかけた幽界樹をほぼ単身で打ち倒した超人的人物。帝国北部における人気は圧倒的です。
《本連動での動き》
ヴィントに滞在中だった彼女は、ケンタウロス侵攻の話を聞きバルディオンに協力するつもりのようです。
帝国難民キャンプで散々冒険者の世話になった在野授恵者。現在は危険地帯の案内人や輸送業で生活費を稼いでいます。
《本連動での動き》
初期のケンタウロス侵攻に巻き込まれ、多くの荷物を捨てて南部まで逃げて来ました。
menu_book関連用語・情報
ケンタウロス
人類に敵対的な亜人であり、大型馬の下半身と人間の上半身をつなげた外見をしています。弓での狩猟を行い、皮で衣服やテントを作る程度の器用さがあるほか、知性は人類と同等にあると予想されています。
非特異個体の成体でもLV1の授恵者に匹敵する戦力で、4つ足により高速も活かして長年帝国を含む各国に被害を与えてきました。
1222年1月、帝国東部辺境地帯に住んでいたと思われるケンタウロスの大群が突如として西進・南下し、帝国南東部など人類の生活圏に侵攻を開始しました。
帝国南部鎮守都市「ヴィント」
帝国滅亡に際してクリーパーに蹂躙された都市。昨年初夏の奪還作戦において【天霧りに消ゆる幽界樹】の分樹の打倒に成功し、解放されました。現在は廃墟の整理も進み、避難していた帝国民も少しずつ戻り、復興の途にあります。太守はバルディオン。
帝国北部鎮守都市「オルセン」
ヴィントと並ぶ帝国の軍事拠点。征竜に備える北の要として作られた都市であり、王国に向けたヴィントと同程度の戦力を擁していました。帝国崩壊に伴い滅亡したものと思われていましたが、クーネ・ルウの助力により幽界樹が育つ前の伐採に成功。健在であることが昨年初夏に判明しました。太守はコンラート・マフダル。
帝国都市「ダルトート」
帝都の東にあった中規模の都市。目立った特徴はありません。それなりに栄えていましたが、帝国滅亡に際して幽界樹が生えて滅亡しました。その後は人の住まぬ廃墟都市となりクリーパーに占領されていましたが国内行脚をしていたクーネに『解放』され、物理的にも廃墟と化したようです。1221年秋に整備されたヴィントとオルセンをつなぐ帝国東部街道(仮)の中間地点にあります。
帝国東部街道(仮)
帝国南部鎮守都市ヴィントから帝都東部の都市ダルトート跡を通り、北部鎮守都市オルセンまでを繋ぐ街道です。1221年秋にもともと存在していた街道を繋ぎ、帝都を迂回する形で整備されたもの。「東部街道」は仮称であり、実際に通るルートは帝都のやや東、帝国のほぼ中央に近い位置を縦貫しています。現在、この街道沿いには帝国軍の屯所が幾つか置かれています。
速度は力だ。
逃げる獲物に追いつくときも、強敵から逃げるときも、常に役立つのは速度なのだ。
4つの脚で駆けるケンタウロスに、重装備の護衛達は為す術無く追い詰められていた。
「ここもかよっ」
小柄なヒューマンがすっとんで来る。
奇襲を受けたはずのケンタウロスが、素早く散開しながら手槍を次々に投げつける。
ごす、ぶす、と当たったり刺さったりしているのにリットの速度は衰えない。
授恵者の身体能力による強行突破であった。
「おい無事か!」
「なんとかなぁ!」
護衛の長が獰猛な笑みを浮かべる。
荷物を必死に守ろうとする商人を荷車から引き離し、部下には最低限の荷物以外は捨てるよう命じる。
「3件目でようやく生き残りかよ」
「リット、そういうのは助かって言ってくれ。……いいか?」
「応っ」
生き残り全員が南へ駆け出す。
槍と矢が降る。
貫かれ死に損ねた護衛が倒れて悲鳴をあげるが誰も止まらない。
「いてーんだよっ」
軽装で無理矢理速度を維持しているリットが殿だ。
接近戦なら倒せる。
しかしケンタウロスは巧妙に距離を保ち、特異個体でもないのに中堅授恵者のリットを一方的に痛めつける。
「リットまさかお前ひとりかよっ」
「礼くらい言えよ! わけわかんねぇ数で襲われてどこも、っと危ねぇっ」
護衛に運ばれる商人に突き刺さりかけた槍を、勘だけでぶった切る。
砕けた破片がリットの頬と商人の背中に突き刺さり、商人の悲鳴がか細く漏れた。
●
『長。追っても良いか』
『これ以上南に行けば敵が多くなる。ここに留まるとしよう』
人類の言語とは異なるものの、ケンタウロス語は多くの概念を伝達可能だ。
だから、速度を活かして数に勝る帝国軍を翻弄できている。
本拠を失い、意見の対立で複数の集団に別れてしまっても、かつての力を失った帝国軍など敵ではない。
『変だ』
だが少数のケンタウロスは気付いている。
授恵者の数が多い。
多くは特異個体ケンタウロスよりずっと弱いが、稀に先程の子供 のような強者までいる。
それより遙かに強い冒険者が多数存在するなど、人類のような巨大な情報網を持てない亜人には気づけない。
『魔獣どもに追いつかれぬよう気をつけよ。――聖地は必ず、我らが取り返す』
隊商が放棄した荷物を回収し、後方から連れてきた家畜に草を食ませながら、多数ある部族の1つの長が東をじっと睨み付けていた。
●
美しい自然と調和した風景が砕けていく。
伝承では千年以上、証拠が残っている期間だけでも数百年守られてきたケンタウロスの土地に、無残な穴がいくつも開けられていく。
亜人の土地とはいえまともな神経の持ち主なら畏れを抱く。
しかしこの場にいるのは、メドゥの指先という反社会を通り越して反人類とすらいえる外道の集団だ。
剛力を誇るウォーリアもいる。
多数の強者を完全に従えた幹部もいる。
しかし、通常ならひどく目立つはずの彼等は、かつて冒険者を苦しめた大怪獣と比べれば目立たない存在でしかない。
「これね」
シグモル火山帯の神官服を思わせる白ローブを頭からかぶった女が穴を降りていく。
大怪獣は主に従う従順な犬のように、そっと身を伏せ女の邪魔をしない。
エーテルが宙に舞う。
詠唱も事前準備もないのに宙に陣を描いて剥き出しの土に染み入らせ、最初からなかったかのように数十センチから数メートルの深さまで消滅させる。
おお、と堪えきれない歓声があちこちから響く。
土の中に埋もれていたのだろう小石が10以上、穴の底に転がっていた。
「質はぎりぎり。量も足りないわ。坑道が他にあるのか、それともどこかに隠したのか」
女は、普段は感じさせない感情を声に滲ませる。
とても薄いが、焦りがあった。
「あの子 は置いておくわ。私が戻ってくる前に目標の数を集めておきなさい」
我が強く、それ以上に戦闘力も強いメドゥの指先幹部を従わせる、圧倒強者の姿であった。
執筆:馬車猪