【魂禍】辺獄戦役〜火生の神と人造授恵者〜

シグルド・オルセン

まさか、アン――いや、ジャンヌとあの男が『ホムンクルス』とやらだったとはな。人の手で授恵者を造る……本当にそんなことが可能なのか?

アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

……当たってほしくない予想ほど、当たってしまうものね。人造授恵者なんて狂った話が現実になったとは思いたくないけれど、彼らは既にその方法を確立しているようだわ。

シグルド・オルセン

さっきギルドで聞いた話が本当なら、また世界中が騒ぎになるだろうな。お前さんたちの証言もあわせて考えれば、信憑性が高そうだが。

アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

ええ。わたしが会った帝国過激派は確かに「陛下」と言っていたけれど。本当に、あの陛下なのかしら……?

シグモル火山帯に再び不穏な動きがあるようです――
(1月17日より 【魂禍】連動シナリオリリース開始!)

assignment【魂禍】辺獄戦役〜火生の神と人造授恵者〜 特設ページ

シグモル火山の守り神、ボルガニスクの身に何かが起きたため、彼女が千年間封じ続けてきたクリーパーの封印が解かれてしまう。また、これと同時にシルトラース帝国の関係者の活動が報告され始める。
これらの事件に端を発する“辺獄戦役”は、やがてロスガリア全土の未来さえ揺るがしかねない大きな戦に発展してゆく……。

assignmentここまでの流れ

火生の神が力を失った事で、千年前のクリーパーが目覚める。
シルトラース帝国に所縁ある者の不穏な活動が報告され始める。
一見バラバラに見える数々の事件に対して、冒険者ギルドは多くの人員を割いて対処を試みる。
これらの裏側に存在するひとつの“悪”には気付かぬまま……。
(2022/1/16追記)
「火生の神ボルガニスクの力は、帝国皇帝ヨゼフ・バルダスにより奪われた」
「帝国過激派は辺獄の工房で人造授恵者『ホムンクルス』を量産している」
冒険者たちによる辺獄の調査、保護された少女ジャンヌ・アンら『ホムンクルス』達の証言、一連の事件に関連して姿を現した帝国過激派の言動により明らかとなった事実は、シグモルの民と冒険者ギルドを驚嘆させた。
皇帝は現在、長い眠りについているという。しかし、件の工房「フラスコ」は魔獣とクリーパーの争いにより危険地帯と化し、ホムンクルス達は生命の危機に瀕している。非人道的な行為により生み出されたホムンクルス達を救うため、シグモルの民と冒険者ギルドは再び冒険者達に依頼を出す。

person_pin関連NPC

シグモル火山を守護する地上最後の神。
アイスクリームが好物で脳筋。

《本連動での動き》

 帝国皇帝ヨゼフ・バルダスとの戦いに敗北し、力を奪われた。
 ボルガニスクの力が弱まった事で、彼女が辺獄に封じたクリーパーが動き出す事になった。
 今回は彼女からの依頼という事で、クリーパーを討伐するための長期的な作戦が展開される。
なお、「人間に負けた」とは恥ずかしくて言えず、今まで隠していたようだ。

ハーフリングの特徴をもつホムンクルスであり、どこか人形じみた印象を与える少女。右の眼球を透き通った緑色の「賢者の石」に置き換えられている。

《本連動での動き》

辺獄にあるアルルカンの工房「フラスコ」から脱走し、冒険者に保護された。
 彼女の証言は、辺獄における一連の事件に帝国皇帝と帝国過激派が関与していること、保護すべき人造授恵者『ホムンクルス』が多数存在していることを決定づけた。

かつての帝国で「実力派」とも呼ばれていた「帝国過激派」の筆頭に立つ人物。長年、宮廷道化師を務めていた。
道化服を着たエルフの男で、本名は不明。かつて「テオフラストス・ホーエンハイム」を名乗っていたが、現在は「アルルカン」と名乗っているようだ。

《本連動での動き》

辺獄の工房「フラスコ」で人造授恵者『ホムンクルス』を量産し、神具で洗脳している。

シルトラース帝国現皇帝。帝国崩壊に際し死亡したとみられていたが、帝国過激派およびジャンヌの証言により生存が明らかとなった。

《本連動での動き》

ボルガニスクとの戦いに勝利し、神の力を奪った。しかし人の身に余る力を得た代償として、一年は目覚めぬほどの深い眠りについたらしい。

シグモル火山帯において最も古く、最も厳格な宗教一派である【ボルガニスク神殿】の長で、火山帯全体の意見調整を担う神議長官。

《本連動での動き》

ボルガニスクの求めに応じ、辺獄における一連の事件解決のために冒険者ギルドと協調する。

ドワーフ王国出身の受付嬢。ドワーフ王国と辺境都市群の境目辺りにある冒険者ギルド支部に配属されている。

《本連動での動き》

シグモル火山帯の冒険者ギルドが多忙のため、臨時で応援に駆け付けた。

menu_book関連用語・情報

辺獄

今回の連動の主な舞台のひとつ。
シグモル火山の地下に広がる特定の広大な空間を指す。基本的には鉄の扉で閉ざされ、何者も立ち入る事を許されない。
遠い昔に起きた地殻変動によって、もともと地上だった場所が地底深くに沈んでしまった際に出来た。
これに巻き込まれた動植物たちの一部が魔獣化して地底の環境に適応し、独自の進化を遂げた結果、地上とは一線を画する過酷で原始的な空間となった。
のちにこの空間を発見したシグモルの民によって名付けられている。

超大型クリーパー「魂喰らう黒泥晶(旧名:とっとと死ね太郎)」(2022/1/16更新)

三世紀(約千年前)の頃にシグモル火山に出現した極めて異質なクリーパー。
歴史の上ではボルガニスクに倒されたと語られているが(ワールドガイドを参照)実際には彼女ですら倒し切れない程の絶大な力を持つクリーパーだったため、辺獄に封印されていた。
ボルガニスクによると、魂を鹵獲する、入手した魂の持ち主の姿や能力を模す、などの特徴的な性質を持ち、魂を喰らうほど力を増していくらしい。
現在は辺獄の魔獣を襲い、その魂を集めて力を高めている最中。
その性質からすると、放置すれば誰にも手が出せない怪物に成長すると見られている。
自らの身体の一部を分離させ、蓄えた魂をそこに宿すことで、魂が宿っていた元々の肉体・能力を模した「分け身」を作り出す事もできる。

帝国過激派(2022/1/16更新)

シグモル火山の異変と同時期に活動が活発化している集団。筆頭であるアルルカンの工房「フラスコ」が辺獄内で発見されている。
母体は帝国崩壊前から存在しており、当初は『実力派』と呼ばれていたが、帝国滅亡の直前にその思想の危険性から過激派と呼ばれるようになっていた派閥。
帝国によるロスガリアの支配を目的とし、その為には一切の手段を選ばないため恐れられていた。
そのトップは長年宮廷道化師を務め続けていたエルフの男だという噂があったが……。

ホムンクルス(2022/1/16追加)

帝国過激派アルルカンの工房「フラスコ」で製造されている人造授恵者。
人間の魂に強い恐怖や絶望を与えた上で殺害する事で魂のリミッターを外させ、再び肉体に魂を定着させる事で製造できる。この際、肉体側の頭部に『賢者の石』を埋め込む必要がある。
アルルカンら帝国過激派はこの条件を満たすため、人々を攫ってはその全員に非人道的な行いをした上で殺害し、ホムンクルスとして蘇らせている。
ホムンクルスはアルルカンの持つ神具で洗脳されており、アルルカンの命令に従う。洗脳は該当の神具を破壊するか、本人が「希望」を感じる事で解除できるとされている。
洗脳により発語や感情を失っている者が多いが、神具の効果には個人差があり、会話が可能な者や未洗脳の者もいるようだ。

賢者の石(2022/1/16追加)

超大型クリーパー「魂喰らう黒泥晶」が捕食した魂が圧縮され結晶化したもので、辺獄で採掘できる。元々は無色透明だが、ホムンクルス製造の際に肉体に埋め込み、魂を定着させると色や形を変える。

フラスコ(2022/1/16追加)

辺獄にあるアルルカンの工房。アリの巣状に広がる横穴を利用したものであり、工房ではあるが穴倉に家具や器具を設置しただけのもの。魔獣除けの魔法などが施されており、紋具によって温度も不自由のないところで保たれているようだ。内部は非常に広く、複数の部屋ごとに小分けにされている。
多数のホムンクルスがここに収容されているとみられ、番人として置かれているホムンクルスもいるらしい。
現在は魔獣やクリーパーの侵入が始まり、危険な状態にある。

●
 シグモル火山の枯れた光景の中にも、生活の色彩は随所に散りばめられている。緊急事態ではあるが辺獄との距離が、人々の行き来や暮らしぶりに致命的な影響をもたらすものではない。
 しかし――石造りの一室。

「……また、帝国か」
 ボルガニスク神殿の長であり、シグモル火山帯の民のまとめ役でもあるオルグレイの呟きは苦く、そして重く室内に響いた。オルグレイをはじめとして、シグモル火山帯の守護者たる神徒の面々、神職の有力者――などのシグモル火山の有力者が集うている。
 冒険者ギルドから応援人員として派遣されたリル=ウェンシーとしては大変、居心地が悪い。抱えた大量の資料が無ければ、どれほどよかったか。傍らで「アイスはまだか」などとツンツンと突いてくるボルガニスク本人も、その隣で不安げに立ちすくんでいるホムンクルス、ジャンヌ・アンの存在も、眼前で怒髪天を衝かんばかりにヒゲを高速で擦っているオルグレイも、どれひとつとして好材料がなかった。

 それでも、リルは言わねばなるまい。

「は、はい。冒険者からの報告であがっていた陛下と呼ばれる人物は、『神の力を得た』と言われていました。皇子であるレイウェスト・バルダス殿下と合わせて挙げられていた名であることと……」
 リルが横目で右隣のジャンヌを見やると、少女はかすかに俯いた。少女の眼窩におさまった緑色の宝石に陰りが落ち。
「ヨゼフのこと。名前しか知らないけれど……知ってるよ。こわい、ひと」
「この通り、ほとんどの記憶を無くしている彼女(ジャンヌ )が、帝都と共に崩御したと思われていた、現皇帝であるヨゼフ・バルダスの名を知っていることを合わせると」
 そこまで言って、リルは傍らの神へと目を向け、
「……あ、あの?」
「……」
 不機嫌そうに眼をそらした少女の姿に嘆息しそうになるのを堪えながら、告げた。

「ボルガニスク様、もしや、あなた様の力を奪ったのは帝国皇帝では?」
「……いかにも」

 沈黙を打ち破ったボルガニスクの静かな肯定。そして。
「あのクソガキが、征竜の武具をもって私の力を奪ったのは事実だ。しかし、神の力を其の身に受け容れるとなれば、年単位の時間がかかろう」
「しかし、不敬では」
 ぽつりとこぼした神徒の赫怒の気配に、ボルガニスクは苦笑を零す。
「策を弄したにせよ、クソガキが難事を為したことに違いはない。小僧のしでかしたことは原因でこそあるが、『とっとと死ね太郎』……いや、『魂喰らう黒泥晶』と、そこの子……ジャンヌを取り巻く状況ほど、現状には影響すまいよ」


 ●Bad beat
「ヒュ~~~!!」
 辺獄の一角に、奇声が響いた。道化姿のエルフは、軽妙かつ滑稽な舞踊を虚ろな表情の人々に披露していた。無数の人々の顔(かんばせ )には、大小様々な宝石が埋め込まれている。

「ギャハハハハハハハ! 最ッ高アァンド最ッ低だなァほんとにオイオイオイ!!!」
 ぴたり、と奇妙に傾いだ姿勢で静止した男――アルルカンは眼を見開くと、
「情けなくも逃げ延びた神! あろうことか神具の支配を振り切って逃げたホムちゃん達! おねんねキメてる我らがGOD(ジー・オー・ディー )!! そんでそんで暴れる鬼クリーパーに辺獄の魔獣たちに板挟みのオレ達!!! クリーパーは順調に魔獣を喰って順当強化中!!!」
 両手を掲げてポージングを変え、
「『フラスコ』は外のヤツラにもクリーパーたちにもダ~イブ踏み込まれてるし、そろそろ外のヤツラも色々分かってる頃だろうなァ!!」
 愛し子を抱えるようにして、聖人もかくやと言わんばかりの笑みを浮かべた。
「人造授恵者(ホムンクルス )のことも? 帝国の愉快な仲間たち(俺たち )のことも? ひょっとしたら我らがGODがおねんね(休眠中 )なことも? 神が居なくなったせいで鬼クリーパーがお盛んになっちゃったことも?」
 困っちゃうなァ。
 一転して低い声で告げた後、ケタケタと嘲笑い転げ始めたアルルカン。
「いや困るんよなァ~~! まさかホムンクルス達にかけた神具(コイツ )の洗脳が解けるとか思わないだロォ~~~! そんな希望(ゴミ )なんてオメェラには似合わねぜ!!! だからよォ! キリキリ働いてもらうためにもよォ~~!」

 丁寧に擂り潰してやんよォ。

 アルルカンは綺羅びやかな笑みのまま、棘が生えた獣皮の鞭を打ち鳴らした。
 ――光が差し込まんとしている辺獄の片隅。凄惨極まる地獄は、終わりの時を迎えるには未だ遠い。


 ●
 ジャンヌを伴ってリルが退席して暫しのこと。オルグレイは落ち着きなく髭に手をやる。視線の先には、『アルルカン』という男が記した帳(ノート )があった。『フラスコ』という、彼ら帝国過激派残党――いや、皇帝の部下たちの拠点にあった資料の一つだ。

「ホムンクルス……人の手によって生まれた、授恵者」
 オルグレイは、シグモルを代表する人物としての自負があった。
 しかし。

「……生前。其の『魂』に強い恐怖と絶望を与え、之を殺害することで魂の楔を外す。死することで肉体から離れた魂を、『賢者の石』と呼ばれるものを介して肉体に再度定着させ……そうして生まれたホムンクルスは、授恵者としての力を得ることができる。ホムンクルスの自我は総じて幼く、記憶も多くが欠けているのは、魂が恐怖や絶望によって歪められた可能性があり――これが、アルルカンの神具によって洗脳支配するにあたり好都合であったため、アルルカンはホムンクルスを量産した……」

 これが、ヒトのすることか。
 自分たちの暮らしの傍らで、唾棄すべき邪悪があの少女(ジャンヌ )の身に降り掛かっていたことに形容し難い怖気を抱く。どれだけの恐怖が、絶望が、この火山で渦巻いていたのか。

「賢者の石とやらは、『魂喰らう黒泥晶』が捕食した魂が結晶化したものだ。世界に還ることなく収奪され、掻き混ぜられた成れの果てよ」
 ボルガニスクは哀切を滲ませながら、呟いた。
「それと知りながらも手を尽くせなかった私の至らなさゆえだな。あの子らの自我にばらつきがあったためか、洗脳の程度にムラがあったのは――さて、幸いだったと言うべきか」
「ボルガニスク様……」
「……オルグレイ。現世を生きるお前達に託すのは業腹だが、しかし、私には何の手立てもない」
 オルグレイは静かに頭を垂れた。
 長きに渡り其の身一つで世界を護り続けていた神に対して、何をするべきか。
 ――否。そも我らはシグモルの民である。
「元より我らは、寄る辺なき者どもが神々への悼みや想いを抱え彷徨い歩いた末、集うたのがその起こり」
 その末に、神の庇護が在ったことを知るのは運命の悪戯を感じるが。
 答えなど、決まっていた。
「迷い子たち(ホムンクルス )への宿場となることに、否やはございませぬ」


 執筆:アルパカコネクト運営
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0