【聖祭】聖霊節2021~金の灯、蝶の夢~

エルシー・サリバン
見てハル! あそこの大きなモミの木、飾り付け中だよ!
柊もリボンも、ランタンも! どれもきらきらしてて、すっごく綺麗だね。
ハル・チフ
わわ……。今年ももうすぐ聖霊節が来るんですね。
エルシー・サリバン
うんっ!
お祭りをしたり、美味しいごちそうを食べたり!
今年はどんなことが起きるのかな? 楽しみだね!
ハル・チフ
(催しよりも、エルが喜ぶほうが楽しみです)
今年も「聖霊節」の時期がやってきました!
(12月4日より 【聖祭】連動シナリオリリース予定!)
assignment 【聖祭】聖霊節2021~金の灯、蝶の夢~
聖霊節2021連動は、新歴1221年の聖霊節の時期に起きた一連の事件である。
世間的に見れば何番煎じかもわからぬありふれた事件。だが当事者にとっては特別な思い出になる冬が来る――かもしれない。
assignmentこれまでの流れ
聖霊節とは、伝説の英雄『ジド・ルウ』と名もなき小さな神々の偉業を讃え、あるいは祖先や近しい人への祈りを捧げる冬の行事である。
今年も街や家庭にモミの木が飾られ、特別なごちそうが準備される時期がやってきた。
多くの者は暖かい暖炉の前で、家族や恋人、友人たちと冬の祭りを祝うだろう。
しかし今年は激動の一年だった。大陸各地で起こった事件の影響のために、普段通りに冬を越せない者もいるかもしれず……。
person_pin関連NPC
冒険者御用達のとあるショップの敏腕店員。目つきの悪さや強気な言動とは裏腹に冒険者のサポートは手厚いミスツンデレ。ひそかに美容に興味があり、とある都市の名産品である「百合茶」を愛飲しているそう。
《本連動での動き》
聖霊節。それはそこそこの年齢かつ未婚彼氏ナシなポピーにとっては、まさに辛く長い冬の季節だった。
しかし今年は春の訪れの予感が――?!
《授恵者》たちが振るう特殊な武器の作成を一手に担う鍛冶師。扱いの難しい《授恵者》の武器や防具の製作・調整に人生を捧げた結果、鍛冶のみならず、木工、裁縫、彫金など様々な分野に精通し、それぞれの分野の高弟を多数抱えている。
《本連動での動き》
聖霊節。ヒゲのおっさんがジド・ルウの衣服として知られる赤白の服を着て、なんやかんやと祭りをしたり馬鹿騒ぎをしたりする行事である。
立派なヒゲのおっさんであるところのヴィンダールヴルは、この時期は子供たちからの人気が高まるのだそうだ。だからといってどうということもないが……。
menu_book関連用語・情報
聖霊節(ユールフェス)
聖霊節の由来は、ハーフリングの英雄、『ジド・ルウ』が、その身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞いだことによる。
その挺身は、微々たる効果しかもたらさなかったが、ジド・ルウに小さな神々が続いたことが、マテリアル界への大型クリーパーの侵入を激減させ、今日の平和の礎となった。
ジド・ルウと、名を失った神々がそれを成させしめたのが、12月――というわけではない。
当時は現代の『新暦』、つまり暦が無かった。神代における『冬の時代』という比喩表現を、12月と解釈したという説が根強い。収穫祭を終え、冬に閉ざされた時節に祝い事がある、というのもヒトの営為としてちょうど良かったのだろう。
ともあれ、ロスガリア大陸ではこれらの冬の催しを、『ユール』、あるいは『ユールフェス』と呼ぶ。
『ユール』という言葉そのものの意味を冬の祭り、あるいは冬至とする説もあるが、これは違う。ジド・ルウの渾名こそがその由来である。ジド・ルウが、自らの名を「呼びにくいから」という理由で渾名として周囲に伝えたのが、『ジュール』あるいは『ユール』であった。
由来はさておき、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げるようになったのだ。特別信仰心の無いものであっても、神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げたり、街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時期となる。
テラリウムのランタン
【大変動】の折、サウゼル大樹海で発見された新素材『ヒカリゴケ』を使用したテラリウム。
とある冒険者の熱意と知識により考案された。
モニターがてら祭りを彩る明かりとして『神匠』ヴィンダールヴルより貸し出しされている。
瓶の中に寄せ植え的にヒカリゴケの生育環境を再現したもの。素人の世話では枯れて光を失うまでに3日ほど。また、瓶から出せばすぐに茶色くなり光量も減ってしまう。
瓶に着色したり、外装のデザインにこだわるなどして柔軟な運用が可能。
絵画神ドゥジン
絵画の神『ドゥジン』は“絵の神”“記憶の神”“文筆の神”“表現の神”などが統合されたもので、信徒は石や紙に絵物語をしたためる。彼らは主に旧き言い伝えを後世に残すためにその筆を振るうが、時折、偉大なる神々や音に聞こえし英雄を、やたらと可憐な姿で描画したり、同性同士での恋愛劇を創作したりする事もあり、その所業が判明した際には不敬であるとして他の信徒から怒られている(こういった書物は神にならって“ドゥジンシ”と呼ばれる)。
水上都市アキュアリスタ
ロスガリア大陸北東、辺境都市郡の遺跡都市の一つ。
紀元前より存在するとされる広大な湖内部に沈んだ遺跡部と、遺跡の中でも大きい建造物の最上部を利用して作られた行政区などの中心部、遺跡上に建築したり浅瀬を埋め立てることで建造された外縁部からなる。
都市内は徒歩での移動も可能だが、ボートでの移動もよく利用されている。同都市では冬季に行われる『水神祭』が最も知られている。原因は不明であるが、湖は一年に一度、冬季に大きく水位が下がり、遺跡の外観の一部が明らかになると同時に遺跡への進入が可能となる。
この時期は冒険者、研究者、加えて、その景観を見ようと観光客が押し寄せる時期であり、『水神祭』は彼らをターゲットとした、大陸全土で見ても最も大きな祭りの一つである。なお、遺跡自体は強固な素材で建築されており、破壊による遺跡調査や資材採集が困難であることから、長年に渡り探索・研究の対象となっている。現状確認されている遺跡内部への入り口は都市中心部の深層に一つのみであることも手伝い、調査用・探索用に遺跡を開放する際の利用料は同都市の貴重な収入源となっている。
遺跡は巨大な石材を組み合わせて作られており、巨大な基部と、そこから様々な方向に伸びる直方体様の構造物が組み合わさったような形をしている。
水位が下がった際に見ることができる威容はこの世のものとは思えない景観であること、夜間はその外壁の紋様が明るく発光することから、観光客の人気も根強い。
今年も聖霊節の季節がやってきた。
聖霊節の由来は、ハーフリングの英雄、『ジド・ルウ』が、その身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞いだことによる。
これは聖霊節を『ユールフェス』とも呼称することからもうかがえる。
ジド・ルウが、自らの名を「呼びにくいから」という理由で渾名として周囲に伝えたのが『ジュール』あるいは『ユール』であったという故事があり、『ユールフェス』という語はそこから来ているのだそうだ。
ジド・ルウとは、ハーフリングの英雄である。
人々が住まうこの世界をマテリアル界という。そして、マテリアル界と表裏を成す混沌の世界、クリーパーが住む『アストラル界』というものが存在する。
この二つの世界は絶壁の『境界』にて隔てられ本来交わることはないのであるが、今からおよそ三千年前、その境界の消失という事件が起こった。
結果、小さき神々と竜と授恵者は、アストラル界からの侵入者であるクリーパーとお互いの生存をかけて激しく争うこととなった。
戦乱は千年にも及び、それまでは楽園であったマテリアル界は見る影もなく荒廃した。
その長い長い戦乱に終止符を打ったのが、ジド・ルウの挺身――というわけだ。
それが別に十二月だったというわけでもないらしいのだが、それはさておき。
とにかく、現代のロスガリア大陸では、十二月になればジド・ルウの英雄的行為を称え、ジド・ルウと、彼に続いて身を捧げた小さき神々に祈りを捧げる祭りを催す。
それは例年のことなのである。
●
街はうっすらと雪化粧を施され、吹き付けられたような白の下に茶色がかった橙や濃緑が覗く。
鍛冶のみならず、木工、裁縫、彫金など様々な分野に精通し、授恵者たちが振るう特殊な武器の作成を一手に担う『神匠』ヴィンダールヴルは、荷車から重い木箱を下ろしていた。
木箱の中身は重い金物である。吐く息が白くとも、袖まくりしたヴィンダールヴルの腕にはうっすらと汗が滲む。
ヴィンダールヴルの立派なヒゲを指さして「ジド・ルウだぁ!」とはしゃぐわんぱく小僧に愛想をふりまいてやったりしつつ、えっちらおっちらと荷下ろし作業は進む。
「これで全部だ。確認してくれや」
呼び鈴を鳴らして納品物の確認を頼むと――出てきたなじみの店員、ポピー・アルルンの姿を見て、ヴィンダールヴルは自分のうっかりを悟った。
(しまった。一杯飲んでから来るんだった)
この時節の独身女ほど恐ろしいものはない――。
聖霊節はジド・ルウや小さき神々から、亡き祖先、近しい人々へと、幅広い対象に思いを捧げる祭りである。
その一方で、恋人たちの祭りという面も持ちあわせていた。
雪が降る街。祭りの灯がきらきらと輝く夜景は、それはもうロマンチックなのである。
今年はサウゼル大樹海で発見された新素材『ヒカリゴケ』をガラス瓶の中で栽培した、『テラリウムのランタン』が各街に提供されている。
ろうそくや夜煌石とは違う趣の光が恋人たちを祝福しまくっており、例年にもまして、大陸じゅうで夜のデートが盛り上がっているとかなんとか……。
そして水上都市アキュアリスタの水神祭は聖霊節における大きなイベントのひとつ。
アキュアリスタには紀元前より存在するとされる、広大な水中遺跡がある。
その遺跡を浸す湖の水位は冬季になると大きく下がり、遺跡のこの世のものとは思えぬ偉容を人々の前に現す。
しかも夜間はその外壁の紋様が明るく発光することから、観光客の人気は根強い。
『今年のアキュアリスタ旅行、もちろんカレと行くわよね♪』
このような会話が若い女性たちの間ではバチバチ繰り広げられるのがお約束なのだ。
そんな浮かれた話題がポピーの耳に入らないことはあり得ない。
そしてそれは彼女の神経を大いに逆なでするに違いなく。
――ここに来る前に一杯引っかけていれば、酔いのせいにして逃げを打てたのに。
後悔と覚悟を胸にヴィンダールヴルはポピーの顔を見て……大変驚いた。
丸い眼鏡の奥、赤いポピーの瞳は、幸せに満ちあふれてバラ色に輝いていたのである。
執筆:九蓮宝燈