【呪輪】命の輪、冥い棘

ウル・ヘルバ
ムーセルに生存者がいたって聞いたけど。療養すれば治るんだよな。
グレイオンス
ウル、騒いでも仕方がない。
適切な環境で休ませれば、彼らを蝕んだ毒は抜け、体力も戻るだろう。治らない傷はない……いや、フェンヌ・ダーニの話は聞いた……治らない傷もある、か。
ウル・ヘルバ
う……。でも、さ、子どもや恋人を殺されたって、誤解なんだよな? 氏族の奴ら、ずっと一緒にいたんだろ。あの女、信じてやれなかったのかな?
俺はグレイや里の人のこと……なっ、なんで撫でるんだよ! 子ども扱いするなっ! おっきな植物どうにかするんだろ! 依頼出してくる。
グレイオンス
お前が成長しても、いつまで経っても子どもだと思ってしまうのだよ。それは、知り合いのエルフの子でも、他の種族でも変わらない。
彼女が故郷のエルフに猜疑心を持った時、説得は難しかったに違いない。氏族の者も精一杯したのだろうし、冷静になればひょっとしたらという期待もあっただろう。
彼女に同情すべき点はあるとしても、彼女が大森林を枯らしている以上、放置はできない。我々が生きるために。
フィルエス大森林の南東部で、『青の示指』討伐作戦(イベントシナリオ)が始まるようです――。
(9月10日より 【呪輪】連動シナリオリリース開始!)
●現状整理、そして
グレイオンスは冒険者たちから寄せられた情報を見聞きし、眉間のしわをより深くした。
フィルエス大森林の南東部で発生している木々や植物の枯死、その原因が明らかになった。
被害地域の奥にあるエルフの里「ムーセル」の現状は、調査を行った冒険者から語られた。
土は腐っているのか、それに合わせた植物が生育しているらしいという推測。
里の中には、動く植物たちが徘徊していた。
元々住んでいたエルフたちは、屋内に隠れ、かろうじて生き延びていたという。
植物型魔獣を生みだしていたのはフェンヌ・ダーニと名乗る人物であり、メドゥの指先幹部『青の示指』を自称していたという。
この里の生存者は冒険者たちが来なければ、全員死亡していたかもしれない。
一方で、フィルエス大森林の南東部の木々や植物が枯死する前に目撃されていた見慣れぬ人物の調査も行われた。情報を辿り「モルアモ」という里に向った冒険者たちは、その道中でフェンヌと出会う。
枯死現象に何らかの形で関わっている人物だと考え捕縛を試みたが、逃げ切られた。
フェンヌと現在名乗っている彼女は、元々モルアモに住み、植物の研究をしていたエルフだ。
それがきっかけか、とあるハーフビーストの男性と知り合い、恋に落ちた。
里人は驚いていたけれども、愛し合う二人を最終的には受け入れた。しかし、二人の間の子は死産となり、彼も何かとの戦いで命を落した。
彼女は、我が子と恋人の死因を告げた里人の言葉を信じようとしなかった。
彼女は疑い、恨んだ。里を、氏族を。
里を離れ、何がどうしたか――
――メドゥの指先の『青の示指』フェンヌ・ダーニと彼女は名乗った。
同情すべき余地はある。
しかし、彼女が現在行っていることは放っておけない。
大森林の恵みを受け生活をするエルフだけでなく、大森林で暮らす動植物、他の種族の者たちなど全ての生死に波及する。
フェンヌを止め、あの魔獣たちを排除しないとならない。
バランスを崩した命の輪を、元に戻す必要がある。
「明かりつけないで何やってんだ? 寝てるんなら……運べないからな!」
ランタンを手にウル・ヘルバが部屋に入ってきた。
「運んでくれないのか」
「無理! 縮んでくれれば運べる」
ウルは唇をとがらせた。ウルは手に籠と盆を持っていた。プロステンの里の人が用意してくれた夕食だ。
「メシ、食おう」
「言葉遣い」
ウルはグレイオンスの指摘に唇をとがらす。
テーブルの上の依頼書や報告書をどけ、パンやスープなどを置いた。
食べている間、会話はない。
食べ終わったところでウルが口を開く。
「結局、どーすんだ?」
「止めなければならない」
「そうだよな」
ウルの耳がピコピコ動く。
「彼女に同情してしまえば、我々が滅ぶことになる」
「分かってる」
ウルはうなずく。
「冒険者ギルドへ幾つか依頼を出そう。内容は……」
グレイオンスはいくつか指示を出した。
首謀者であるフェンヌ・ダーニの討伐。
グレイオンスは、彼女の捕縛を目標にしなかった。相手は、かの有名なヤコブ・ヴィリアンらと肩を並べるメドゥの指先幹部だ。手を緩め、もし逃走を許せば、さらなる被害が出る危険性が高くなる。
グレイオンスは枯死現象の広がり方やスピードから、植物型魔獣の多くがフェンヌの拠点であるムーセルで生み出されていると推測した。命をもつ魔獣である以上、種や胞子で増える可能性は否定できないが、彼女を止めることで、現在のような大量発生に歯止めをかけられるはずだから。
●だから、何だろうか?
フェンヌ・ダーニは故郷のモルアモに行くのを断念した。
自分の子らを、母となった自分を見せようと思っただけだったのだ。
もちろん、また殺そうとするならば、許せないけれども。
しかし、冒険者が来ていた。
調査どころか、排除されるに決まっている。
灰火の守部・グレイオンスが関わっていると冒険者は言っていた。
氏族が個別に動いていないのは、グレイオンスが指揮を執っているのだと理解できた。
「あの爺は生きているし、私の邪魔をする……どうして黙っていてくれないのか?」
フェンヌは怯えと怒りが湧く。
冷静な自分もいて、森がどうなっているかも知っている。
一方で、絶対に失いたくないものがある。
天秤に掛けた場合、自分の思いが大切だった。
「もう、失うのは嫌。あの人も、子どもたちも……ああ……」
逃げ出したときの冒険者を思い出す。フェンヌを逃がさないように必死で怖かった。
「どうすればいい……どうすれば」
ムーセルに到着した。荒らされた里を見て表情を硬くした。
そこにあるのは子らの死体、死体、死体死体死体死体――!
「なぜ!」
フェンヌの膝の力が抜けた。
グレイオンスによる調査が入っているのだから、こうなるのは時間の問題だったのだ。
強い子を早く育てないといけない。
もっと多くの子を育てないとならない。
「私達の子だって生きているのよ。この子たちはこの環境がいいのよ。だから……だから……」
フェンヌの思考は同じ所をぐるぐると回る。
「早くしないと……私の子どもたち……強くて、かわいい、子どもたち。あの人はどこにいるかしら? 早く戻ってこないかしら?」
フェンヌは青白い顔で、魔獣を増やすために作業を開始した。
そして、その魔獣が現れる。
執筆:狐野径
assignment【呪輪】命の輪、冥い棘 概要 特設ページ
【呪輪】命の輪、冥い棘連動とは、フィルエス大森林の南東部で発生した植物が枯れる現象を調査し、原因の排除を行う一連の出来事を指す。自然と共に生きるエルフにとって森の存在は必要不可欠である。生命の輪を正常に戻すため、大森林に住まうエルフの最古老の一人であるグレイオンスは、冒険者ギルドに協力を求めた。
assignmentここまでの流れ
フィルエス大森林の南東部で、次々と木や草が枯れる奇妙な現象が発生。被害は急速に拡大し、彼の地に長く住まうエルフたちの目から見てもその原因は不明である。現地のエルフたちは生活をおびやかされ、長年守り続けてきた里を捨てる選択を迫られている者たちもいる。グレイオンスは森が枯れる現象の原因を探るため、また、動揺する現地のエルフたちのケアを行うため、冒険者ギルドに依頼を出すことにした。
(8月16日追記) 調査の結果、大森林内部で異変が強く起こっていると確認された。なお、動く植物型の魔獣が多く見受けられるため、何らかの関連があるものと思われる。
(9月9日追記) 調査の結果、植物型魔獣を生みだしているエルフの女「フェンヌ・ダーニ」に行き着く。また、枯死の中心地となっているムーセルの里からかろうじて生き延びていた人も保護した。
person_pin関連NPC
フィルエス大森林のエルフの最古老の一人であり、まとめ役。部族間のもめごとなどが起きた際に調停にあたったり、他国や他種族に対してはフィルエス大森林を代表した立場で外交を行うこともある。
《本連動での動き》
原因究明、解決のための前線での情報集約および指揮を行う。異種族との交流が乏しく保守的なエルフたちをまとめ、彼らと冒険者たちの間に立つ。
様々な植物を見るために旅をしていたハーフビーストの授恵者。赤子の時に拾われてグレイオンスに預けられ、大森林のエルフの里で育てられた。故郷のエルフに恩義を感じているが、種族間において複雑な感情も持っている。
《本連動での動き》
冒険者とともに原因の究明および排除を行う。
外見年齢20代半ばほどのエルフの女性。ローブや布を重ね着している上、髪も長く、フードを被っていなくても表情等は伺いづらい。
フィルエス大森林のモルアモという里に住む氏族の出身。植物の研究をしていた。30年ほど前、恋人のハーフビーストをなくし、産み落とした子が死んでいた。これを氏族の仕業と捉え、里を後にした。
《本連動での動き》
フィルエス大森林の南東部、奧地にあるムーセルにて植物型魔獣を生みだした。それが繁殖するのを止めず、むしろ「我が子」として増やして行く。枯死の原因となり、それを拡大させている。
白銀虎のハーフビースト、メドゥの指先の幹部『青の中指』。
片刃の特殊な剣を二刀流で操る他、握り手部以外は全て刃となっている巨大なブーメランによる遠隔攻撃を得意とする。
掴みどころが無く、いつも飄々としている。
《本連動での動き》
現状のところ何を目的にしているかは不明。既に大森林を去った可能性もある。
リーンエス王国のとある貴族に秘密裏に雇われた道化師。言動が芝居がかっている。
魔獣使いの顔も持ち、メドゥの指先に属しているらしい。
《本連動での動き》
フィルエス大森林南東部で目撃された。現状のところ何を目的にしているかは不明。
menu_book関連用語・情報
フィルエス大森林
大陸西部に広がる大森林、エルフが住まう地。ここに住まうエルフたちの暮らしは、大森林に現れるクリーパーなどの『外敵』を鑑みても長く安定している。彼らにとってそれは、外部の種族や国家との交流を不要と判断するには十分な根拠となっていた。
気候は穏やかで、年中暖かく寒さに凍えることもない。常春の森というにふさわしい環境である。ほとんどの氏族で農耕や牧畜は行っておらず、自然の恵みの中で暮らしている。
フィルエス大森林のエルフ達
エルフとは、大陸各地の森の中で暮らし、その森における調和を保ちながら暮らす種族である。伝統や生活、価値観は異なっても自然を愛し、保守的。
他種族にはない長命性や美貌を誇るものの彼らに選民思想はなく、彼ら自身は"森"という複雑な生命体系に属する一因子、という姿勢が根本にあり、基本的には謙虚な種族である。
環境を破壊し収奪する各国家・都市やドワーフという種への軽蔑は長い歴史の中で綿々と形成され、特にフィルエス大森林においては一部の氏族を除いて他種族との交流が乏しい。歴史的に友好関係を築いてきたリザードマンくらいしか交流がないエルフも、大森林では多数を占める。
氏族について
フィルエス大森林のエルフ達は入植当時から存在する「五氏族」を源流とし、現在ではたくさんの氏族に分かれている。彼らの社会では、各氏族の長が合議によって意見を出し合い、ときに長老が助言を述べる。速断には向かないものの、もとより外部からの干渉を拒む同地域にとっては大きな支障を来たすことはなかったようだ。
各氏族の多くは、【ハイアルヴ】と呼ばれる霊的存在を頂いている。その姿や存在の描かれ方、受け入れられ方は氏族ごとに異なるが、【ハイアルヴ】と交感することができた者は『覡』・『巫女』として氏族の方針決定のキーパーソンとして扱われている。
胞子
フィルエス大森林の南東部、森の奥地に向かうと多く漂っている。現状、授恵者の行動を阻害するほどの悪影響はうかがえないが、大量に漂っているため、視界が悪くなり、太陽の光も届きにくなくなる。発生源は不明。
動く植物
フィルエス大森林の南東部、森の奥地に向かうと現れる魔獣。森が枯れ始める以前に大森林で見かけられたことはなく、未知の存在。
葉物の植物の姿をしているものと、キノコの形状をしたものが目撃されている。
(9月9日追記)
フェンヌ・ダーニが生み出した魔獣。大森林を枯らし、土壌を腐らせている原因と考えられる。
考えて行動しているかは不明だけれども、進路妨害等邪魔をするものには襲いかかる。
形状から大別すると下記のようになる。
・ケアイデ
大型の植物。ツタ植物が絡まり合った様な幹のような胴を持つ。つぼみを持っている。根っこで歩き回る。
・メリデ
小型。腐食した土壌を好み根っこを足のようにして動き回る。植物、いわゆる一年草の形状をしている。近接・射撃で物理的な攻撃が主体。
・ピンジ
小型。腐食した土壌を好み動き回る。キノコの形をしている。揺れると胞子が飛ぶ。胞子が毒性を帯びており、ダメージや【スリップ】が入る。