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シグルラン

ヴィント奪還おつ~~。

見てこの水着! これもヴィ爺に作ってもらったんだよネ~。イケてるっしょ?
もっと近くに寄ってガン見しても……イイよ……♪ なんてね~!

じゃ、レッツ決戦打ち上げパーリィ~~~~♪ の、前に…………。
チョット頼みたいコト、アンだけどぉ~~。

潜ってきてくんね? ダ・ン・ジョン♪

7/16~ 【鉄鱗】シナリオリリース開始!

海のダンジョンを満喫(?)しましょう!


 ヴィント奪還は成った。
 犠牲者は予想を遙かに超えて少なく、大成功と言ってよい結果である。
 しかし、現段階で安全地帯と言っていいのはごくわずかな範囲。
 ヴィントを足がかりに、工房街ヴェルターゼンをはじめ、いくつかの周辺の小都市や町、村落の奪還作戦が速やかに進められていた。

 帝国の南東に国境を接するドワーフ王国にとって、ヴィントは無視できない地域である。
 ヴィントおよびその東側地域の視察は必要と考えたシグルランは、速やかにこの地域を調査させていた。
 奪還直後のヴィントの様子は、市街地はまだゾンビの残党やクリーパーがうろついていて調査が進んでいなかったはず。ただわかっているのは、幽界樹は跡形もなく消え、その痕跡である大穴には水が湧き、湖になっているということであった。
「ふ~ん? これはアタシの出番ってコト?」
 部下からの報告を聞いたシグルランはすぐに筆を執り、伝書鳩に二通の書簡を託した。
 一通は『神匠』ヴィンダールヴル。
 もう一通は、エドゥノーグの探索支援ギルド長エフィミア・リリックに宛てたものである。

●
 ヴィンダールヴル。『神匠』と謳われ、授恵者の武具制作を一手に担う凄腕の鍛冶師。
 その彼が今一心に動かしているのは槌ではなく、小さな縫い針と糸である。
 モノを創作つくりだす働き者の大きな手が握っているのは――三角形の、胸当てというにはあまりにも小さく、かろうじて恥部を隠すような心許ないそれは――女性用の水着であった。
 武具の強化に忙殺される中、夏本番を前に彼が開発した水着は、既に授恵者たちの間で注目の的だ。目がかすむのは、数日に及ぶ徹夜のため。需要に供給を追いつかせるのは一苦労だ。
 しかし需要に任せて適当なものを納品するつもりなどヴィンダールヴルにはない。足下にはいくつもの失敗作が散らばっている。
 白のフリフリ。黒のハイレグ。紫のスケスケ。
 やがて針は止まり、ぷつり、と鋏が糸を切る。
 ようやく完成した納得のいく作品を夜煌石の明かりのもとで入念にチェックするヴィンダールヴルの顔は、情熱と誇りに満ちあふれた職人の表情であった。

 悦に浸るヴィンダールヴルの思考を中断するノックの音。
 ヴィンダールヴルは入室を許可する。どうやら高弟の一人が書簡を届けにきたようだ。
「……差出人は、シグルランか。一体何の用事だ?」
 目頭を軽く揉み、文章に目を走らせたヴィンダールヴルは呵々大笑。
「さっそくこいつが役に立つときが来たみてぇだな!」

●
 揺り揺られる箱の船。潮風に吹かれ鈴鳴る耳飾り。
 ここは帝国南部の都市ヴィント。
 大陸の中央に近い内陸に位置するこの土地には、海はないはずだった。
 しかし、エドゥノーグを拠点とする迷宮専門の冒険者――探索者のブレイブ・レオンハートとレイン・カミナギがいるその場所、現在のヴィントは、まさしく海であった。

 天霧りに消ゆる幽界樹ミスティアニ・アストラキルの分樹が生えていた場所に満ちた水は海水で、そしてどういわけだか、巨大なダンジョンと化していたのだ。

 ブレイブとレインを含めた探索者たちが送り込まれた理由は、このダンジョンの奇妙な法則がエドゥノーグのダンジョンに酷似していたからである。

「寒さみぃなー……現地で着替えりゃよかったかな」
 両腕をさすってブレイブが言う。彼らはヴィンダールヴルが開発した『戦闘用水着』を装備しているため、ほぼ半裸である。
 帝国は極寒の地域。極北よりマシだが夏でも一枚上着を羽織らないと寒いくらいなのが当たり前。
 くしゅん! とレインがくしゃみをした。
「風邪をひいたら大変だ。これ、羽織っときな」
 ブレイブがラッシュガードを脱いでレインの肩に掛ける。
「……気持ち悪い」
 レインは心底不快そうに言うと、人肌のぬくもりを感じるラッシュガードをブレイブに返した。
「おまえなー! ほんとそういうとこだぞ!」
「その言葉……そっくり君に返すよ……」
 心地よい距離感は人それぞれ。二人は陸を離れ、筏いかだを渡り、水面に浮く箱のような建物――探索支援ギルド帝国支部へ。

 この箱の船はドワーフ王国の新技術で急造された拠点である。
 工房で半完成状態まで組み上げられたユニットを現地の状況に合わせて仕上げることで、今までにない迅速な陣地設営を実現する、という代物だ。
 素材加工エリア、簡易宿泊所。様々な機能を持つ箱が鎖で連結されている。

 筏の通路を抜けると、他より少しだけ立派な箱が。
 エーテルの作用のためか、穴の中心に行くにつれて気温は上がり、このあたりはむしろ服を着ているのが暑いと感じるほどの暖かさ。

 予定の時刻を過ぎて姿を現したシグルラン。彼女もまた水着であった。
「アンタらにお願いしたいのは、ダンジョンの調査と資源の回収。もしここがエドゥノーグのダンジョンみたいなヤツだったら、兵站とか復興とかが、ちょ~いいカンジになるわけだし?」
 シグルランは現在わかっているだけのヴィントダンジョンの様子を説明する。
 ここ第一階層は海岸。階を下れば海蝕洞や海中すら存在する。メインの通路の先にはボスもいた。
 そして全ての通路や枝場の共通点としては、どこも多かれ少なかれ【海】の特徴を持っていること。
 内陸のこの土地で海の資源が得られる。それは軍事的な意味だけでなく、いずれ帰還が進められるだろう難民の生活にも嬉しいことに違いない。

「もしかしたら、いいコトばっかりじゃなくて地獄の穴かもしれないケド? とにかく、アタシのためにがんばってチョーダイね♪」
 前屈みの姿勢で艶然と微笑むシグルラン。
(この物資を一番有効活用できるのは技術立国ウチらだし! っつーか血が騒ぎすぎてヤバたん! へへっ、王国もゴブリンも、指くわえて見てろよな~!)



(執筆:九蓮宝燈)

assignment鉄と血と龍殺し 特設ページ

 【鉄鱗】連動は『神匠』ヴィンダールヴル……に替わって、『匠王』シグルランより発注された一連の依頼である。
 帝国南部の都市ヴィントに生えた|天霧りに消ゆる幽界樹《ミスティアニ・アストラキル》の分樹の跡の大穴は、なんとダンジョンと化していた。
 しかも自然発生ダンジョンとは法則が異なっており、エドゥノーグのそれに酷似しているらしい。
 冒険者各位はこのダンジョンを調査し、素材を持ち帰られたし。それはさらなる帝国奪還作戦のための備えとなるだろう。

assignmentここまでの流れ

 奪還されたヴィントにいち早く乗り込んだシグルランが見たのは、大穴に発生したダンジョンと無残に壊れたヴィントの街。
 ドワーフ王国と帝国の今後を考えて行動した彼女であるが、目の前に広がるものを見て考えを変えた。
 新しい素材があれば、何かを作りたい。
 壊れた街があれば、前より素敵に直したい。
 それがあらがえないドワーフとしての本能なのだ。レッツパーティー!!

person_pin関連NPC

刀の製法を再発見し、その功績を持って若くして匠王の座に就いたドワーフ。性格のチャラさは生まれつきだが、鍛冶への情熱は深い。

《本連動での動き》

ドワーフ王国と帝国の今後のためを考えて奪還直後のヴィントに乗り込んだ。しかしそんな先の話よりも、もっと急ぎの用事が出来たようで……?

《授恵者》たちが振るう特殊な武器の作成を一手に担う鍛冶師。扱いの難しい《授恵者》の武器や防具の製作・調整に人生を捧げた結果、鍛冶のみならず、木工、裁縫、彫金など様々な分野に精通し、それぞれの分野の高弟を多数抱えている。

《本連動での動き》


冒険者用水中装備を開発したばかり。ヴィントダンジョンの探索のためにその装備の供与、入手した素材での強化など、さまざまな面で冒険者たちをサポートしてくれる。

人命第一主義の探索者支援ギルド長。書類仕事より現場に出るのが好き。探索者をとても可愛がっている。自身はたたき上げなのだが、後輩たちに対しては時折過保護ともいえる対応を見せることも。

《本連動での動き》

ヴィントダンジョンの調査のために探索者や学者をエドゥノーグから派遣した。
とても忙しいはずなのだが、もしかしたら変装してこっそり来ているかも?

探索者パーティー【挑戦者】リーダー。
蛮勇から敬意と皮肉を込めて『勇者』と呼ばれている。
なのでパーティー名も正式名称ではなく『勇者パーティー』と呼ばれることが多い。

《本連動での動き》

エドゥノーグから派遣された探索者の一人。故郷への仕送りのために、この危険な任務へ志願した。

探索者パーティー【|挑戦者《チャレンジャー》】メンバー。
戦闘においては中々の手練れであり、一対の曲刀を得物とする。
他人のキモチがわからない・人の顔覚えられない・説明下手の三重苦のコミュ障。

《本連動での動き》

エドゥノーグから派遣された探索者の一人。志願の理由は「そこに迷宮があるから」。あきれた純正迷宮中毒者である。

menu_book関連用語・情報

探索支援ギルド帝国支部仮設本部

 『匠王』シグルランにより急遽建造された水上拠点。ヴィントダンジョンの第一層の海岸に設置されている。
 筏に浮かべた箱状の建築物。ある程度の完成度のあるユニットを後方にて制作し、現地で組み立てることで迅速に拠点等を設置することができる、ドワーフ王国の新技術が採用されている。
 情報の集積と開示、取引、犯罪の取締というエドゥノーグ探索支援ギルドの役割をこちらでも機能させる他、獲物の解体や素材の加工を行うための工房を兼ねている。
また、空き船室が簡易的な宿舎として探索者に提供されている。地上まで帰る暇が惜しい迷宮中毒者達が大部屋で雑魚寝している様子は早くも日常の風景となりつつある。

ドワーフ王国の介入

 ロスガリア大陸東部の要衝、クリエスター山脈の「地下」に渡り広く広がる、ドワーフ王国。ドワーフ王国はヴィント奪還作戦において、物資を送るという形で協力していた。
 ドワーフ王国から見て、ヴィントから東の帝国領土は自国と国境を接するという意味で重要な地域だ。将来、帝国が復興を果たしたとすれば、そこはドワーフ王国との交易地点となり得る。
 ドワーフ王国とヴィントの二面から攻略すれば、この勝ちの勢いに乗って帝国東部の奪還も遠からず成しえるのではないか?
 ヴィントに乗り込んだシグルランの思惑は、少なくとも当初はこのようなものであった。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0