放浪者(終)


指輪の紋章の看板。宝石の嵌まる場所に、硝子のランプがある。
灯が入っている間――夕方から明け方にだけ開く、小さな酒場。
客はただの酒飲みから脛に傷のある者まで、さまざまだ。
約束事を守れるなら、深い事情は聞かれない。
静かに飲め。人の話を聞け。出来ない仕事を受けるな。

今日も、“巨人の指輪”が光っている。

●説明
お前は二回目以降の客だ。
ただ呑みに来た、当然構わん。悪い店じゃあなかったろ。
まあまた金を置いていけ。
仕事を探してんなら、斡旋できるモンはいくつもある。
ア?追い剥ぎ?カウンターの裏にでも隠れてろ。

●エルフの姉さん用
●10/5夜〜
●リアタイ/置きレス両立
2020年09月16日 18時04分30秒 |44

2020年09月16日 23時34分07秒
(木の脚立と短い点火棒を使って、指輪の石に火を灯す。開店だ。ぶん、と一回棒を振って火を消すと、店の中へ戻る。脚の長い椅子に座ると、カウンターの隅で煙草を巻き始めた)

2020年09月18日 00時49分33秒
(初見ではあるが作法は心得た様子で、カウンターの片隅へと座り)

酒をくれ。強いのがいい――。
それと、暇を潰すネタがあれば、何か。引き篭もってるのも飽きた。

2020年09月18日 01時30分47秒
(落魄れ切れば男も女もない場所だ。それでも女は珍しい。物怖じもせず、手負いである様子もない。つまり金は払えるな)
……あいよ。強いのね。
(『竜の鼾』。南の地方の酒である。火を噴く竜のラベルが貼られた、暗い赤色のボトル。生産地の香辛料と火竜の鱗を材料としており、度数も口当たりも強い。愛飲家によれば「抜けるような辛みが癖になる」という)
(夕焼けに似た赤色が満ちたグラスを、あなたの前へ置いた)
引きこもり? アンタ、どう見ても堅気じゃあねえのに。これまで何処に居たってんだ。

2020年09月18日 01時46分11秒
堅気じゃない、か。言うねぇ。
(ひとしきりラベルを眺め、ボトルの色味を透かしてみてからグラスの酒を傾け。まずは立ち上る酒精を香り)

引き篭もりは引き篭もりさ。特に用事も無いし、相方が「修行だ」って言って出ていっちまったんでね――2年か、3年か。それくらいはすることも無いんで手前ぇん家に転がって酒飲んだり、してたかねぇ。いつまで待っても帰ってきやしないんで、あまりに暇だから出てきたんだ。

――金も、さすがに蓄えが減って来たから仕事しないといけないしねぇ?

(言ってから憂さを流し込む様に灼ける紅を喉の奥に流し込み)

2020年09月18日 02時00分48秒
随分と長い待ちぼうけだこと。その二年も三年も呑んじゃあ寝てたってのは、なんとも羨ましいご身分じゃねえかい。
(ニッキやら胡椒やらが綯い交ぜの、良く言えば複雑、悪く言えば喧しい香り。活気に満ちた市場のような、猥雑なだけの人ごみのような)
なあおい。今ァ持ち合わせはあんだろうな。後払いはナシだぜ、お姉さん。

2020年09月18日 02時07分28秒
まあね。その分、二十年ほど命すり減らしてアレコレやってたんだ。
数年ぐらいは寝太郎決め込んでも神様も怒りはしねえだろうさ。

普通に飲み食いするぐらいはさすがにあるさね。
(とん、と革袋を無造作にカウンターに放り)

気に入ったよ。もう一杯、貰えるかい。

2020年09月18日 02時20分11秒
承り。
(内心、おやと思う。きつい酒、大の男が目を回しかねない飲み方。それで猶「もう一杯」と言うのだ。払うものは十分、客として文句なし。見せつけるような豪気も悪くない)

エルフってのはよ、ながーい寿命を切り売りするのが仕事か? だとして幾らで売れるんだ?
何でもってそう稼いでたのかいよいよ興味があるね。
……そら、二杯目だ。
砂糖を入れても美味い。味はもっとうるさくなるが、まあ好みだな。

(補足しつつ、横に小さな瓶を置いた。こげ茶色をした、粗粒の砂糖が入っている)

2020年09月18日 02時36分08秒
(瓶の中身をちら、と見て)

砂糖か。奢るじゃぁないか。好きだよ、そう言うのは。
(希少であるとは理解しているが、特に頓着する様子もなくざらとグラスへひと匙落とし)

どうだか。そもそも働いて金を稼ごうなんて打算のあるエルフっていうのが珍しいかもねぇ。
(酒も回り口が少しばかり湿ったか、カラカラと笑い)

命の切り売りとはよく言ったもんだ。時間だったり、知識だったり――それこそ、感情だったりもするかもしれんが。ひっくるめて言うならやっぱりそれは命だろうさ。
昔のことは興味も無いんで忘れちまったが、引き篭もる前は帝国にくっついて小間使いよろしく調べものを手伝ってやったっけか。エルフってだけで好奇の目で興味をもったり、あれこれ便宜を図ってくれる輩は多いもんでね。そこそこ金になった。

2020年09月18日 03時10分13秒
良くしといて悪いこたねえからだ。アンタ授恵者だろう。
(確信はない。が、外したって特に痛手もない、気楽な賭けだ)
でなけりゃ長耳が態々森の外へ出るもんか。奴ら首に縄引っ掛けても森から出たがりゃしねえ、それこそ引きこもりだぜ。
いや、……しかしその口ぶりだと、天啓なんざ関係ない手合いかね。旅に出るエルフもいるんだっけか。
帝国の兵隊さんかい? あすこは能力至上主義だろう、確か。

2020年09月18日 03時28分14秒
なるほど、そういう事ね。
確かに大森林から出てこない連中からしてみたら、アタシみたいなのはエルフらしく無いのかもしれないねぇ。アタシは生まれたときから森の外にいたから、その辺は気にしないけど。

(砂糖が溶けてどろりと底に溜まっていくのをゆっくりとかき混ぜ)

大森林も一回行ったには行ったが、あそこはつまんないね。
少なくともアタシには合わない。それぐらいなら、帝国の方が気楽さね。
生きて、仕事してれば五月蠅いことは言わないからねぇ。

(残りの酒を最後の一滴まで飲み干し)

――ふうん。結構いい時間になったか。
そろそろ行くよ。幾らだい?
(カウンターに置いた革袋から、目星で銅貨銀貨を掴みとり)

2020年09月18日 03時40分21秒
そうさな。おれの人生の中で一、二くらいエルフらしくなかったぜ。
飲み代はこれ。
(指で数字を作ってみせる。まけてもいない、足元を見てもいない。大体相場の額だ)

2020年09月18日 03時47分30秒
ふむ、まあそんなものか。高くもなく、安すぎもせず。
頃合いというのは良いものだな。
(言い値の通りの払いを終えて)

悪くない酒だった。気が向いたら、また来るさ。
(少しばかり上機嫌になった足取りで往来へと消えていった)

2020年09月18日 03時52分52秒
毎度あり。瓶は暫く取っといてやるよ。
(灯りを跳ね返す美しい銀髪に向かって声を掛ける。何せ久々の話せる客だった。……そういえば名も知らないが、酒場で自己紹介ってのはそうそうない。「エルフの女」と書いた小さな紙片を紐で結わえ、『竜の鼾』を棚の奥にしまった)

2020年09月18日 03時53分08秒
(終)

2020年10月05日 19時55分53秒
(木の脚立と短い点火棒を使って、指輪の石に火を灯す。開店だ。ぶん、と一回棒を振って火を消すと、店の中へ戻った。塩抜きした猪肉を少し切り取って、味を見る。まあ美味い方だろ)

2020年10月05日 21時23分36秒
邪魔するよ。ちょっと飲みたい気分になったからね。
塩漬け肉、何が準備できた?
(少し早いかな、と思いつつも火が燈っているのだ。大丈夫だろうと思い)

2020年10月06日 06時56分03秒
まず猪肉。
(塊を塩漬けにし、塩を抜いて更に乾かし、齧りやすい棒状に割いたもの。摘まみやすいよう、縦長の容器にばらばらと入れられている。
 隣の器にも同じように肉が活けられているが、そちらはほんのりと色合いが違う。木の薫りに、あなたは気づくかもしれない)
それ以外に干し肉に向いてるブツは用意できなんだ。隣のは樫の木で燻したヤツだ。
ついでに茹でた卵も燻製にしたんで、肉に飽きたらそっちも出せる。

アンタが来るまでに日にちが空いたんでな。ウチにしちゃあ凝ったもんを作れたよ。
酒は竜の鼾でいいな?

2020年10月06日 22時08分45秒
ああ、酒は前のと同じでいい。
――ふぅん、良い色味じゃないか。時間が空いてしまったのは悪かったけど、こうして仕込みをアレコレしてくれるなら怪我の功名ってやつかね。
(猪肉の塩漬けをひと切れ摘まみ、灯りに透かして眺めてから細く、細く割いて繊維のようになったソレを噛み締める様にしながら酒を待ち)

2020年10月06日 22時48分02秒
こんな通りなんざァ度々来るような場所じゃねえよ。アンタに絡んだ野良犬は痛い目を見るこったろうけどな。

(夕焼け色の辛い酒が、紙片を括りつけた瓶から幅広のグラスへ。そしてグラスが女の方へ、無造作に押しやられる)

干すんなら鹿の肉が美味いんだ。アレが入りゃあもっとよかった…
(ふと、改めて目の前のエルフを見る。弓手と分かる出で立ちかはともかく、鍛えられた体躯は森へ分け入るには十分に見えた)
アンタ、狩猟なんかはやらんのかい。向いてそうなもんだが。

2020年10月06日 23時19分29秒
ふぅん、そんなモンかねぇ。アタシに取ってみたら、別に生きるにどこも大差無いもんだ。
ちょっとした覚悟と金、それに時間を過ごす意味があればそれでいい。
ここは時間を過ごすには十分すぎるくらいだからね。
(割いた肉を数本撚って太くしてから、酒と共にそれを流し込み)

――あぁ。やっぱり塩気のものは、合うね。
この間この酒を飲んでそう感じたのは、間違いじゃなかった。

鹿か。取るには取るが、その場で捌いて、塩に漬けるか、あとは――うん。
大概はツレと二人で入るから、結構な量がその場で無くなるから保存食という程のことを考えたことは無かったかねぇ。必要以上には森の恵みを取り過ぎない、というのは守るべき掟ではあるしな。

――美味いのか。コレ(猪)とは、どう、違う?
(これでも普段食べなれたものよりはよほど上等な味がする。それよりも、とはと興味を惹かれ)

2020年10月07日 00時00分11秒
なんだ、連れがいんのか。…二人で鹿一頭以上を食い尽くすような?
(身体も胃袋も子どもの大きさのままだ。二人いようが鹿一頭を平らげられる気など全くしない。胡乱げな眼差しが干し肉と女とを行ったり来たりした)
しかし掟ねえ。おれにはピンと来んが、分からん話ではない。狩り尽くしちまわんよう気をつけろ、ってことだろう。
(おそらくは自然――森への畏敬とともに掲げられたのであろうそれを、即物的に見てしまうのは、商売人の悪癖だった)
お気に召したんなら何よりだね。
鹿はなんてえか、猪に比べると獣臭さが薄くてクセがない。ガキでも食いやすい肉だよ。
当然最終的には個人の好みだが。猪の匂いが好きってやつもいる。野性味がどうとかってな。

2020年10月07日 00時37分05秒
ああ。アタシと同じエルフさ。
アタシよりももっと鍛えてて、それこそ修行することが人生の目的になってるようなのだけどね。
さすがに熊となると喰いきれはしないが、鹿ぐらいならば――訳ないとは言わないけど、無理じゃあないね。でも、良いことを聞いた。次は残しておいていろいろと手を加えてみることにしようかね。

平たく言えばそう言うことさね。森に生き、森に生かされていることを忘れるべからず……ってね。ま、森を出たアタシらみたいなエルフがどこまで気にするべきかなんてのは分からないものではあるんだが。

ふ……む。なるほど。確かにあの肉は癖が無い。
食べやすいというのは確かにそうだろうね。
この酒がずいぶんと効いているから、味の濃いのがいいかと思ったが――そうか。野菜やなんかと合わせるなら、鹿の方がいいかもしれない。後は、そうだね。燻製にするなら、せっかくの香りが飛ばないように。
(喋れば、喉が渇く。酒を手に取るが、酒自体も、当てとなる肉も味が強い。必然、酒の減りは早くなり)

2020年10月07日 14時00分19秒
………………。

(元々不機嫌な顔つき、胡乱気な顔との区別はそうありはしない。だが最後まで訝しんだままだった)
(おれの知ってるエルフと違う)

捌いたら一旦その場で塩を揉んどけ。帰路が長くとも多少は持つ。……流石にこれくらいは知ってるか。
なんなら保存食用にもう一頭狩ったっていいと、おれは思うがね。
アンタも、旅のエルフも、森から出た以上はそこの掟に守られちゃいねえ。
すんなら縛られることもあるまいよ。

(前もそうだったが、酒の減るのが相当早い。もう一杯を問うように瓶を持ち上げて揺らす。揺らしながら、ふうん、と鼻で息をつき)

料理人の感性があんじゃねえのかい。
こうして強い風味同士を楽しむのもいいが、存外野菜とも合う。
混ぜ込んである香辛料がな、不出来な野菜を美味く食うために使われてきたって話だぜ。

2020年10月08日 08時00分05秒
食べることを目的にするならそれでももちろんいいんだが。
ああ、いや……掟をそこまで気にしているっていう訳でも無いんだがねぇ。
単純に、かさばるからね。修行だ何だって言っても、ずっとひと所にいる訳でも無し。
さすがに鹿一匹分の肉に、仕込み用の塩も準備してっていう頭が無かった。

だけど、確かに――。
(と、そこまで喋ってから、持ち上げられた瓶に気が付いて)

酒が進む。いい……アテだねえ。
確かにこんなのを自分で作れたなら、なお楽しいかもしれない。
とりあえず、お代わりをおくれよ。

料理、料理か。
さすがに切った焼いただけじゃ飽きもくるし、一つ、真面目に取り組んでみるとするかねぇ……。
(物思いに耽りながら、残った酒を一気に飲み干した)

2020年10月08日 16時48分55秒
おうさ。
(前はアテもなしに二杯いった。今日は一杯で済むわけがない。そう読んでのことだった)
ま、それもそうだな。腹さえ満たせりゃいいんなら余分なモンは持ち歩かんほうがいい。
一頭丸ごと分の鹿肉を塩漬けにするのは、そりゃあかさばる。行きも帰りもな。
まずは一頭と半分食って、残りをやってみるってのはどうだね。

(そうして、少し考える。この女が調理技術――最低限の仕込みを身に着けたのなら、鹿だのなんだのを安く仕入れられるのではないか。少なくとも子どものなりでナメてくる不愉快な輩と喋らずには済む)
……。
簡単なモンでよけりゃあ――それこそ冒険者がやるような雑な料理だが、教えてやろうか。
代わりに獲った肉をよこしな。アンタの気が向いたときで構わん。買い取ってやる。
(ひとつの取引だ。果たして彼女が本格的に猟をするか、調理を学ぶか。そうしたとして、売るつもりになるか。何もかも分からないが、提案だけはした)

2020年10月08日 23時57分03秒
ありがとね。飲ませる店っていうのはいいもんだ。
酒にも飲ませ方っていうのがあるからねぇ――。
(砂糖を少しばかり手に取って噛み締める様に溶かしながら、後口を酒で洗い流して)

確かにそれぐらいの方が塩梅がいいのかもしれない。
次に機会があるとしたら是非やってみるとしようじゃないか。
どうせいつも通り山に籠るのも、いい加減に変わりが無いと思っていたんだ。

ははっ、アタシが料理か。気紛れに手慰むにしては悪くない趣味だね。
だけどもアンタ、どれだけ生きる?
気が向けば明日にでも山に籠るが、興が向いたら数年は帰ってこない。
そんなツレだが、それでもアンタは待てるのかい?
(種族が違うってのは、生きる世界が違うってことだ。好悪ではなく、違うものは違う。それを呑めるのか、と値踏みするように目を細め)

2020年10月09日 00時36分10秒
残り大体15年か、よくて20年そこらじゃねえか。アンタらにとっちゃ瞬きみたいなモンかね。
(巻いた紙に火をつける。そう、なんでもないことだ。エルフの知己だっていた。そのあたりの感性が失われていたわけではないが、『肉の仕入れ』という、正しく目先のことしか考えていなかったのは事実である)
――――……するってえと、おれが生きてるうちに1、2回は会える計算になるだろ。もしも20年山籠りするんなら商売の機会はないが、まあそんときはそんときだわな。

2020年10月10日 23時57分20秒
(体調等々で間隔が空いてすみません)

瞬きとまでは言わないし、1日は24時間だからね。
そこは多分、エルフだろうと他の種族だろうと感覚としてはそう違いは無いだろうとは思う。
けど、確かにアタシらは一つの事にのめり込むのに躊躇が無い奴らが多い気がするね。
数十年費やしても――例え、それが無駄足だったとしても――まだ、やり直しが効く。
そんな考えが前提としてある。

ま、とは言っても。
今回はアタシが料理を習うっていう立場だから、その辺りはそっちに合わせるつもりではあるさ。せっかく仕留めた肉も、数十年待ってくれるわけでは無いしね。

……で、だ。
料理って話なんだが、何から始めればいい。
先に食材がいるのか。
(料理を習うなぞ親に仕込まれて以来のこと。久しぶりの経験なので何だかんだと言って興味が有り)

2020年10月11日 03時01分14秒
別の趣味ができて、そいつをまた数十年とやりゃ新しい才能になるだろうがよ。
生きることに飽きんのかね。稼いで飯食ってまた稼いで、面倒ったらねえ。……。
(煙を小窓の方に噴く。一瞬だけ、驚いた風に瞼が持ち上がった)
……ありあわせやその日安かったモンで作っちまう奴もいる。が、慣れん内はまず食材から揃えた方がいい。
街にゃあ台所があんだからよ、干し肉なんてシケた食い物でなくていい。
アンタが喰いたいモンを考えな。そしたら必要な材料を教えてやる。

2020年10月11日 12時04分02秒
ははっ、それで時間さえかければ一角になるんだったらエルフは苦労しないさ。
長く続いたからって下手の横好きかもしれないし、そもそも時間があるのと、時間を費やせるのはまた別の問題だからね。ダラダラと生きてるだけって連中が多いのも確かさ。

生きることに……ねぇ。
少なくともアタシゃこの百年以上、生きることに飽いたとは思ってないさ。
相方を待ち続けるのには辟易したもんだが、ま、これは帰って来たから良しとしよう。

――食材がやっぱりいるかね。
(ふ、と思案するのは自分と、ツレで何を食べるのかという事)
酒かねぇ。あとは、うん。
この店で出しているような酒に合うものがいい。
肉気じゃないものも準備できるのかい?

2020年10月11日 19時54分18秒
好きこそものの上手なれ、とも言うぜ。何十年百年と同じことを続けてる奴ってのもいるんじゃねえか。
アンタもそうだ。連れを待ち続けるのに合わせて何年使ったんだか。
(気のなげえこって、と唇の端から洩れる。特段責めるでも呆れるわけでもない、平坦な声だ)
此処じゃあ酒は造れんぞ。蔵元に行け、蔵元に。アテだけだよ。キツい酒が好きなら幾つかある。
肉以外となると、例えば今は茹で卵を燻した奴がある。食うんなら出すが金は置いてけよ。
あとはそうだな。豆を塩で茹でたのも美味いが、料理らしくはねえか……
(思案、一口吸うと紙巻の赤い灯が光る)
……芋だな。芋の調理を覚えろ。切って炒めて塩を振るだけで美味い。
包丁と火の扱いを覚えるんであればアレが一番いいだろうよ。

2020年10月14日 23時31分35秒
確かにね。待つのは得意だ……違いない。
その要領で取り組めばいいのか。
(得心したように頷いては喉を酒で潤し)

ああ、別に自分で酒を造ろうとはおもっちゃいないさ……
だって自分で作ったら、出会えないだろう?
アタシャ自分が知らない味を楽しむのが好きなんだ。
――卵を燻した、だって? それはまた手間の掛かるもんだ。
金は、うん、大丈夫だろうさ。ツレも帰って来たし、また少しばかり仕事も入りそうだ。
今日くらいは飲んだところで構わないだろう。

芋か。なるほど……確かに手初めにはいいのかもしれない。
ん、いや。さすがに切って炒めるぐらいは出来るさ。
……その、乙女が作るようなこましゃくれた料理が苦手なだけで。

2020年10月14日 23時49分57秒
そういや動物を捌けるんだったな。じゃ刃物はいいか。
(鶏卵を茹で、猪肉のついでに燻したもの。いわゆる燻製たまごをひとつ、丸みのある器に乗せて)

お上品な料理はおれだってからきしだぜ。無駄が多すぎんだ。なぜ卵白を捨てる。その場で焼いて食えってんだよ。
(男が身につけたのは旅のさなかですぐ出来る調理や、日持ちするよう工夫した――――それこそ酒のあてくらいだ。これもさほど複雑ではない。菓子類や一部のソースなんかのレシピにある、「卵黄と卵白を分けましょう」の一文でむずがゆくなるたちだった)

2020年10月15日 00時22分01秒
これかい?
(出された燻製たまごを眺めては、先ずは水で口を洗ってから香りをたっぷりと含んだ一かけらを摘まみ)
――うん。イケるね。酒が無くてもこれだけでいいかもしれない。
この玉子はやっぱり燻製にした分だけ日持ちするのかい?
持ち歩きできるなら、いくつか作っておけば――いや、でも燻製は出先で作るには少しばかり手間が……
(悩まし気にぶつぶつと呟き)

あはは、その意見には同意するよ。
アンタが作る料理なら、アタシも美味く食べられそうだ。
それに無駄がないっていうのもいいな。せっかくの命を無駄にするのは、うん。
頂けないさ。

2020年10月15日 18時36分46秒
若い時分のおれはそう考えて作ったんだがな、普通のゆで卵と同じだった。においのせいでかびてるかどうかもわかりゃしねえ。
(野生の獣を避けることはできたが。そう付け加えて、旅の中で作ったものを思い出すよう、紙巻を銜えたまま天井を仰いだ。手軽かつ、美味くて、当たりにくいもの)

あー……保存食以外に旅先で美味いものを食うなら、どうしても鍋がいる。香草があるともっといい。
鳥を狩ったとするぜ。香草で臭みを取ればスープにできる。鳥の腹に詰めて丸ごと煮たのも、体が温まる。

それに鍋はいいぞ。武器にもなる。

2020年10月18日 10時57分03秒
む、それはあまり上手くないな。
思った通りにはなかなか運ばないのは料理も同じかねぇ。
獣避けに煙というのは、どこでも変わらないね。その分、火の有るところには賊がやってくるのも一緒だろうか。

……鍋、か。嵩張るのと重いのであまり持ち歩くことは無かったけど、次に出るときには持っていってみるかねぇ。それか、ツレに持ってもらうとするか。
(鳥を丸ごと潰して、香草と煮たスープをパンに付けて食べるを想像しては腹が減り)

もう一杯、酒をもらえるかい。
また砂糖を付けておくれよ。腹にも物が入ったし、少しゆっくり飲むとするよ。

――そう、言えば。
アンタはエドゥノーグには行くのかい?
最近は頓に話題だが。

2020年10月18日 20時15分50秒
火につられて寄ってきたクソバカどもをな、こうして鍋でブン殴んだよ。ロングソードよか速い。
(鍋を持っていない腕で、さも持っているかのようにスイングしてみせる。人物が人物であるだけにあまり迫力はなかった)

(器貸しな、と言う前にグラスを取っていって、また赤い酒を注ぐ。これも香辛料やら香草が入り混じった、鼻を擽るようなにおいだ。ざらめを気持ち多めに入れた)

あん? ああ、行くぜ。ものの仕入れにだが。迷宮に挑むってトシでもねえんだわ。
荷物持ちも雇ったしな。

2020年10月20日 02時15分29秒
ははっ、鍋でか。そりゃあいいな。
(いたくその様子が気に入ったのだろう。男が腕を振るを見てはカラカラと女は笑った)

仕入れとはね。確かにあそこは物の集まりもいいときく。
さぞかし目新しいものが手に入るだろうさ。
――迷宮は趣味じゃないのかい?
アタシも時間さえ合えばちょっくら冷やかしに潜って来ようかとは思っていたんだが。
(歳なんて関係ないさ、と嘯きつつ赤い酒が注ぎ足されたグラスを、一気に半分ほど空け……)
(さすがに酒精がきつかったのだろう。少し咽て息を深く吐いた)

2020年10月20日 07時02分20秒
跳んだり跳ねたり這いつくばったりすっと腰が痛ェんだよ。これに歳以外の原因があるもんか。
(得物を持たない腕を下ろし、真剣なんだか冗談なんだかいまいち判断しかねる口振りでものを言い、)

水。
(要るかどうかを聞く前に、木の器に入った水が出ている。余計な手出しかもしれないが、ざらめを入れたそれは普通に呑むより喉に絡みやすいことを思い出した)

2020年10月24日 22時28分48秒
ん……む、難儀だな。腰はな、魔女の一撃と言うからな……。
あまり無理をするのは……うん、良くないな。
(何か身につまされたように神妙になり)

ありがとよ。気が利くね。
(酒精を水でほぐす様にゆっくりと器の水を傾け――吐息を、もうひとつ)
ああ、いい温度だ。酒が、美味い。

――さて、と。世話になったね、あんまり遅くなると今度はツレにどやされちまう。
鹿料理、だっけか。
次に来るときは多分、肉を持ってこれるようにするさ。
何、狩るのは本来得意なんでね。錆びついてなけりゃぁいいんだが。
(ふらり、と。少し酔った風で残りの酒を飲み干し、払いをしようと腰のポーチを弄る)

2020年10月28日 00時57分17秒
あー。いい、いい。ツケといてやるよ。
(「とっとと行っちまえ」と言わんばかりに手を振る)
おれが本当に腰をやっちまって店をたたむか、アンタと連れがどっかに籠もる前には払いに来な。そんでいいさ。

2020年10月28日 02時37分30秒
お、おう。すまんね?
うん、じゃあまた来る前には伝言板へ書くとするさ。
(足元が今日は気持ち覚束ない。覚えておかなければと口の中で呟きつつ、寒さが一層と増す夜の道へと消えていった)

(長々と失礼しました)

2020年10月29日 05時21分04秒
おう。気ィつけな。
(千鳥足というにはまだ力強いだろうか、その足取りを見送る。聞く限りではかなり腕が立つようだから、さほど心配はしない。金のことはきっちりと帳簿に書いて、)
……そういや名前を知らんな。まいいか。

2020年10月29日 05時21分12秒
(終)
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0