いばらの魔女:二
指輪の紋章の看板。宝石の嵌まる場所に、硝子のランプがある。
灯が入っている間――夕方から明け方にだけ開く、小さな酒場。
客はただの酒飲みから脛に傷のある者まで、さまざまだ。
約束事を守れるなら、深い事情は聞かれない。
静かに飲め。人の話を聞け。出来ない仕事を受けるな。
今日も、“巨人の指輪”が光っている。
●説明
お前は二回目以降の客だ。
いや、紋具と酒を卸に来るんだったな。じゃ、取引先でもある。
ただ呑みに来たんでも当然構わん。悪い店じゃあなかったろ。
まあまた金を置いていけ。
●ロゼ用
●リアタイ/置きレス両立
●寝ろ。
灯が入っている間――夕方から明け方にだけ開く、小さな酒場。
客はただの酒飲みから脛に傷のある者まで、さまざまだ。
約束事を守れるなら、深い事情は聞かれない。
静かに飲め。人の話を聞け。出来ない仕事を受けるな。
今日も、“巨人の指輪”が光っている。
●説明
お前は二回目以降の客だ。
いや、紋具と酒を卸に来るんだったな。じゃ、取引先でもある。
ただ呑みに来たんでも当然構わん。悪い店じゃあなかったろ。
まあまた金を置いていけ。
●ロゼ用
●リアタイ/置きレス両立
●寝ろ。
2020年10月13日 16時18分57秒 |chat11
2020年10月13日 20時18分52秒
シュタッヘル ロゼ
(おんなは悩んでいた)
(此度のおつかいの品物はひとりで運ぶには少々重たい。が、しかし。食事の席に『けもの』を連れ行くのは躊躇われた。彼らはみな優秀でとても綺麗好きだけれど。『ぐうぜん』目が合った半獣や竜人たちの反感を買うのも宜しくない。要は喧嘩の火種になり得るものを可能な限り排除したいのである。おんなは腕っ節に関して、からきしであるが故に)
『やあ。なんだい、いばら。それならほれ、『お人形』がいるだろうよ!』
(からからと笑う師がおんなに託したもの。それは――)
(此度のおつかいの品物はひとりで運ぶには少々重たい。が、しかし。食事の席に『けもの』を連れ行くのは躊躇われた。彼らはみな優秀でとても綺麗好きだけれど。『ぐうぜん』目が合った半獣や竜人たちの反感を買うのも宜しくない。要は喧嘩の火種になり得るものを可能な限り排除したいのである。おんなは腕っ節に関して、からきしであるが故に)
『やあ。なんだい、いばら。それならほれ、『お人形』がいるだろうよ!』
(からからと笑う師がおんなに託したもの。それは――)
2020年10月13日 20時19分01秒
シュタッヘル ロゼ
(おんなのちいさな足音と、かぽかぽと乾いた蹄のような音がふたつ)
(指輪に燈りが宿っていることを確認したなら、ほんの数日前に来た時と同じように。おんなは静かに、嫋やかな所作で以って店の中へと歩を進めた)
ごきげんよう、ウェズン。
この間話したものを持ってきたわ。
(前回との差異はひとつ。その後ろに、籠を抱えた木製の自立人形――所謂ゴーレムなるものである――が従順な様子でおんなに付いて歩いていた。身の丈は店主よりも頭ひとつ小さいくらい。簡素な作りのそれは、ヒトガタと言うよりも『棒人間』のようなテイ。なんとも気の抜ける顔をしており、目と思しき部分からひかりが明暗している様子が伺えた)
前のお酒はまだ残っている?
私、あれがとても気に入ったの。
(雪解けを待つ草花の息吹を感じるような。華やかな香りも、甘みも。度数が高くないのも良い。木の実の類があれば一緒に欲しい、と添えて)
この子たちは、邪魔にならない場所に居てもらうわ。
荷運びに、お師さまが貸してくださったの。
(指輪に燈りが宿っていることを確認したなら、ほんの数日前に来た時と同じように。おんなは静かに、嫋やかな所作で以って店の中へと歩を進めた)
ごきげんよう、ウェズン。
この間話したものを持ってきたわ。
(前回との差異はひとつ。その後ろに、籠を抱えた木製の自立人形――所謂ゴーレムなるものである――が従順な様子でおんなに付いて歩いていた。身の丈は店主よりも頭ひとつ小さいくらい。簡素な作りのそれは、ヒトガタと言うよりも『棒人間』のようなテイ。なんとも気の抜ける顔をしており、目と思しき部分からひかりが明暗している様子が伺えた)
前のお酒はまだ残っている?
私、あれがとても気に入ったの。
(雪解けを待つ草花の息吹を感じるような。華やかな香りも、甘みも。度数が高くないのも良い。木の実の類があれば一緒に欲しい、と添えて)
この子たちは、邪魔にならない場所に居てもらうわ。
荷運びに、お師さまが貸してくださったの。
2020年10月13日 20時47分01秒
……。
(奇怪なものを見る目。カウンターから見下ろせる背丈のやつというのも珍しい。いや、それ以前にこの手のゴーレムといえばもっと――ダンジョンの守りだの、なんだの、威圧感のあるものしか見たことがない)
(おれの知ってるゴーレムと違う)
……そいつらはその辺に置いときな。
(深く追及しないことにした。小柄な身体が背の高い椅子から降りて、カウンターの後ろに引っ込む。下から伸びてきた両手が大きな瓶を置くと手がまた隠れ、今度は柄杓と木の器を置いた。最後に何やら皿と包みを持って椅子へ上り、ようやく顔が現れる)
この辺の飲んだくれどもはほとんど頼まねえんだ。故郷があすこらへんの奴だけだな。
アンタが呑み尽くしちまっても何も問題ねえくらいだよ。
(柄杓で花と果実を含んだ酒を注ぎ、押しやる。持ってきた包みは二種類。それぞれ指で示しながら)
こっちが干した果物と種子。……でまあ、こっちが甘くしたチーズ。
ご要望は果物だったが、チーズも悪かねえ。当然値は張るが。
(一応、個人的なおすすめを提示した。最初からそっちを出さなかったのは客の要望は「果物」であったし、値段自体にも結構な差があるからだ)
(奇怪なものを見る目。カウンターから見下ろせる背丈のやつというのも珍しい。いや、それ以前にこの手のゴーレムといえばもっと――ダンジョンの守りだの、なんだの、威圧感のあるものしか見たことがない)
(おれの知ってるゴーレムと違う)
……そいつらはその辺に置いときな。
(深く追及しないことにした。小柄な身体が背の高い椅子から降りて、カウンターの後ろに引っ込む。下から伸びてきた両手が大きな瓶を置くと手がまた隠れ、今度は柄杓と木の器を置いた。最後に何やら皿と包みを持って椅子へ上り、ようやく顔が現れる)
この辺の飲んだくれどもはほとんど頼まねえんだ。故郷があすこらへんの奴だけだな。
アンタが呑み尽くしちまっても何も問題ねえくらいだよ。
(柄杓で花と果実を含んだ酒を注ぎ、押しやる。持ってきた包みは二種類。それぞれ指で示しながら)
こっちが干した果物と種子。……でまあ、こっちが甘くしたチーズ。
ご要望は果物だったが、チーズも悪かねえ。当然値は張るが。
(一応、個人的なおすすめを提示した。最初からそっちを出さなかったのは客の要望は「果物」であったし、値段自体にも結構な差があるからだ)
2020年10月15日 00時38分14秒
シュタッヘル ロゼ
(自立人形は喋らない。カウンターへ荷を上げて、示された箇所へとおんなが導けば。かぽかぽと間抜けな足音を立てて、ふたり。きちんと姿勢を正して、その場に留まった)
遺跡の守り手のような、大掛かりな子たちではないの。
もっと、簡単なお願いをこなしてくれるような、『お手伝いさん』よ。
(足や腕の可動域が余り大きくないから、ほんとうに簡単なことしか出来ないのだけれど。椅子のひとつに腰掛けて、ちいさなてのひらが必要なものを揃えていくすがたを目で追い掛け乍ら)
そうなの?勿体ないわね、こんなに美味しいのに。
でも……確かに、冒険者や傭兵に名を連ねる殿方はもっと強く酩酊出来るようなものを好む方が多いわね。
……からだが強いと、お酒にも強いのかしら。
(味を楽しめるようなものの方がすきだわ、なんて冗談交じりに。押しやられた椀を受け止めたなら、ありがとう、と謝辞添えて)
あら、チーズがあるの?私、それもすきよ。
それじゃあ……そうね、全部を少しずつ頂戴。
お代は勿論お支払いするわ。
(魔女の館でチーズはすこうし貴重だ。山羊乳を手に入れるには、森を少し出た先にある人里の羊飼いの所まで足を運ばなければならないから。買えないことはないのだが、すこし骨が折れるのである。師匠はそんな弟子の思いなぞ知らぬ存ぜぬで、『食べたい!買ってきておくれ!』なんて駄々を捏ねるのだけれど)
遺跡の守り手のような、大掛かりな子たちではないの。
もっと、簡単なお願いをこなしてくれるような、『お手伝いさん』よ。
(足や腕の可動域が余り大きくないから、ほんとうに簡単なことしか出来ないのだけれど。椅子のひとつに腰掛けて、ちいさなてのひらが必要なものを揃えていくすがたを目で追い掛け乍ら)
そうなの?勿体ないわね、こんなに美味しいのに。
でも……確かに、冒険者や傭兵に名を連ねる殿方はもっと強く酩酊出来るようなものを好む方が多いわね。
……からだが強いと、お酒にも強いのかしら。
(味を楽しめるようなものの方がすきだわ、なんて冗談交じりに。押しやられた椀を受け止めたなら、ありがとう、と謝辞添えて)
あら、チーズがあるの?私、それもすきよ。
それじゃあ……そうね、全部を少しずつ頂戴。
お代は勿論お支払いするわ。
(魔女の館でチーズはすこうし貴重だ。山羊乳を手に入れるには、森を少し出た先にある人里の羊飼いの所まで足を運ばなければならないから。買えないことはないのだが、すこし骨が折れるのである。師匠はそんな弟子の思いなぞ知らぬ存ぜぬで、『食べたい!買ってきておくれ!』なんて駄々を捏ねるのだけれど)
2020年10月15日 18時14分22秒
全部と来た。金の払いがいい客を持てたもんだよ。
(干した果物、ほんの少し塩で味をつけた種子類、それに蜂蜜を練り込んだチーズを切って、それぞれ小さな鉢に盛る。人形の行儀よく立つさまを見て、「居れば便利か」と考えが過ぎり、しかしすぐに振り払われる。作り物のそれとは言え、やはり手を借りるのは不向きだ)
甘い酒じゃ飯は進まんのさ。強い酒で一気に酔っ払うのはそれはそれで楽しいモンだぜ。女にはおすすめしねえが。
(干した果物、ほんの少し塩で味をつけた種子類、それに蜂蜜を練り込んだチーズを切って、それぞれ小さな鉢に盛る。人形の行儀よく立つさまを見て、「居れば便利か」と考えが過ぎり、しかしすぐに振り払われる。作り物のそれとは言え、やはり手を借りるのは不向きだ)
甘い酒じゃ飯は進まんのさ。強い酒で一気に酔っ払うのはそれはそれで楽しいモンだぜ。女にはおすすめしねえが。
2020年10月17日 20時11分43秒
シュタッヘル ロゼ
お師さまは服飾に拘りがあるみたいだから、反物を買うときは大きな額になるけれど。
お師さまの『おやつ』と、それ以外は。私たちの館はあまりお金を動かす機会がないの。
(だから、こうしておつかいに出かけられる時が。おんなに外食が許される『たまの贅沢』なのだと。緩やかに微笑んだ。師の許可は取ってあるから大丈夫、と添え)
ウェズンは、もっと大きなゴーレムを見た事があって?
私はまだ見習いだから、この子たち位までしか使役することが出来ないのだけれど。素直で、力持ちの。良い子たちよ。
(主の願いを忠実に遂行する自立人形。魂もこころも持たない。けれど。愛着を持って接していると、なんだか妙に可愛く見えてしまうのだと。子どもみたいかしら、なんて目逸らし)
ああ。……そうね、言われてみれば。
凱旋からの宴。或いは、旅立ちの前の景気付け。
彼らの多くは、お酒と食事、それから商談。全てを、酒場で行うのよね。
(甘くやわらかな酒の香りが鼻腔を満たせば、おんなの耳が少し上向いた)
(何故だろう。何処か懐かしい。郷愁など、ありはしないのに)
一気に酔って良いのは、酔った後自分でどうにか出来るヒトだけよ。
私はあまり強くないから。きっと、すぐに夢の中ね。
(あなたは?と首を傾いで問うた。自立人形が運んできた荷のひとつに触れ乍ら)
お師さまの『おやつ』と、それ以外は。私たちの館はあまりお金を動かす機会がないの。
(だから、こうしておつかいに出かけられる時が。おんなに外食が許される『たまの贅沢』なのだと。緩やかに微笑んだ。師の許可は取ってあるから大丈夫、と添え)
ウェズンは、もっと大きなゴーレムを見た事があって?
私はまだ見習いだから、この子たち位までしか使役することが出来ないのだけれど。素直で、力持ちの。良い子たちよ。
(主の願いを忠実に遂行する自立人形。魂もこころも持たない。けれど。愛着を持って接していると、なんだか妙に可愛く見えてしまうのだと。子どもみたいかしら、なんて目逸らし)
ああ。……そうね、言われてみれば。
凱旋からの宴。或いは、旅立ちの前の景気付け。
彼らの多くは、お酒と食事、それから商談。全てを、酒場で行うのよね。
(甘くやわらかな酒の香りが鼻腔を満たせば、おんなの耳が少し上向いた)
(何故だろう。何処か懐かしい。郷愁など、ありはしないのに)
一気に酔って良いのは、酔った後自分でどうにか出来るヒトだけよ。
私はあまり強くないから。きっと、すぐに夢の中ね。
(あなたは?と首を傾いで問うた。自立人形が運んできた荷のひとつに触れ乍ら)
2020年10月18日 01時10分10秒
そうかい。んじゃ遠慮なく喰いな。
(声色は素っ気ないが、話は続く。煙草に火を点けるのに買い取った黒檀のタクトを使い、小窓を開けた)
ゴーレムも、強い酒も、どっちも若い時分の話だぜ。
おれが会ったのは出来る魔術師が作ったか――……(言葉を切る。口にしては無粋で、柄じゃないことだ)
まじないの理屈は知らんが、そいつらを大事に扱って損はねえだろう。壊れちゃ困るモンは特にな。
(子どもにだって「物を壊さないように」と躾けるはずだ。物資が足りている地域なんてそうない、買い替えるのもただじゃない。そんなことを言って、煙を吐いた)
バカみてえに酔っ払う呑み方は随分前にやめたよ。
(ジリ、と、深く吸いこんだ煙草が灰になる音で途絶える。紙巻の先が赤く灯った)
……そいつが気に入ったんなら、もう一つ甘い酒がある。
蜂蜜とビヒモーの乳で作った酒で、そりゃもう菓子かって味がする奴だ。
(声色は素っ気ないが、話は続く。煙草に火を点けるのに買い取った黒檀のタクトを使い、小窓を開けた)
ゴーレムも、強い酒も、どっちも若い時分の話だぜ。
おれが会ったのは出来る魔術師が作ったか――……(言葉を切る。口にしては無粋で、柄じゃないことだ)
まじないの理屈は知らんが、そいつらを大事に扱って損はねえだろう。壊れちゃ困るモンは特にな。
(子どもにだって「物を壊さないように」と躾けるはずだ。物資が足りている地域なんてそうない、買い替えるのもただじゃない。そんなことを言って、煙を吐いた)
バカみてえに酔っ払う呑み方は随分前にやめたよ。
(ジリ、と、深く吸いこんだ煙草が灰になる音で途絶える。紙巻の先が赤く灯った)
……そいつが気に入ったんなら、もう一つ甘い酒がある。
蜂蜜とビヒモーの乳で作った酒で、そりゃもう菓子かって味がする奴だ。
2020年10月18日 13時01分26秒
シュタッヘル ロゼ
(おんなが気を害した様子はない。ありがとう、と謝辞添えて。チーズの一かけを啄ばみ)
美味しい。甘いチーズも、良いわね。
(チーズケーキのようにどっしりとしたものではない。けれど、優しい甘みと酸味、すこしの塩気が丁度良い。軽食のデザートにも良さそうだ、なんて思いを巡らせ乍ら)
あら。冒険譚は、お預け?
(店主のことのはが途切れたことに、に、と薄く微笑んで見せた。話したくなければ深追いはしない。聞かせてくれるなら、おんなは耳を傾ける。そんな体)
ええ。資源は有限だから。それに……たましいが無くても。授けられたいのちを全うしようとするこの子たちに、無体を働くのは趣味じゃないわ。
楽しそうではあるけれど。ふふ、そうね。
深酔いしすぎて『覚えてない』なんてことがあったら。
どんな不利益を被るかわかったものじゃあないもの。
(素寒貧にされてしまっては敵わない。柄の良い酒場なんてものの方が、この辺りでは特に貴重なのだから)
ほんとう?良いわ、二杯目はそれにする。
あたらしく入ったお酒?
(蜂蜜酒は好きだ。緩やかに身体を温めてくれる。屹度、乳製品と相性も良いだろう。そして。甘党の自分には、とびきり好ましいものに違い無いから)
私も。今日は、お店に置けそうなお酒を持ってきているわ。この間話していたものよ。
(見て頂いても?と、控えめにことのは重ね)
美味しい。甘いチーズも、良いわね。
(チーズケーキのようにどっしりとしたものではない。けれど、優しい甘みと酸味、すこしの塩気が丁度良い。軽食のデザートにも良さそうだ、なんて思いを巡らせ乍ら)
あら。冒険譚は、お預け?
(店主のことのはが途切れたことに、に、と薄く微笑んで見せた。話したくなければ深追いはしない。聞かせてくれるなら、おんなは耳を傾ける。そんな体)
ええ。資源は有限だから。それに……たましいが無くても。授けられたいのちを全うしようとするこの子たちに、無体を働くのは趣味じゃないわ。
楽しそうではあるけれど。ふふ、そうね。
深酔いしすぎて『覚えてない』なんてことがあったら。
どんな不利益を被るかわかったものじゃあないもの。
(素寒貧にされてしまっては敵わない。柄の良い酒場なんてものの方が、この辺りでは特に貴重なのだから)
ほんとう?良いわ、二杯目はそれにする。
あたらしく入ったお酒?
(蜂蜜酒は好きだ。緩やかに身体を温めてくれる。屹度、乳製品と相性も良いだろう。そして。甘党の自分には、とびきり好ましいものに違い無いから)
私も。今日は、お店に置けそうなお酒を持ってきているわ。この間話していたものよ。
(見て頂いても?と、控えめにことのは重ね)
2020年10月18日 20時31分48秒
売りモンなら先に広げときな。……ゆっくり飲めよ。酒は逃げねえ。
(そう言い残すと、また姿が消える。カウンターの裏、床の近くの棚が開く音。中身の詰まった瓶が取り出される、ごとんという音。蝶番が軋んで、戸の閉まる音。再び顔を出したとき、片方の手には薄く光るような乳白色の瓶があった。ラベルには乙女の靴とリボンが描かれていた)
オッサンの昔話なんざ聞くもんじゃねえよ。商談のが有意義だぜ。
(「なあ」)
(と言いこそしなかったが、双眸は同意を求めるように人形のほうへ向く)
(そう言い残すと、また姿が消える。カウンターの裏、床の近くの棚が開く音。中身の詰まった瓶が取り出される、ごとんという音。蝶番が軋んで、戸の閉まる音。再び顔を出したとき、片方の手には薄く光るような乳白色の瓶があった。ラベルには乙女の靴とリボンが描かれていた)
オッサンの昔話なんざ聞くもんじゃねえよ。商談のが有意義だぜ。
(「なあ」)
(と言いこそしなかったが、双眸は同意を求めるように人形のほうへ向く)
2020年10月19日 23時26分49秒
シュタッヘル ロゼ
あら。そうかしら。
先達の知恵をかさねて、子どもは成長していくものだわ。
(尤も。ひとのみちゆき。誰かの轍。其れ等が全て善と呼べるものではない事くらい、おんなも知っている。否、知っているからこその。話が切り替わったならば、それ以上は追及しなかった)
可愛い。洒落たお酒ね。
(初めて見る意匠だと、物珍しそうに淡い白を見詰め)
ええ。『ほろよい』も悪くはないけれど。
おつかいもきちんとこなさなくちゃ。
(自立人形が置いていた籠を引き寄せる。ひとつは大振りの。遮光瓶、と言えば判り良いだろうか。瑠璃色の爪飾りが掛けられた、熱を帯びた瓶。もうひとつは、甕。砂金を練り込んだ陶磁器の丸々とした、甕。どちらも手にすれば。なみなみと液体が満ちた、ずしりとした重さを伝えるだろう)
この青い瓶が『火蜥蜴の舌』。
こちらの甕が、『微睡みの月』よ。
(お眼鏡にかなうといいのだけれど。告げて、おんなは首を傾げた)
(自分が開けて見せた方が良いか、とことのは重ね)
先達の知恵をかさねて、子どもは成長していくものだわ。
(尤も。ひとのみちゆき。誰かの轍。其れ等が全て善と呼べるものではない事くらい、おんなも知っている。否、知っているからこその。話が切り替わったならば、それ以上は追及しなかった)
可愛い。洒落たお酒ね。
(初めて見る意匠だと、物珍しそうに淡い白を見詰め)
ええ。『ほろよい』も悪くはないけれど。
おつかいもきちんとこなさなくちゃ。
(自立人形が置いていた籠を引き寄せる。ひとつは大振りの。遮光瓶、と言えば判り良いだろうか。瑠璃色の爪飾りが掛けられた、熱を帯びた瓶。もうひとつは、甕。砂金を練り込んだ陶磁器の丸々とした、甕。どちらも手にすれば。なみなみと液体が満ちた、ずしりとした重さを伝えるだろう)
この青い瓶が『火蜥蜴の舌』。
こちらの甕が、『微睡みの月』よ。
(お眼鏡にかなうといいのだけれど。告げて、おんなは首を傾げた)
(自分が開けて見せた方が良いか、とことのは重ね)
2020年10月20日 06時56分02秒
『白馬の宴』は北の酒だが、花だの果物だのが入ってるのはおかしかろう。
コイツ――『アリアンナ』てえんだが、温かな土地の酒だ。なのに北の乳酒が使われてる。
どちらも、春の村と冬の村の交易によってできた酒ってこった。
(薀蓄を語りながら、別の器へ注いでいく。あまり薄くはない、つまり安物のガラスのコップだ)
アー……まあ、昔のこたあそのうちな。そのうち。
(生返事になったのは、ふたつ並んだ入れ物に興味を惹かれたからだ。身内でしか呑まれないような酒の容器に、美しく丁寧な装飾が施されている。それが物珍しかった)
……下手に開けると壊すかもわからん。お前さんが開けてくれ。
コイツ――『アリアンナ』てえんだが、温かな土地の酒だ。なのに北の乳酒が使われてる。
どちらも、春の村と冬の村の交易によってできた酒ってこった。
(薀蓄を語りながら、別の器へ注いでいく。あまり薄くはない、つまり安物のガラスのコップだ)
アー……まあ、昔のこたあそのうちな。そのうち。
(生返事になったのは、ふたつ並んだ入れ物に興味を惹かれたからだ。身内でしか呑まれないような酒の容器に、美しく丁寧な装飾が施されている。それが物珍しかった)
……下手に開けると壊すかもわからん。お前さんが開けてくれ。