灯火:一見用(終)


指輪の紋章の看板。宝石の嵌まる場所に、硝子のランプがある。
灯が入っている間――夕方から明け方にだけ開く、小さな酒場。
客はただの酒飲みから脛に傷のある者まで、さまざまだ。
約束事を守れるなら、深い事情は聞かれない。
静かに飲め。人の話を聞け。出来ない仕事を受けるな。

今日も、“巨人の指輪”が光っている。

●説明
お前は一見の客だ。
ただ呑みに来た、当然構わん。貧民街の酒場にしちゃ、ウチは真っ当な方だからな。
どうぞ金を置いていってくれ。
仕事を探すため、誰かから紹介された体でもいい。
斡旋できるモンはいくつもある。腕利きは歓迎するぜ。
追い剥ぎから逃げてきたのかもな。おれは助けんが。勝手に隠れてりゃあどっか行くだろ。

●先着1人まで
●雰囲気が合わんようなら言え。そういうこともある。
●リアタイでも置きレスで構わんからとにかく寝ろ。
2020年10月12日 17時25分25秒 |26

2020年10月12日 17時26分15秒
(木の脚立と短い点火棒を使って、指輪の石に火を灯す。開店だ。ぶん、と一回棒を振って火を消すと、店の中へ戻る。脚の長い椅子に座ると、カウンターの隅で煙草を巻き始めた)

2020年10月13日 20時35分01秒
(夕刻、しかし街の雰囲気に飲まれてか、夜の気配が存外濃く感じられる。そして、闇に紛れんとする何らかの気配も。)

うう〜ん、参ったなあ。流石にこれ以上の深入りはマズそうだ。僕でも理解る……ん、宝飾店?こんな所に?
(目深に被ったフード、揺れる装身具の奥からそっと辺りを見回す。ふと目につくは、輝く指輪を掲げた店。否、看板だ。光っているのは、火か。)

……まあ、道を聞けるのは此処しか無さそうだものなぁ。
(幾つかの指輪をはめた自らの左手を一瞥。それから楽天的な「ご機嫌よう」の一言と共に、丁寧に店の扉を開けた。)

2020年10月14日 01時35分05秒
(あなたが扉を開いた先は、例えば同じ明るさであったとしても「薄明るい」より「薄暗い」が似合うような場所だった。灯りは2テーブルで1つ、カウンターには端っこ――――不愛想な子どもの手元にだけ。これが元々古い店を、更に貧相に見せている。そして、子どもの後ろには酒の立ち並ぶ棚がある)
らっしゃい。
(酒場であった。まごうことなき酒場であった)

2020年10月14日 08時35分34秒
(更に薄暗い店内、目を一度瞬かせて。想像していたような宝石の煌きも、貴金属の艶めきもなく。年季の入った店特有の空気に、紫煙と僅かな酒精の絡む独特の香り。)
……あ、酒場だったのか!

(しかも店番らしきものは子ども……と判じかけて、すぐにやや尖り気味の気が付く。成程、ハーフリング。するするとカウンター席へ。)
やぁ、店主殿。ええーっと……ミルクはあるかい。
(そしてこの蜥蜴、不調法であった。)

2020年10月14日 22時17分02秒
ねえよ。此処はアンタもびっくりの酒場だ。
(実際新鮮な生乳というものはいつもあるものでなく、必要な時にすぐ使い切ってしまうのだった。アルコールの入っていない飲み物はごく少ない。裏手の井戸水か、自分のための薬酒くらいだ)(閑話休題)

なんだ? 迷子のガキか? すんならまだ明るいうちに帰んな。
(もっと作法のなってないのを何人も知っている。リザードマンの年齢はいつになってもよく分からない。その軽め、かつ不慣れな口調で「かなり年下である」と判断した)

2020年10月14日 23時18分24秒
なかった……。
では、お酒に弱い人でも飲めるもの、と。ほんの少し何かつまめるものもお願いするよ。(意気消沈しかけるが、すぐに気を取り直す。少し考えるような首の角度。それから、再びオーダーを。)

ああ、確かに驚いたねぇ。看板から装飾品を扱うお店かと思って、こんな…(少しの間、言葉を選ぶ。)…裏通りに珍しいな、と。しかも入ってみたら酒場で二度吃驚!
あの看板、酒場っぽくはないけれど、何か所以のようなものがあるのかい?


うん、迷子なのは正解だ。ガキは……かなり久方振りに言われたなぁ!(本人も自覚はあるようで特に怒るような事もなく、暢気に笑う三十路前。)
そう。帰りたいのは山々なんだけれどね、道がさっぱり分からなくなってしまって。おまけにどうも着けられているようでね、困っていたんだ。(扉の外に人の気配があるかを探るように鼻先を向ける。が、特に何が見えるわけでもなく。)

2020年10月15日 00時22分20秒
さてね。鍛冶屋にあの看板を頼んだとき何を考えてたんだか、おれにも分からんよ。
(肩を竦めると、顎に指先をやる。仕込んであるものに何があったか。今出せる酒のレパートリーは。中でも度数の低いものは)

食い物。乾燥豆ならすぐ出る。
飲み物。真水か、クソまずい薬酒か、(少し考える)たっけえ酒ならある。『泉湧かし』ってんだが、知って……なさそうだな。
(曰く「蜂蜜より柔らかく水よりとろみのある、薄荷の味がする酒」。高値と言い添えておく良心めいたものはあった。いまは閉まっている小窓から外を窺う。……カモが入り込んで来たなら、そりゃあ射ちに来るだろう。縁のない誰かがどうなろうと、どこにも差し障りがない)

ハ。ガキじゃねえならなおタチが悪いな。アンタ、文字通りここらに“深入り”しすぎたんだ。手前でも分かってるだろうが。
(更に目を眇めて、影をいくつか認める。ああ、覚えのある追剥だ)
……そう気の長くねえ奴らだな。そのうちどっか行く。

2020年10月15日 07時37分22秒
(いくつか挙げられた品の名前を聞いて懊悩している。折角なら美味しいものを頂きたい。酒類に慣れているだろう店主をして不味いと言わしめる薬酒とやらに対する怖いもの見たさも、まぁ、ある。しかし、しかしだ。)
高いのかぁ……。(腰に下げた小さな革袋に触れ、頭を抱え、数秒。最後に財布を兼ねているらしい小袋の中身を視認して、溜息。)
んんっ。今回は、乾燥豆とお水を。
その『泉湧かし』というお酒、非常に気にはなるのだけどね。また次回、お金を稼いでから飲みに来るよー。
(よからぬ気配を感じる中、ほろ酔いで帰る度胸は流石にない。)

うーん、弁解の余地が尻尾の先ほどもない。(フードの下で苦笑を浮かべ。)通りをひとつかふたつ、間違えた程度だと思ったんだけどなぁ。
……ありがとうございます。
(自分には分からなかったが、やはりそこらに"居る"のだろう。慣れた口ぶり。やはりこの店に入って正解だった。)

2020年10月15日 18時47分29秒
アンタが貧乏なら命は助かるかもな。殺してどうこうするほど度胸があるヤツらじゃねえよ、どうせ。
(器に乾燥豆、樹のコップに井戸水の湯冷ましを注いで、そちらへ押す)

通りの一本二本の差がでけえ街だ。散歩なら昼間に来な。
すんでウチまでの道を覚えて、金を落としに来るこった。
(紙巻に火を灯して、閉じていた小窓を開ける。影がいくつか動いた。見てるぞ、といわんばかり、煙を外へ吹き)

そーら、簡単にビビりやがる。……だのにアンタは何でまた尾けられたんだかな。知らねえ顔でもそれなりにタッパがある。雰囲気かね。

2020年10月15日 20時33分15秒
ありがとう、いただきます。(手を合わせてからまず水を一口。)
お、それならば安心だ。自慢じゃないがすぐお金が離れてく体質でねぇ、今夜も飲み代で素寒貧だ。(等と笑いつつナッツも齧り。)

うん、そうするよ。時間ならたっぷりあるしね。
(煙草の煙を外に吹きかけるのを眺め、思わずと言った様子で。)手慣れてらっしゃるなあ……。

あぁ、そうかも知れない。運良く大きな被害は受けた事が無いけれど、よく舐められるんだ。
剣を佩く訳でも護衛を付ける訳でもなく、コレだしねぇ。(黒手袋の左手を、貴金属に縁取られたフードの横に翳す。リザードマンにしてはしなやかな─それでも鋭い爪は隠し切れていない─指を飾る、よく手入れされた金の指輪。それでも燻みを隠し切れていないのは、それだけ長い時間身に着けているからだ。)

2020年10月16日 00時54分39秒
そのナリでそんな飾りや指輪がついてりゃあな。合鴨がセロリ背負って歩いてるようなもんだ。しかし――――(古びた指輪に彩られた手、その爪に目を向ける)

細指でも殴り合いで勝てんじゃねえのかい。囲まれちゃ終いってだけで、リザードマンてのは身体が武器になるだろ。
それとも人を殴ったことはねえかよ。

2020年10月16日 08時01分12秒
わぁ美味しそう。(喩えに軽く笑い声。)
んー。だって、痛いだろう?殴られた相手も、それをした僕も。
痛いのは苦手だから、出来れば逃げたいねぇ……いつもそう上手くいく訳ではないのだけれど。
(そのままひらひらと片手を振った。口元には相変わらずの笑み、それでも声音がほんの僅かばかり落ちる。)

それに部族内では小柄な方でね、荒事慣れしていないと言うのも多分に。
深層のご令嬢というやつさぁ。(無論、半ば冗談である。)

2020年10月16日 16時10分17秒
へえ。深窓のご令嬢はお優しいんだな。
(首の痛くなるほど見上げても顔が見えないリザードマンもいた。そう考えると、フードの中にある体躯はそう立派なものでもなさそうだ。それでも、同じ地面に立って顔が見えるかというと怪しいが)

上手くいかなかったときは? 黙って殴られて終いか?
(煙でわっかを作る。それは器用に小窓の隙間を通っていった)

2020年10月16日 19時24分11秒
優しさは穏便の次に得意さ。

上手くいかなかったらかぁ。うーん、そうだなぁ……頭からペロリといっちゃうとか? あ、尻尾を切って逃げると言うのもアリだねぇ。
(ふわふわと店の外へと出ていく煙の輪を眺めながら。きっともうこれを見ている者はいないのだろう。)

店主殿はそういった時……妙なのに絡まれてしまった時は、どうするんだい?
(揶揄などではなく興味半分、心配半分……そして、ちょっぴり参考になるかな?なんて思惑も。)

2020年10月16日 20時13分35秒
食っちまうのかよ。殴り返すよりおっかねえな、お嬢様のなさることは。
(信用していないがゆえの軽口だ。輪を吹き飛ばすように、煙のない細い溜息をつく)
おれは殴り返してるぞ。正当防衛だろ。

2020年10月17日 08時25分46秒
ははは、あんまりお上品ではないけれどね!(あくまでジョークで通し。)

思っていたより勇ましかった。それでも自分から手を出さないのは流石と言うか……。
酒場なんてそう足を運ばないから想像だけれど、色々な方が来て大変でしょうー。
(残り僅かになった豆を名残り惜しげに指先で弄んでから一口。)

2020年10月18日 00時29分57秒
社交界でも貧民街でも、喧嘩はねえのが一番さ。
(煙草をふかし、店内を見遣る)
この店を持ってから一年二年はそんな要らん喧嘩をしたがる輩ばっかりだったがな。
三年持ったとなりゃ舐めた口を利く奴も減ってくる。
(豆の追加を持ち掛けるかどうか考え、結局何も言わなかった。財布が薄いらしい)

2020年10月18日 11時41分35秒
それはねぇ。(深く頷く。)
……上流階級の喧嘩もおっかなそうだな。見たことはないけれど。

二年って結構な長さだ。僕なら半年…半月でやめちゃうね。店主殿は強いなぁ。
(水の入った木の器を揺らした。小さな水音。)
やはりこのお仕事が好きで続けてらっしゃるの?

2020年10月18日 20時20分50秒
好きってえか、なんていうかね。飯を食うのに一番困らんのさ。
こういう場は、冒険者だった時分の経験や横の繋がりを一番活かせる仕事だ。
ギルド支部だってどこもかしこも酒場だろう。

2020年10月18日 21時17分38秒
わ、店主殿って冒険者だったんだ。(少しばかり意外そうに。それはすぐ楽しげな声音に変わる。)
話上手だから根っからの商売人だとばかり思っていたけれど、そしたら先輩なんだねぇ。
しかし一線を退くようなお齢には見えな……あー。失礼、寡聞なものでハーフリングの方のご年齢がまだよく分からなくって。(すみませんと頭を下げる。)

そう言われるとそうだ。喫茶でも村の寄り合いみたいでもなく……何でだろうなぁ。(思案げに最後の豆をがりがりやりつつ、喫茶とかでも良いのに等と呟く。)

2020年10月19日 02時35分07秒
おれにはリザードマンの年齢もわからん。
(手を振り払う仕草は「気にするな」の意であったが、顔のせいでどうにも鬱陶しがるように見える)

昔からの風習、てのが一番デカいんじゃねえか。
いっとう賑わうのは大体酒場だったんだ、昔は。……今もか?
(これはおれの考えだが、と前置きを挟む)
――――ある店の、あるひとつのテーブルで、個人的な困り事の相談が始まった。
「こういう形で解決した」と噂が出回れば、同じように困り事を運んでくる奴が出てくる。それに応じる奴もな。
そこに目をつけたのが店、酒場だ。
間を取り持つことで互いの信用を肩代わりしてきたんだろう。
それに喫茶じゃ「どこどこの誰それが死んだ」なんて話はしづらかねえかい。知らんが。
(商売事以外では大変腰の重い男だ。行ったことがないので、推測でしかない)

2020年10月19日 13時06分45秒
分からないものだよねぇ、お互い。
(短い時間ではあるが、このしかめっ面こそがデフォルトだと分かっていた。そのため重ねて謝罪するような事はせず。)

(酒場店主の語りに静かに耳を傾ける。)
なるほど……伝統、かも知れないのだね。うん、僕が故郷に居た時に聞く冒険譚なんかもやっぱり酒場だったなぁ。屯するのは。

それに、あすこに辛気臭い話は似合わないねぇ。(酒は呑まないが喫茶は嗜むらしく、しかと頷いて。それから少しばかりの木杯の底に残った水を飲み干す。)

ん。ご馳走さまでした!(手を合わせる。)

2020年10月20日 06時45分29秒
あいよ。お粗末さん、
(供したのは豆と水である。真実に粗末だったので言葉の最後が詰まった。それを振り払うよう、今一度小窓の外を窺う)

居らんが、アンタ、出るときは店の裏口を使いな。斜向かいに辛気臭え構えの革物屋がある。そこの裏を真っ直ぐ行け。
出たらここよか明るい通りだ。

2020年10月20日 07時31分48秒
(革袋を掌の上でひっくり返す。零れ落ちる小さな火打石、硬貨、何かの種、他諸々。その中から幾つかのコインを選び出してカウンターに。)
これお代ね。
余り多くは食べられないからあの量が丁度良かったよー、ありがとう。

(そのまま表に足先を向けかけ。)
おや、良いの?ではお言葉に甘えて裏から。重ねて謝意を、店主殿。
(のそのそとカウンターを回り込んで裏口へと。)ではまたー。


あ。お店の名前くらい、聞いとけばよかったな。まぁいいか……。
(裏口から出て数歩。はたと足をとめるが、言われた通りに革物屋の方へと消えていった。)

2020年10月23日 12時53分12秒
毎度あり。
(フードの背中に向けるのは素っ気ない声。あなたは名前の知らない此処へまた来るかもしれないし、この一度きりかもしれない。毎度がなくともこう声を掛けるのは癖のようなものだった)

2020年10月23日 12時53分19秒
(終)
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0